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新章 2話 小早川神楽はときめかない

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まずこの男の説明から今日の話は入るとしよう。

アン・ジール
彼はこの学校の校長の従者であり、桜庭先生の友人であり補佐役。
かつてはキックボクシングの世界チャンピオンでありダーツの世界王者であり、ボーリングのベストスコアは299。さらにピザ屋を運営し空を飛べて時間を戻せて隕石を呼べたそうだ。
かつて繰り広げた死闘により力の大半を失った末、ここで教師をしているというが…

「アン先生は桜庭先生と仲いいんですか?」
「朋友《ぽんよう》」
「かっこよく言っちゃったな!」

なんか変な人だな…
でもクラスの女子はみんな知ってるみたいだけど…

「なぁ小早川さん、アン先生って有名なの?」
「あら随分と他人行儀ね、神楽でいいわよ」
「え、ああ。じゃあ神楽」
「なによ馴れ馴れしいわね」
「意味のわからんフェイントはやめろ!」

まともに会話もできないのかこいつは…

「冗談よ、私とあなたはベロチューの契りを交わした仲ですもの、それで何についてお話してたかしら?」
「待て、その前にその勝手な契りを解消しろ!」
「初回無料サービスで話はついたでしょ?」
「誰と何の話がついたんだ!」

もういい…こいつと話すと頭が痛くなる。

「なぁ神薙さん、アン先生って」
「なんかよそよそしいですわよ冴島さん、飛鳥でいいですわ」
「ほんとか?」
「ええ、私は神楽さんと違ってそんな意地悪言いませんので。」
「じゃあ飛鳥、アン先生って有名なのか?」
「アスカといえば有名なセクシー女優の方とは漢字が違いますので間違えないでくださいね!」
「いちいち自分らのしたい話を差し込んでくるな!質問に答えろ!」
「はいはい、アン先生はこの学校のスーパーレジェンドであります桜庭先生と、その彼女でありますカレン様と大変懇意にされておられるので、学校の皆様からも一目置かれる存在ですのよ?」
「そうなんだ…」

人は見かけによらないということ、かな?

「そういえばお前らは全員処女って本当なのか?僕は信じられないんだけど…」
「本当ですわ。処女ということで特待生枠で入学したのですから。ちゃんと処女チェッカーも使いましたし」
「なんだその一見便利そうで使いどころのわからないアイテムは!?22世紀になってもそんなものは活用されないと思うぞ!」

処女チェッカーを開発したやつはどんな気持ちだったんだ…

僕の両隣の二人と会話をしていると、後ろの席の道明寺さんが先生に質問した。

「先生!先生は一人派ですか?エッチ派ですか?」

なにその質問!?そんなのまともに答えてくれるわけ…

「俺は生粋のオ○ニスト」
「なんでまともに答えちゃうかな先生も!?」

いかん生徒も先生も無茶苦茶だ…

「えー、素敵!だったら先生今度観賞会しましょ!」
「観賞会ってなんだよ!?お互いの見せ合うの?どんなプレイだよ!」
「冴島さん、オ○ニーの見せ合いなんてAVでは序盤にやることですのよ?」
「お前は入ってくるな!そしてAVの話を世の中の常識みたいに言うな!」

飛鳥は本当にAVのことしか頭にないのか?

「なんや冴島っちはウブやなー、うちなんか家の庭でやっててオカンに怒られたこともあるでー」
「その聞きたくない人の黒歴史をサラッと言うのやめろ!いつの話だよ!」
「んー、去年の5月?」
「最近だな!?普通捕まるぞ!」

なんで庭で…いや掘り下げるのはよそう…

アン先生がきたことで賑わう教室に、もう一人先生が入ってきた。

「はい、静かにしてねー。とりあえず出席とるよ」

桜庭先生だ!
ああ、僕の憧れの桜庭先生。一体どんなツッコミを見せてくれるのか楽しみだ。

早速飛鳥がジャブを打つように質問を繰り出した。

「先生、先生はカレン様と毎日やりまくりなのですか?」
「ああ、昨日は5回した…」
「いやーん、先生のエッチー」
「おかげでヘロヘロだよ…」

あれ、なんかキレがないな…
僕も先生に何か聞いてみるか?

「先生、先生はツッコミが秀逸という話を聞いたんですけどなんか大人しいですよね?」

すると桜庭先生が僕の方を哀れな子羊でも見るかのような眼差しで見てきた。

「君が今年の犠牲者か…いや、去年はもっと変な人がたくさんいたから慣れただけだよ」
「え、こんなメンツよりもすごいのが!?」

さすが百戦錬磨の桜庭先生だ…
同じ高校生なのに落ち着きが全然違う。

また横から神楽が話しかけてきた。

「ねえ冴島くん、桜庭先生ってイケてると思わないかしら?」
「あ、ああ。雰囲気が大人だよな」
「ふふ、私のテクニックでどれだけもつのかしら?」
「いや彼女いるからそんなことしたらダメだろ!それにお前処女だろ!?テクニックも何もないだろ?」
「なによ、私の脳内シミュレーションではあなたはゴムをつける段階で2回はイッてるわよ?」
「なんだその都合のいいシミュレーションは!?それにお前のテクニック関係ないじゃないか!勝手に人を早漏にするな!」

こんな感じでずっと喋りっぱなしで午前中には喉が枯れていた…

そして昼休みに、僕は桜庭先生に呼び出された。
なぜか残りの四人は部屋から出ないように外から棒を使ってドアが開かないように軟禁してからこいとのことだった。

そしてアドバイス通り4人を軟禁してから教頭室を訪ねた。

「失礼しまーす。」
「ああ、冴島くんか。さ、座って。」

桜庭先生と二人きりか。ちょっと緊張するな…

「まずは…すまん。こんなわけのわからない計画に巻き込んでしまったことはお詫びするよ」
「い、いえ!引き受けたのは僕だし…」
「まぁ大変だと思うし、今年一年は童貞確定だけど来年は良い未来が待ってるからな…」
「え、僕って一年間童貞確定なんですか!?」
「え、聞いてなかった?」

いや全く聞いてないんですけど…

「これから一緒の寮に住む以上は冴島くんも童貞でないと手を出してしまうからって言うのが校長の持論だからなぁ。ま、頑張って」
「え、は?一緒の寮?」
「え、それも聞いてないのか?校長もいい加減だなぁ…」

なんか知らん間に新しい情報が次々と追加されていく…
そんな時、どこからともなく声がした。

「快斗くん、校長ではなくてパパと呼びなさいといったでしょー」
「うるさいな!まだ結婚してないんだからいいでしょうが!」

え、校長の声?どこからするんだ…

「桜庭先生、これは…」
「ああ、どこかで監視されてるしこうやって謎の通信がくるんだよ。多分冴島くんもこうなるよ」
「え、それ平気なんですか!?」
「一年間オ○ニーの時まで監視されてたら人間強くなるよ…」
「い、いやだ…やっぱりやめたい…」

なんだかこれから待ち受ける僕の苦しみを一人だけ理解してくれているようで妙に安心はしたが、代わりに絶望感も覚えた…僕そんな生活耐えられるの…?

その時に誰かが部屋に入ってきた。

「快斗!なんで昼休み帰ってこないの!?」

超がつくほど可愛いハーフの女の子だった。
うちのクラスもみんなレベル高いけど、そんなのと比にならないほどだ、そう、まるで妖精のよう…
あ、この人が校長の娘で桜庭先生の恋人のカレンさん?

「カレン!?いや今は生徒と話があってだな…」
「ヤダ!昼休みもエッチするの!」
「待て!生徒が見て…んぐっ!」
「ここでするの!チュー」
「んぐっ…」

僕は初めて生で大人のキスというやつを見てしまった…

「し、失礼しました!」

急いで部屋を飛び出したがまだ残像が残ってる…
ヤバイなんかドキドキする…刺激が強すぎるよ…

あんな美人を虜にしてるなんてやっぱ桜庭先生はすごいなぁと思いながら廊下を歩いていると神楽が前から歩いてきた。

「あれ!?神楽どうして外に出れたんだ?」
「トイレに行きたかったから窓から出たのよ。なによ、私たちと失禁プレイでも楽しみたいのあなたは?」
「いや別にそんなつもりじゃなくてだな…」

急に迫られて凄まれた。
怒っているのだろうが…それにしても顔が近い…
あ、なんか良い香りするな…
いや、こんな変態にドキドキするのはやっぱりさっきのドキドキが残ってるせいだ…絶対そうだ…吊り橋効果的な奴以外でこんなのにときめくわけが…

「なによ、ごめんなさいも言えないようなクズなのかしらあなた?」
「い、いやちょっと良い香りするなって…」
「え、本当に?」
「ほ、本当です…」
「じゃあもっと嗅いでいいわよ?ほら、脇とか」
「自ら脇を差し出す女子がいるか!」

やっぱり勘違いだ…こんなやつに恋なんてするもんか…

「それでクラスのみんなは?」
「みんな窓からそれぞれ飛び出していったわよ?」
「どんな光景だよそれ!?」

窓から飛び出していくJK たち?シュールにも程があるわ!

「まぁ別に昼休みだしどこにいても…」

その時桜庭先生が走ってきた。

「未開発組の生徒が逃げたって本当!?」
「え、逃げたっていうほどじゃないみたいですけど…」
「ダメダメ!一番危険なのはこの学校内なんだから!」
「ど、どういうことですか?」
「昼休みなんかナンパとセックスばっかりなんだからこの学校は!」
「はいー?」

校風がゆるいとか、ヤリチンやビッチが多いとか、そういう次元ではなかった。
僕はとんでもないところに迷いこんでしまい、とんでもないことを引き受けてしまったのだと、今になってようやく気が付いた…

「とにかく急いで探して!俺も協力するから!」
「は、はい!」

先生と手分けして残りの三人を探そうと走り出した時、神楽に呼び止められた。

「あら、私は放置でいいのかしら?誰か男漁ってこようかしらね」
「あーもうくそっ!急いでるのに…」
「私は構わないよ、その方が自由でやりたい放題だもの」
「わかったよ、一緒にこい!」

僕はとっさに神楽の手を引いて三人を探すため走り出した。

「あら、意外と積極的ね?」
「こうしないとどっかいくだろお前!?」
「どこにもいくな、愛してるですって?そんなストレートな告白照れるわね」
「どういう耳してるんだお前は!?」

しかし途中で気がついたが、神楽の手は柔らかかった。
そして、僕が初めて握った女の子の手でもあった。

「あ、いた!道明寺さんだ!」
「…」
「どうしたんだ?早くいくぞ!」
「恋人繋ぎにかえない?」
「デートしてるわけじゃないだろ!」

ちょっとしてみたいと思ったのは事実だが、それ以上にまず三人を確保することが先だった。

「道明寺さん!よかった…あと二人は?」
「あ、冴島くんに神楽さん。二人はもう教室に戻ったと思いますよ?」
「なんだ、よかった…」
「あ、冴島くんせっかくだからそこの廊下の角で一回していかないかしら?ちょうどいい高さに角っこがあるし」
「していかないわ!なに廊下で平然と自慰しようとしてるんだよ!」
「私ったら、角を見るとつい…」
「それは病気だよ!カウンセリングうけろ!」

もしかしたら道明寺さんが一番変な性癖持ってるかもしれないな…

二人を連れて急いで教室に戻ると、桜庭先生が飛鳥と夢原さんを確保してくれていた…

夢原と桜庭先生が話をしている。

「もー、先生なんで保健室やってわかったん?やっぱ勘がするどいなー」
「夢原、新入生はまず保健室を使いたがるんだ。あと保健室の東《あずま》先生の言うことは絶対聞くなよ!?」
「東先生からは桜庭先生に色々教えてもろたらええって言うてたで?」
「俺が教えるのは普通の授業だけだ。」
「せやけどカレン様のオカンと3Pしてんねやろ?」
「してないわ!何回も勧誘はあったけどな!」

一応、桜庭快斗から補足しておこう。
カレンの母親であり、校長の奥さんはメラニーさんという今年33歳になる超若ママだ(ちなみにカレンは今年高校二年生になる16歳)。
死ぬほど美人でスタイル抜群なこともあり、その魅惑で多くの男性が虜にされてしまい人生を狂わせるという魔性の中の魔性、さらに言えばクソビッチである。
とにかく棒があったら入れてみたいが人生の基本指針のような人間である…

「全く…あんまり冴島君を困らせないようにしろよ…」
「はーい」

桜庭先生のおかげで何とか全員無事?だった。
これなら昼休みもどこにもいけないなぁ…

「ところで飛鳥、お前はどこでなにをしていたんだ?」
「プールサイドでハ○撮りしましょうとお声かけしたら人が群がってきて困っていたんですよ!」
「早速AVの自主製作しようとするのやめてくれないかな!」
「見られてる、撮られてる、興奮するはワンセットですよ!」
「変なセット作るな!撮られなくても興奮するんだよ普通は!」

とにかく今後の対策を考えないと…

「あ、ベロチューのこと考えてましたね?」
「過去の僕の感情を読むな!たまたま見てしまっただけだよ!」
「あら、それなら早速…」
「したくないの!いや、したいけどお前らとは嫌だよ!ムードもなにもないなじゃないか!」
「あら、ベロチューなんてどこの国でも挨拶代わりよ?」
「どこの国だ言ってみろ!」

こんな感じで午後の授業も雑談をしているとすぐに終わった。

そして放課後になった。
全員で寮の住所に向けて歩いて下校しながら、神楽に状況を聞いた。

「あのさ、先生から聞いたんだけど、寮で全員一緒に住む話、本当か?」
「ええ、本当よ。よかったわね、あなたの小さいころからの夢の5Pがすぐそこよ」
「なんだよ幼い頃からの夢が5Pって!?お前たちは僕のことをなんだと思ってるんだ!」
「え、変態の童貞でしょ?」
「一番傷つくなそれ…」

しかし同じ屋根の下に男女を泊めるとか…無茶苦茶すぎるだろ?
まぁ見張りは必要ってことなんだろうけどさ…

そしてほどなくして僕たちは、これからの住まいになる寮に到着した。

「こ、これが僕たちの住むところ…」

ボロボロだった…
かつて桜庭先生とカレンさんが愛の巣にしていた、伝説の落葉武帝寮。通称ラブ寮に僕はこの四人の変態美女と同棲するようだ…

「あら、ここはデリ○ルは呼べるのかしら?」
「そもそも高校生は呼べないしお前女だろ!ビジネスホテルでここは呼べるかなみたいな男旅行のノリで話をするな!」

「AVの音が漏れないように部屋は防音であってほしいですね!」
「ヘッドフォン買ってこい!こんな木造の廃屋が防音なわけないだろ!」

「ちょうどいい高さの机とかあったら嬉しいな…」
「もう寮のこと関係ないよね!?なんかおもちゃ買えよ!机の角ってそんなに気持ちいいものなのか!?」

「庭があるやん!休みの日なんかここでヤったら気持ちええやろな―」
「どうして外がいいんだ!?お前はわんぱくキャラの設定を間違えてるぞ!」

もう全員の頭がそっちの事しか考えてなかった…
同棲ハーレムでありながら童貞と処女は守るという上に全員変態という謎の縛りプレイが開始された。

とりあえず風呂でも、ということすらままならない寮生活の幕開けである…


次回予告

「毎度」

「アン先生、あの寮で桜庭先生たちは自炊してたんですか?」

「ピザ頼んでた」

「出前かー、金かかるしな…」

「頼め、あと部屋に鍵ない」

「え、なにその突然の情報は?」

「寮内で色々起こる」

「それが次回の予告ですか…」















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