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第1章 異世界に転移しました
13.建前が大事です
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「レイナルドさんっ、俺の依頼、受けて貰えますかっ?」
「依頼?」
勢いで言い掛けて、ハッと食堂を見る。
大きな声も、あの男が見える範囲もダメだ。
「依頼ってどうしたら出せるんですか教えてください」
「それは構わんが……どうしてそういう発想になったのか説明しろ」
「そうですね」
再びの唐突な声掛けに驚いて振り返ると、冒険者ギルドのサブマスターことララが少しばかり困った様子で立っていた。
「もしよろしければ二階の応接室は如何ですか?」
「お願いしますっ」
躊躇う理由はなかった。
数時間前はララ、クルトが座っていたソファに、いまはララとレイナルドが座っている。
クルトの時はもう一人くらい座れそうだったことを考えると体格差がよく判る。それに大きいのは体格だけじゃなく、貫禄? クルトより10年以上多いのだろう人生経験が男らしさに深みを持たせていると言うべきなのだろう。
とにかく、渋い。
イケオジだ。
そして頭上にはもふもふして尖っている三角の耳。
「くっ……」
「レンさん?」
「す、すみません」
地球に居ない人達だったせいか、頭に動物の耳があるイケオジに真顔を向けられると破壊力がすごい。早めに慣れないと困ったことになりそうだ……。
「では早速ですが、レンさんがレイナルドさんに依頼を受けて欲しい理由と、その内容をお伺いしてもよろしいですか?」
「はい」
ララに質問されて気を取り直した俺は迷わず答える。
「レイナルドさんは、俺が正教会所属の僧侶だってご存知で、犯罪に巻き込まれないために直感が鋭いって判ってくれそうだからお願いしたいと思いました。依頼の内容はクルトさんの護衛です」
「クルトさんの、ですか」
「はい。さっき一緒にいたジェイさんって人が、とても……とても、イヤな感じがしました……ネームタグの件に関係しているんじゃないかと思うんです」
根拠もなく誰かを悪く言うことに躊躇いはある。
だが、自分が迷ったせいでクルトが犯罪に巻き込まれるのは絶対に嫌だ。
真っ直ぐに二人を見て言い切ると、彼らは顔を見合わせ、硬い表情で視線を戻してくる。
先に口を開いたのはララさん。
「ジェイさんは、もう2年以上クルトさん達とパーティを組んでいる方です。これまでに問題を起こした事はなく、依頼人への態度も問題無し。仲間内の評判も悪くありません」
「他にもメンバーがいるんですか?」
「いまは6名で活動されていらっしゃいます」
「……俺の直感じゃ、根拠になりません……よね」
「主神様の加護持ちでなければこのような場を設ける事もなかったでしょう」
言って、彼女は困った顔で嘆息した。
「冒険者ギルドとしてもクルトさんのネームタグだけが街の外にあったという時点で様々な方向から調査が必要だという判断です。取り急ぎ、レンさんが街に入られる以前に街を出た者を調査しましたが怪しい人物は浮かんでいません」
「あの人は出入りしていないって事ですか」
「それ以前の問題だな」
レイナルドが言う。
「もしジェイがタグを盗んで外に捨てて来ようとしたなら、門を出る前に窃盗罪が判明する。門兵が共犯なら判らんが、門兵こそ勤務前後に身分証紋を提示するから、その線は薄い」
この街に入る時に受けた身分証紋の確認は、街から出る時にも行われている。
犯罪者を逃がさないのも門兵の仕事だからだ。
つまり、ジェイが自由にしている時点で、彼はクルトのネームタグを街の外に捨てた犯人ではなくなったのだ。
「じゃあ……門兵さんの隙を付いて検問をすり抜けたとか……」
「そう変わらない。結局どの町を出入りするにも身分証紋を提示しなければならないんだ。トゥルヌソルに入った記録があるのに出た記録がない、なのに街に入ろうとしたなんてことになれば即バレだ。山奥でたった一人自給自足の生活をする覚悟ならまぁ……。だが、そういう覚悟でやったにしてはネームタグを子どもが拾えるような場所に捨てていくのはお粗末としか言いようがない」
「なるほど……」
鑑定スキルのことは内緒なので言えないが、あんな草の中に落ちていたら普通は見つかるまでかなりの時間が掛かったと思う。それこそクルトは間違いなく借金奴隷に落とされていただろう。
「じゃあ、捨てるのは別にどこでもよくて、時間を稼ぐのが目的だったとしたらどうですか?」
「時間?」
「クルトさんが借金奴隷として売られるまで、の」
言うと、二人がピシリと固まった。
そんな驚かせるような事を言っただろうか。
「俺はよく判っていないので、ただの想像ですが、奴隷って言うくらいです。売られていたら酷い目に遭いますよね……?」
「そう、ですね」
目が泳ぐララと、真面目な顔で考え込んでいるレイナルド。
思い当たることでもあったんだろうか。
しばらく皆が無言の時間が過ぎる。
「そうか、それで余裕をみて12,000か……」
不意にレイナルドが呟いたかと思うと、その眼差しがキラリと光ったように見えた。
「レイナルドさん?」
「ああ。だが、まだだ。犯罪歴が付くって判っていてクルトのネームタグを持ち出した奴が何らかの形で検問から逃れている。それがジェイの差し金ならあいつにも犯罪歴が付くだろうが、クルトに怨みを持っている第三者がいて、そいつの計画に便乗しただけなら、現時点で何もしていないジェイに犯罪歴は付かないし、捕まえられない」
「止めなかったのに、ですか?」
「止めないのは犯罪じゃないからな」
それはそうだ。
幼い子が大人の犯罪を目撃したとして、声を上げれば自分が殺される危険だってある。それを見なかったフリしたからといって犯罪者の仲間入りは有り得ない。例としては極端だがそういうことだ。
打つ手がない……と落ち込んだら、レイナルドが励ますように言う。
「しかし護衛は名案だぞ」
「え……」
「護衛ではなく監視になると思いますが」
言い換えたのはララ。
彼女もいろいろ考えている顔だ。
「主神様の加護をお持ちのレンさんのお願いで、依頼を受けるのがレイナルドさんなら、ギルドマスターも納得されると思います。一時的にせよタグを紛失するというのはそれだけの問題事案ですから」
ん?
「ああ。タグを失くすような間抜けな冒険者が12,000も支払ったんだ。道を踏み外すのも無理はない」
「恩返しに街を案内と言いながら、こんな幼い子にパーティに入れとしつこく勧誘するなんて」
「えっ」
「僧侶がパーティに居ればそれだけで収入が増すんだ、気持ちは判るが……見損なったぞクルト」
「ええ、まったくです」
「はい⁈ 待っ……え。どういうことですか?」
焦って説明を求めると、二人はよく似た笑みを浮かべる。
「レンの依頼を受ける相談だよ」
「ええ。どうしても立派な建前というのが必要になりますから」
建前。
それって、つまり。
「クルトさんには、タグを失くした件で事情を聴くため夕方にギルドに来るよう伝えてあります。レンさんへの街案内がどれくらい掛かるか判りませんでしたから……結果的に正解でしたね。監視はそこから開始しましょう」
「護衛は本人の許可が必要で周囲にも知られてしまうが、監視なら本人の許可は不要どころか周りにも気付かれない。罪を犯させるには好都合だろ?」
二人はとってもいい笑顔だった。
その後『問題行動を起こしたクルトの監視』という内容を、依頼料1ゴールドつまり銅貨一枚で請け負ってくれたレイナルドと、その依頼書を事後報告でギルドマスターに届けに行ったララと別れ、一人で宿屋「猿の縄張り」に向かった。
道はきちんと覚えていた。
クルトが丁寧に教えてくれたおかげだ。
眠いし、そのクルトが心配だしで頭痛までして来たけれど、カウンター越しに宿屋の御主人を見つけて「無事に着いた」と安心したら少しだけ楽になった。
獣人族の、動物の特徴の差異は人それぞれらしくて、今日見掛けたほとんどの獣人が耳以外は人族と変わらないように見えたけど、御主人は顔だけ他の部分より赤い気がする。
「すみません」
「おう、お帰り」
声を掛けると、顔を皺くちゃにして笑ってくれる。
とても冒険者相手に鉄槌を下すような好戦的な人には見えない。
「観光は楽しかったか?」
「はい」
「んん? 顔色が悪いようだが、どうした?」
「ちょっと疲れたみたいで……これから部屋で休もうと思います」
「そうか、ちゃんと鍵かけてな。具合が悪いようなら遠慮なく言いに来いよ?」
「はい」
借りた部屋は三階の奥。
クルトの事でもやもやしつつ階段を上がっていたのだが、その途中で、ほとんど無意識に視線が御主人のお尻に……いや、そんなヤラしい意味ではない!
実を言うと、クルトに街を案内してもらっている時から、一つ、どうしても気になる事があったのだ。
ファンタジー小説だと獣人族の魅力はもふもふと耳と尻尾のはずだが、この世界の獣人族には尻尾がない。
いや、ないのではなく隠している……ような気がする。
レイナルドは鎧の一部に腰巻があったし、ララは女性だからじろじろ見るのは憚られ、外を歩いているほとんどの人がクルトがそうだったように上着の丈が長かったり、ワンピースだったりで判り難かったのだが、御主人のズボンの臀部には尻尾が入っているんだろう膨らみがあった。
ということは、尻尾は隠すのがこの世界の常識ということになる。
「気を付けないとなぁ……」
勉強がしたい。
戻ったらすぐに「ロテュス 虎の巻」を買おう。
常識が足りないままでは、いつかまた「どうして尻尾を隠すんですか?」なんて失言をしそうである。
「依頼?」
勢いで言い掛けて、ハッと食堂を見る。
大きな声も、あの男が見える範囲もダメだ。
「依頼ってどうしたら出せるんですか教えてください」
「それは構わんが……どうしてそういう発想になったのか説明しろ」
「そうですね」
再びの唐突な声掛けに驚いて振り返ると、冒険者ギルドのサブマスターことララが少しばかり困った様子で立っていた。
「もしよろしければ二階の応接室は如何ですか?」
「お願いしますっ」
躊躇う理由はなかった。
数時間前はララ、クルトが座っていたソファに、いまはララとレイナルドが座っている。
クルトの時はもう一人くらい座れそうだったことを考えると体格差がよく判る。それに大きいのは体格だけじゃなく、貫禄? クルトより10年以上多いのだろう人生経験が男らしさに深みを持たせていると言うべきなのだろう。
とにかく、渋い。
イケオジだ。
そして頭上にはもふもふして尖っている三角の耳。
「くっ……」
「レンさん?」
「す、すみません」
地球に居ない人達だったせいか、頭に動物の耳があるイケオジに真顔を向けられると破壊力がすごい。早めに慣れないと困ったことになりそうだ……。
「では早速ですが、レンさんがレイナルドさんに依頼を受けて欲しい理由と、その内容をお伺いしてもよろしいですか?」
「はい」
ララに質問されて気を取り直した俺は迷わず答える。
「レイナルドさんは、俺が正教会所属の僧侶だってご存知で、犯罪に巻き込まれないために直感が鋭いって判ってくれそうだからお願いしたいと思いました。依頼の内容はクルトさんの護衛です」
「クルトさんの、ですか」
「はい。さっき一緒にいたジェイさんって人が、とても……とても、イヤな感じがしました……ネームタグの件に関係しているんじゃないかと思うんです」
根拠もなく誰かを悪く言うことに躊躇いはある。
だが、自分が迷ったせいでクルトが犯罪に巻き込まれるのは絶対に嫌だ。
真っ直ぐに二人を見て言い切ると、彼らは顔を見合わせ、硬い表情で視線を戻してくる。
先に口を開いたのはララさん。
「ジェイさんは、もう2年以上クルトさん達とパーティを組んでいる方です。これまでに問題を起こした事はなく、依頼人への態度も問題無し。仲間内の評判も悪くありません」
「他にもメンバーがいるんですか?」
「いまは6名で活動されていらっしゃいます」
「……俺の直感じゃ、根拠になりません……よね」
「主神様の加護持ちでなければこのような場を設ける事もなかったでしょう」
言って、彼女は困った顔で嘆息した。
「冒険者ギルドとしてもクルトさんのネームタグだけが街の外にあったという時点で様々な方向から調査が必要だという判断です。取り急ぎ、レンさんが街に入られる以前に街を出た者を調査しましたが怪しい人物は浮かんでいません」
「あの人は出入りしていないって事ですか」
「それ以前の問題だな」
レイナルドが言う。
「もしジェイがタグを盗んで外に捨てて来ようとしたなら、門を出る前に窃盗罪が判明する。門兵が共犯なら判らんが、門兵こそ勤務前後に身分証紋を提示するから、その線は薄い」
この街に入る時に受けた身分証紋の確認は、街から出る時にも行われている。
犯罪者を逃がさないのも門兵の仕事だからだ。
つまり、ジェイが自由にしている時点で、彼はクルトのネームタグを街の外に捨てた犯人ではなくなったのだ。
「じゃあ……門兵さんの隙を付いて検問をすり抜けたとか……」
「そう変わらない。結局どの町を出入りするにも身分証紋を提示しなければならないんだ。トゥルヌソルに入った記録があるのに出た記録がない、なのに街に入ろうとしたなんてことになれば即バレだ。山奥でたった一人自給自足の生活をする覚悟ならまぁ……。だが、そういう覚悟でやったにしてはネームタグを子どもが拾えるような場所に捨てていくのはお粗末としか言いようがない」
「なるほど……」
鑑定スキルのことは内緒なので言えないが、あんな草の中に落ちていたら普通は見つかるまでかなりの時間が掛かったと思う。それこそクルトは間違いなく借金奴隷に落とされていただろう。
「じゃあ、捨てるのは別にどこでもよくて、時間を稼ぐのが目的だったとしたらどうですか?」
「時間?」
「クルトさんが借金奴隷として売られるまで、の」
言うと、二人がピシリと固まった。
そんな驚かせるような事を言っただろうか。
「俺はよく判っていないので、ただの想像ですが、奴隷って言うくらいです。売られていたら酷い目に遭いますよね……?」
「そう、ですね」
目が泳ぐララと、真面目な顔で考え込んでいるレイナルド。
思い当たることでもあったんだろうか。
しばらく皆が無言の時間が過ぎる。
「そうか、それで余裕をみて12,000か……」
不意にレイナルドが呟いたかと思うと、その眼差しがキラリと光ったように見えた。
「レイナルドさん?」
「ああ。だが、まだだ。犯罪歴が付くって判っていてクルトのネームタグを持ち出した奴が何らかの形で検問から逃れている。それがジェイの差し金ならあいつにも犯罪歴が付くだろうが、クルトに怨みを持っている第三者がいて、そいつの計画に便乗しただけなら、現時点で何もしていないジェイに犯罪歴は付かないし、捕まえられない」
「止めなかったのに、ですか?」
「止めないのは犯罪じゃないからな」
それはそうだ。
幼い子が大人の犯罪を目撃したとして、声を上げれば自分が殺される危険だってある。それを見なかったフリしたからといって犯罪者の仲間入りは有り得ない。例としては極端だがそういうことだ。
打つ手がない……と落ち込んだら、レイナルドが励ますように言う。
「しかし護衛は名案だぞ」
「え……」
「護衛ではなく監視になると思いますが」
言い換えたのはララ。
彼女もいろいろ考えている顔だ。
「主神様の加護をお持ちのレンさんのお願いで、依頼を受けるのがレイナルドさんなら、ギルドマスターも納得されると思います。一時的にせよタグを紛失するというのはそれだけの問題事案ですから」
ん?
「ああ。タグを失くすような間抜けな冒険者が12,000も支払ったんだ。道を踏み外すのも無理はない」
「恩返しに街を案内と言いながら、こんな幼い子にパーティに入れとしつこく勧誘するなんて」
「えっ」
「僧侶がパーティに居ればそれだけで収入が増すんだ、気持ちは判るが……見損なったぞクルト」
「ええ、まったくです」
「はい⁈ 待っ……え。どういうことですか?」
焦って説明を求めると、二人はよく似た笑みを浮かべる。
「レンの依頼を受ける相談だよ」
「ええ。どうしても立派な建前というのが必要になりますから」
建前。
それって、つまり。
「クルトさんには、タグを失くした件で事情を聴くため夕方にギルドに来るよう伝えてあります。レンさんへの街案内がどれくらい掛かるか判りませんでしたから……結果的に正解でしたね。監視はそこから開始しましょう」
「護衛は本人の許可が必要で周囲にも知られてしまうが、監視なら本人の許可は不要どころか周りにも気付かれない。罪を犯させるには好都合だろ?」
二人はとってもいい笑顔だった。
その後『問題行動を起こしたクルトの監視』という内容を、依頼料1ゴールドつまり銅貨一枚で請け負ってくれたレイナルドと、その依頼書を事後報告でギルドマスターに届けに行ったララと別れ、一人で宿屋「猿の縄張り」に向かった。
道はきちんと覚えていた。
クルトが丁寧に教えてくれたおかげだ。
眠いし、そのクルトが心配だしで頭痛までして来たけれど、カウンター越しに宿屋の御主人を見つけて「無事に着いた」と安心したら少しだけ楽になった。
獣人族の、動物の特徴の差異は人それぞれらしくて、今日見掛けたほとんどの獣人が耳以外は人族と変わらないように見えたけど、御主人は顔だけ他の部分より赤い気がする。
「すみません」
「おう、お帰り」
声を掛けると、顔を皺くちゃにして笑ってくれる。
とても冒険者相手に鉄槌を下すような好戦的な人には見えない。
「観光は楽しかったか?」
「はい」
「んん? 顔色が悪いようだが、どうした?」
「ちょっと疲れたみたいで……これから部屋で休もうと思います」
「そうか、ちゃんと鍵かけてな。具合が悪いようなら遠慮なく言いに来いよ?」
「はい」
借りた部屋は三階の奥。
クルトの事でもやもやしつつ階段を上がっていたのだが、その途中で、ほとんど無意識に視線が御主人のお尻に……いや、そんなヤラしい意味ではない!
実を言うと、クルトに街を案内してもらっている時から、一つ、どうしても気になる事があったのだ。
ファンタジー小説だと獣人族の魅力はもふもふと耳と尻尾のはずだが、この世界の獣人族には尻尾がない。
いや、ないのではなく隠している……ような気がする。
レイナルドは鎧の一部に腰巻があったし、ララは女性だからじろじろ見るのは憚られ、外を歩いているほとんどの人がクルトがそうだったように上着の丈が長かったり、ワンピースだったりで判り難かったのだが、御主人のズボンの臀部には尻尾が入っているんだろう膨らみがあった。
ということは、尻尾は隠すのがこの世界の常識ということになる。
「気を付けないとなぁ……」
勉強がしたい。
戻ったらすぐに「ロテュス 虎の巻」を買おう。
常識が足りないままでは、いつかまた「どうして尻尾を隠すんですか?」なんて失言をしそうである。
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