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第6話

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3時間後、一戸建ての家の前で亮が止まると千絵も止まった。

「俺と猫だけが住んでる家」

「ご両親は?」

「両親はアメリカに住んでる」

「……」

「中に入ろうか」

千絵から手を離し亮は指紋で鍵をあけドアを開いた。

「どうぞ」

「……」

軽くお辞儀をし千絵が家の中に入ると亮も中に入りドアを閉め指紋で鍵をかけた。

その後、亮と千絵は靴を脱ぎリビングに向かった。

「ニャ~」

白猫が現れた。

「猫ちゃん、可愛い」

口にすると千絵はスケッチブックとペンを床に置き白猫を撫でた。

「ニャ~」

「猫ちゃん、名前なんていうんですか?」

白猫を撫でながら千絵が問いかけると亮が口を開いた。

「チーです」

「チーちゃん」

「ニャ~」

千絵に撫でられ白猫、チーは喜び離れていった。

「千絵さん」

「はい」

亮に声をかけられ千絵は立ち上がり見つめた。

「お腹、空きましたね、何か作りましょうか?」

「料理できるんですか?」

「簡単なものならできますよ」

「俺も手伝いましょうか?」

「千絵さんはここで待ってて」

「わかりました」

「嫌いな食べ物とかある?」

「ありません」

「わかった」

亮がリビングを離れていくと再び白猫、チーが現れた。

「ニャ~」

ソファーに座る千絵に白猫、チーは声をかけた。

「どうしたの?…チーちゃんおいで」

「……」

無言で白猫、チーはソファーにあがり千絵に近づき座った。

「チーちゃん」

千絵が撫でろうと手を伸ばしたその時、白猫、チーが言葉を口にした。

「あんた、亮が好きなのか?」

「え!」

千絵が驚いた顔で見つめると白猫、チーが口を開いた。

「答えろ」

「…好きです…」

「お前、名前は?」

「千絵です」

「千絵、お前が攻めろ」

「攻めろってどういう意味ですか?」

「お前が亮の身体を奪うんだ」

「えー」

「大きな声を出すな」

「すみません」

自分の口を手で塞ぐと白猫、チーが口を開いた。

「1人だから亮には幸せになってもらいたい」

「ご両親はアメリカに住んでるし寂しいですよね」

「亮の両親は亡くなってる」

「え!…亮さんは…」

「俺が両親はアメリカに住んでいる記憶を亮に与えた」

「チーちゃん、猫だよね」

「あぁ、俺はただの白猫、チーだ」

口にすると白猫、チーはリビングを離れキッチンに向かった。

「ニャ~」

「チー、どうした?」

できあがった高菜炒飯や鶏もも肉の照り焼きを皿に盛りながら亮が声をかけると白猫、チーは「ニャ~」と言ってキッチンを離れていった。

「チー」

気になった亮は手を止めキッチンを離れた。

「ニャ~」

「……」

寝室から声が聞こえ亮は寝室に向かい中に入った。

そして亮は白猫ではなく白い髪に白いロング服姿の男性に驚いた。

「どちら様ですか?…いつの間に中に入ったんですか?」

「……」

無言でチーは亮に近づき亮を抱きしめた。

「亮の両親はアメリカに住んでいない」

「え!」

「両親は交通事故で亡くなりました…俺は両親の願いで白猫に変身して亮を見守ってきた…」

「……」

「……」

チーは亮から離れ見つめながら口を開いた。

「亮、俺が居なくても大丈夫」

「チー」

「亮、サヨナラだ」

「どういうことだよ」

「千絵が居れば亮は幸せだ、だから俺は神の国に帰る」

「そんな…」

亮の目から涙が流れるとチーは亮を抱きしめた。

「亮と過ごした日々、俺は忘れない」

「俺も忘れない」

「……」

「……」

チーと亮は見つめ合った。

そしてチーは亮に顔を近づけ別れの口づけを交わし姿を消した。

そこへ千絵が現れた。

千絵は涙を流す亮に近づき背後から優しく抱きしめた。
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