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夢に囚われし者
十三
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「……ごめんなさい、心配かけて」
「まったくよ! いつまで経っても帰ってこないから何かあったのかと思ったじゃない」
占い師に支えられながらゆっくりと歩き出す岬に、雪子も歩調を合わせてゆっくりと公園を出た。
だが広い道に出て、街灯の明かりが一人一人の姿を映し出すと同時、雪子は岬に飛びついた。
「ちょっと! この首どうしたの!?」
街灯にはっきりと映し出されたのは、岬の首に引かれた蚯蚓腫れのような赤いライン。
「まさかアイツに殺されかけたんじゃないでしょうね!」
「まさか……」
岬は力なく否定するが、それを信じる者などここにはいない。
「何があったんですか?」
占い師にも心配そうに尋ねられて、岬は精一杯、表情を明るくして見せる。
「なんもないです……、岡山君、虐められたせいで気が立っていたみたいで……、俺のことを放そうとしなかっただけですから」
「それでずっと首輪をかけられていたとでも言うつもり!?」
「雪子さん……」
怒りに満ちている雪子を落ち着かせようと、青年は唇の前で人差し指を立てる。
「何があったにせよ、岬君はこうしてここにいるんですから」
「けどっ」
「岬君は疲れているようですし、それに加えて貴女に叱られたのでは救われませんよ」
そう言われては黙らざるを得ない。
雪子とて、一太のように岬を困らせたいなどとは間違っても思わない。
「……俺は本当に大丈夫だし、雪子と占い師さんにも悪いことしたけど……」
「影見君にも、ですね」
岬の沈黙に青年が続ける。
言われた当人は少なからず驚いたようだったけれど、しばらくして静かに頷いた。
「せっかく……やっとこの町に帰ってきてくれたのに……俺、すごく悪いことした……」
「これくらいで怒る人でははいと思うけど……。そうよ、こうなったらやっぱり影見君に直接対決をお願いするの! もう岬ちゃんを行かせないって、影見君からビシッと言ってもらわなきゃ!」
「雪子……」
「だってこのままじゃ本当に岬ちゃんが殺されちゃう!」
「そんなことないよ……。それに河夕に迷惑かけたくないんだ。これは俺の問題だし」
「でも影見君だって岬ちゃんが辛いのは耐えられないと思うわ!」
岬と雪子のそんな会話を聞いていて、占い師はくすくすと笑い出す。
「お二人にとってその影見君は、よほど大切な方なんですね」
「だって私が唯一、岬ちゃんの親友として認めた人だもの」
「どういう基準だ」
呆れる岬に、雪子はなおも続ける。
「そりゃあ、しょうもない所は限界極めているってくらいひどいけど、実はいい人だって、岬ちゃんが一番知っているはずよ」
「それはね……、変な奴だけど」
河夕は、今や自分達にとってかけがえのない存在だ。
雪子にとっては唯一隠し事が出来ない相手であり、岬にとっては一緒に生きていきたい友人として、たった一人の大事な存在。
「そうだ、占い師さんも河夕に会って行きませんか? あいつの適当な性格がいつ改善されるか占って下さい」
岬が言うと、占い師は楽しそうに笑った。
「いえ、今日は遠慮させていただきます。時間が時間ですし、まだ大事な仕事が残っていますから」
三人が四城寺の石段前まで来た時、時刻は七時少し前。
空はすっかり夜闇に覆われている。
これからまだ仕事があるのに、雪子と一緒に自分を心配してくれていたのかと思うと、岬はいっそう申し訳なくなってきた。
「こんな時間まで本当にすみませんでした」
「いえ。雪子さんといろいろ話せて楽しかったですよ」
「私も楽しかったです。ありがとうございました」
「それでは、また」
告げて、去っていく占い師を見送って、岬と雪子は石段を上がっていく。本当なら雪子は石段など上がらずに隣の自分の家へと帰ればいいのだが、岬ちゃんが心配だからと、母屋まで同行することになった。
そうして玄関まであと数歩というところでタイミングよく出てきたのは影見河夕。
「やっと帰ってきたな」
「ただいま……、って、河夕に言うのも変な感じだけど」
笑って言いながら、三人は互いに近づいた。
「けど、今日はごめん……結局こんな時間になっちゃって……」
「それは気にするな。……だが、この首はどうした?」
河夕の冷たい指先が赤く腫れた岬の首筋に触れる。
「……どうして皆、気付くんだろう」
「こんな派手に腫れていて気付かない方がおかしいだろ」
痛々しい岬の首に、河夕は眉を顰めた。
「……これも例の谷山か?」
「谷山……? あ、谷山じゃなくて岡山だよ。雪子に聞いたのか?」
「岡山……? 谷山じゃないのか?」
「岡山でも谷山でもどうでもいいのよあんな奴! その人、今日珍しく学校に来てたんだけど、来るなり同級生に虐められたとかで岬ちゃん引き連れて帰ったのよ、その後ず~~~っと抱きつかれていたんですって!」
「……おまえ、とうとう男に抱きつかれるようになったのか」
「どういう意味さ」
「そういう問題じゃないでしょ!?」
雪子がわめく。
「だから影見君! さっきも話してたんだけど影見君が直接その岡山だかのところに言って話をつけてきて頂戴! このままじゃ岬ちゃんが殺されちゃうわ!」
「ああ、わかった」
「ダメだよ、これは俺の問題なんだから」
「岬ちゃん!」
「俺は大丈夫。雪子が心配してくれるのは嬉しいけど、本当に大丈夫だから」
「……岬ちゃんのバカ」
ここまで言われては、たとえ雪子と言えども、岬の性格を知っている以上はそんな言葉で不服を唱えるのが最後の反論だった。
そんな幼馴染に微笑って、岬は河夕を見上げる。
「だけど……今日は疲れちゃって……もう休みたいんだけど、いいかな」
「当たり前だ。疲れたときはさっさと寝ろ」
言いながら、雪子が巻いていたマフラーを引き取り、岬の首に巻いてやる。
「親父さんたちに変な心配かけるなよ」
「……ありがとう」
「本当に大丈夫なんだな?」
「うん」
河夕が本当に心配してくれていることが岬にも伝わって、はっきりと頷く。
無用の負担なんかかけたくない。
河夕の優しさ、ただそれだけでたくさんの勇気が湧いてくる。
「おやすみ」
「お休み」
一人、家屋へ入っていく岬を見送った二人。
「……さて、隣っつっても結構歩くし、松橋は俺が送っていくか」
「え、あ、うん」
「悪かったな、勝手にマフラー取っちまって」
「全然平気。あのマフラーが帰ってくるときのこと考えたら暑いくらいよ」
雪子の返答に、河夕は笑った。
「でも……影見君。本当に考えておいて? 岬ちゃんはいいって言ったけど、このままじゃ本当に岬ちゃんが殺されちゃう気がする……」
「……あぁ」
それは河夕も同意見だ。
あの首の痕…あれが故意によるものであることは、河夕には一目で判っていた。
もっと言えば、河夕は今朝、岬達と別れてから谷山という少年をずっと探していたのだ。当初は、その少年が元凶であれば魔物の気配を追うことで辿り着けるだろうと予測していたのだが、何分にもこの町に蔓延る魔物の量は異常で、根源の気配を巧く隠してしまっている。
だったら名前で探すしかないと谷山の名を地図や電話帳から探していたのだが、それも間違いだったとは。
(明日、もう一度調べて見るか)
河夕が考えをまとめたと同時、雪子から声が掛かる。
「……ね、影見君」
「ん?」
「私ってそんなに岬ちゃんの世話を焼いているように見える? 母親みたい?」
不覚ながらも河夕は言葉を詰まらせた。
どう答えることが、この少女を噴火する前に沈静させることが出来るだろう。
そう思い悩む一方で、雪子にこのような疑問を抱かせた誰かに責任を取れと内心で叫んでしまう河夕だった。
満月が輝く闇夜。
細身の青年がそこに羽ばたいたのは、紛れもなく闇の蠢きが露になる前兆だった……。
「まったくよ! いつまで経っても帰ってこないから何かあったのかと思ったじゃない」
占い師に支えられながらゆっくりと歩き出す岬に、雪子も歩調を合わせてゆっくりと公園を出た。
だが広い道に出て、街灯の明かりが一人一人の姿を映し出すと同時、雪子は岬に飛びついた。
「ちょっと! この首どうしたの!?」
街灯にはっきりと映し出されたのは、岬の首に引かれた蚯蚓腫れのような赤いライン。
「まさかアイツに殺されかけたんじゃないでしょうね!」
「まさか……」
岬は力なく否定するが、それを信じる者などここにはいない。
「何があったんですか?」
占い師にも心配そうに尋ねられて、岬は精一杯、表情を明るくして見せる。
「なんもないです……、岡山君、虐められたせいで気が立っていたみたいで……、俺のことを放そうとしなかっただけですから」
「それでずっと首輪をかけられていたとでも言うつもり!?」
「雪子さん……」
怒りに満ちている雪子を落ち着かせようと、青年は唇の前で人差し指を立てる。
「何があったにせよ、岬君はこうしてここにいるんですから」
「けどっ」
「岬君は疲れているようですし、それに加えて貴女に叱られたのでは救われませんよ」
そう言われては黙らざるを得ない。
雪子とて、一太のように岬を困らせたいなどとは間違っても思わない。
「……俺は本当に大丈夫だし、雪子と占い師さんにも悪いことしたけど……」
「影見君にも、ですね」
岬の沈黙に青年が続ける。
言われた当人は少なからず驚いたようだったけれど、しばらくして静かに頷いた。
「せっかく……やっとこの町に帰ってきてくれたのに……俺、すごく悪いことした……」
「これくらいで怒る人でははいと思うけど……。そうよ、こうなったらやっぱり影見君に直接対決をお願いするの! もう岬ちゃんを行かせないって、影見君からビシッと言ってもらわなきゃ!」
「雪子……」
「だってこのままじゃ本当に岬ちゃんが殺されちゃう!」
「そんなことないよ……。それに河夕に迷惑かけたくないんだ。これは俺の問題だし」
「でも影見君だって岬ちゃんが辛いのは耐えられないと思うわ!」
岬と雪子のそんな会話を聞いていて、占い師はくすくすと笑い出す。
「お二人にとってその影見君は、よほど大切な方なんですね」
「だって私が唯一、岬ちゃんの親友として認めた人だもの」
「どういう基準だ」
呆れる岬に、雪子はなおも続ける。
「そりゃあ、しょうもない所は限界極めているってくらいひどいけど、実はいい人だって、岬ちゃんが一番知っているはずよ」
「それはね……、変な奴だけど」
河夕は、今や自分達にとってかけがえのない存在だ。
雪子にとっては唯一隠し事が出来ない相手であり、岬にとっては一緒に生きていきたい友人として、たった一人の大事な存在。
「そうだ、占い師さんも河夕に会って行きませんか? あいつの適当な性格がいつ改善されるか占って下さい」
岬が言うと、占い師は楽しそうに笑った。
「いえ、今日は遠慮させていただきます。時間が時間ですし、まだ大事な仕事が残っていますから」
三人が四城寺の石段前まで来た時、時刻は七時少し前。
空はすっかり夜闇に覆われている。
これからまだ仕事があるのに、雪子と一緒に自分を心配してくれていたのかと思うと、岬はいっそう申し訳なくなってきた。
「こんな時間まで本当にすみませんでした」
「いえ。雪子さんといろいろ話せて楽しかったですよ」
「私も楽しかったです。ありがとうございました」
「それでは、また」
告げて、去っていく占い師を見送って、岬と雪子は石段を上がっていく。本当なら雪子は石段など上がらずに隣の自分の家へと帰ればいいのだが、岬ちゃんが心配だからと、母屋まで同行することになった。
そうして玄関まであと数歩というところでタイミングよく出てきたのは影見河夕。
「やっと帰ってきたな」
「ただいま……、って、河夕に言うのも変な感じだけど」
笑って言いながら、三人は互いに近づいた。
「けど、今日はごめん……結局こんな時間になっちゃって……」
「それは気にするな。……だが、この首はどうした?」
河夕の冷たい指先が赤く腫れた岬の首筋に触れる。
「……どうして皆、気付くんだろう」
「こんな派手に腫れていて気付かない方がおかしいだろ」
痛々しい岬の首に、河夕は眉を顰めた。
「……これも例の谷山か?」
「谷山……? あ、谷山じゃなくて岡山だよ。雪子に聞いたのか?」
「岡山……? 谷山じゃないのか?」
「岡山でも谷山でもどうでもいいのよあんな奴! その人、今日珍しく学校に来てたんだけど、来るなり同級生に虐められたとかで岬ちゃん引き連れて帰ったのよ、その後ず~~~っと抱きつかれていたんですって!」
「……おまえ、とうとう男に抱きつかれるようになったのか」
「どういう意味さ」
「そういう問題じゃないでしょ!?」
雪子がわめく。
「だから影見君! さっきも話してたんだけど影見君が直接その岡山だかのところに言って話をつけてきて頂戴! このままじゃ岬ちゃんが殺されちゃうわ!」
「ああ、わかった」
「ダメだよ、これは俺の問題なんだから」
「岬ちゃん!」
「俺は大丈夫。雪子が心配してくれるのは嬉しいけど、本当に大丈夫だから」
「……岬ちゃんのバカ」
ここまで言われては、たとえ雪子と言えども、岬の性格を知っている以上はそんな言葉で不服を唱えるのが最後の反論だった。
そんな幼馴染に微笑って、岬は河夕を見上げる。
「だけど……今日は疲れちゃって……もう休みたいんだけど、いいかな」
「当たり前だ。疲れたときはさっさと寝ろ」
言いながら、雪子が巻いていたマフラーを引き取り、岬の首に巻いてやる。
「親父さんたちに変な心配かけるなよ」
「……ありがとう」
「本当に大丈夫なんだな?」
「うん」
河夕が本当に心配してくれていることが岬にも伝わって、はっきりと頷く。
無用の負担なんかかけたくない。
河夕の優しさ、ただそれだけでたくさんの勇気が湧いてくる。
「おやすみ」
「お休み」
一人、家屋へ入っていく岬を見送った二人。
「……さて、隣っつっても結構歩くし、松橋は俺が送っていくか」
「え、あ、うん」
「悪かったな、勝手にマフラー取っちまって」
「全然平気。あのマフラーが帰ってくるときのこと考えたら暑いくらいよ」
雪子の返答に、河夕は笑った。
「でも……影見君。本当に考えておいて? 岬ちゃんはいいって言ったけど、このままじゃ本当に岬ちゃんが殺されちゃう気がする……」
「……あぁ」
それは河夕も同意見だ。
あの首の痕…あれが故意によるものであることは、河夕には一目で判っていた。
もっと言えば、河夕は今朝、岬達と別れてから谷山という少年をずっと探していたのだ。当初は、その少年が元凶であれば魔物の気配を追うことで辿り着けるだろうと予測していたのだが、何分にもこの町に蔓延る魔物の量は異常で、根源の気配を巧く隠してしまっている。
だったら名前で探すしかないと谷山の名を地図や電話帳から探していたのだが、それも間違いだったとは。
(明日、もう一度調べて見るか)
河夕が考えをまとめたと同時、雪子から声が掛かる。
「……ね、影見君」
「ん?」
「私ってそんなに岬ちゃんの世話を焼いているように見える? 母親みたい?」
不覚ながらも河夕は言葉を詰まらせた。
どう答えることが、この少女を噴火する前に沈静させることが出来るだろう。
そう思い悩む一方で、雪子にこのような疑問を抱かせた誰かに責任を取れと内心で叫んでしまう河夕だった。
満月が輝く闇夜。
細身の青年がそこに羽ばたいたのは、紛れもなく闇の蠢きが露になる前兆だった……。
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