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第38話 イチャイチャできない!

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「失礼します」

「おお、これはこれは、たらし快斗さんではないか。まぁ座りたまえ。」

たらし…?カレンとのことは了解をもらってるはずだけど…
でもカレンと付き合った後だと校長とこうやって話すの気まずいな…

「あ、あのー…」

「言いたいことはわかっておる。」

「え?」

「しかしパパとは呼ばせんぞ!」

「いやむしろ呼びたくないわ!」

なんだよ、ちょっと色々期待しちゃったじゃないか…

「今日はどうしたんですか?」

「うむ、風紀委員が動き出しておることは既に風の噂で聞いておろう。」

「あー、はい…やっぱり相当アホなんですか?」

「何を言う!彼らは今までの相手とは違うぞい。わしが色々と校則を緩くしていったのも、今となれば風紀委員対策と言っても過言ではないのじゃ。少しでもルールに抵触すると、彼らはたとえ私であっても裁きにくる。」

だからあんたの学校なんだからどうにかしろよと言いたいところだが、もうこの学校ではそのツッコミは無用だな…

「で、今回俺が校則違反をしたと…?」

「そうじゃ」

「いやそんなこと言ってたらこの学校全員校則違反ですよ!?俺が一番守ってるまであるわ!なんでチューしてただけで裁かれるの!?」

「チュー?そんなものは校則で許可しておるぞい、ほれ」

ん?

『この学校において、恋のABCは学業のイロハに相当する。』

「え、そうなの!?イチャイチャしてたら勉強してるのと同じ扱いなんだこの学校!?そりゃみんな頑張るわ!」

俺の内申点が低い理由はこれなのか…?

「じゃあ今回俺は何で引っ掛かったんですか?」

「うむ、これじゃ」

うん?

『パパラッチに気を付けるべし、スキャンダル発覚は厳罰に処す』

「いやどっかの芸能事務所か!それにパパラッチいるのこの学校!?」

「写真を撮ったのは新聞部じゃ。彼らは風紀委員と内通しておる。」

 新聞部

活動としては主に学校の広報活動や年2回発行されるラブ高新聞の編集などを活動としているが、普段は暇そうにしている。

しかし裏では風紀委員の配下でパパラッチとして暗躍しているそうだ…

「で、その新聞部にすっぱ抜かれたから風紀委員が処罰に来ると…?」

「その通りじゃ、そしてそれはカレンも例外ではない。そこでじゃ、私と手を組まないか?」

は?
耳が腐ったかな…

「今なんと?」

「じゃから、私と手を組んで風紀委員を倒そうと言っておるのじゃ。」

校長が俺と手を組むだと?…怪しい。
カレンのことも任せっぱなしのくせに今更そんなこと言うのは虫が良すぎる…

「校長、風紀委員から何か都合の悪いことされたりしてませんか?」

「な、なんのことじゃ?私は君とカレンが心配で言っておるのじゃ」

「なんか隠し持っていた写真を押収されたとか?」

「え、なんでわかったんじゃ!?」

「どうせそんなことだと思ったんだよ!!」

「で、でも私は自分で使用する分しかもってはおらん!決して人に勧めて等…」

「それクスリで捕まった人の言い訳だよ!」

命先輩の写真は麻薬か何かなのか…?
そうなら先ず写真部どうにかしろよ!

「とにかく、利害が一致しておる以上協力して風紀委員を倒すぞい。」

利害は一致してるのか定かではないが、なし崩し的に校長と協力することになった…
しかし風紀委員の実態が見えてこない。

「で、彼らは俺たちにどんな処罰を課す予定なんですか?」

「うむ、君たちの破局を促してくるじゃろう、それは困るじゃろ?」

「う、それは…嫌です…でもどうやって?」

「君を北海道に、カレンを沖縄に転校させるのじゃ」

「いやそれ大手で共働きしてる夫婦がリストラで片方自己退職を迫られる時にやられるやつだろ!」

そうなったらカレンは北海道についてきてくれるのかな…

「えーと…あと風紀委員の人はどんな人なんですか?薬師寺さんたちも大概アホでしたからまともな人とは思ってませんが…」

「ふむ、それがやはり風紀委員の内情については謎が多い。わしのところにきたやつらもパシリのようじゃったし…。まずはそこから探るのじゃ。いつやつらが仕掛けてくるかもわからん状況じゃが気を張っておくがよい。それにやつらは一度動き出したら手当たり次第裁いていくという話も聞いておる。近々目立った動きがあるやもしれん。」

はぁ、せっかくカレンと付き合って平和な毎日が来たと思ってたのに…
まぁ今に始まったことではないから放課後にでも情報収集するか…

「もちろんアンやセバスチャンにも助太刀を要請しておくが、彼らも多忙な身ゆえ頼りすぎてはいかんぞ。」

アンか…そういえばあいつの給料のことは言っておいてやった方がいいな…

「あ、そういえばアンの給料ってどうなってるんですか?」

「アンには歩合できちんと支払っておるぞい。」

「でもあいつ生活苦とか言ってますよ…?」

「うーむ、チャンピオンになった時には3千円あげたんじゃがのう…」

「いや安すぎるんだよ!そんなんじゃ生活できないから!あとファイトマネーは!?」

「ファイトマネーの500万円はマネジメント料で相殺されたのう。それにピザ屋の売り上げもいまいちじゃからの、しばらくの辛抱じゃ。」

「マネジメント料ってなんだよ!?中間搾取もいいところだな!それにあのピザ屋まであんたが経営してたの!?」

「いや、経営状況が悪いからアンに買い取らせたのじゃ、フランチャイズってやつ?」

「もうフランチャイズとか個人事業主とかを悪用してる業者でしかないわ!」

アンのやつ借金まであるのか…できる限りピザ買ってあげよう…

「して、カレンと付き合ってみてどうじゃ?ムラムラしておろう」

「う、それを言わないでください…我慢するのに必死なんですよ…」

「ほほ、しかし如何にカレンと付き合おうと処女を守るという課題だけは継続じゃからの。その辺は肝に免じておくがよい。」

やっぱりそこは譲れないんだ…でもなんでそこまで拘るんだ?

「カレンがこの1年処女じゃないといけない理由ってなんかあるんですか?」

「うん、でもヒ・ミ・ツ!」

「死ね!」

結局よくわからないまま念を押される格好になったな…

校長室を出ると3限目が終わっていた…
俺はまたしても先生に社会のゴミだカスだと罵られた。

校長室に呼ばれていたと説明をしても、そんな事実はないと一蹴された。
いや校内放送も流れてたよね!?それに校長は俺をどうしたいんだよ!!

結局4限目は水責めを食らい廊下ではなく今際《いまわ》の際《きわ》に立たされていた…
ほんとここの教師全員捕まればいいのに…

昼休みはカレンと非常階段でお弁当を食べた。
蓮水さんが俺の教室に来ていたようだが先に俺が出ていったため接触はなかった。
お弁当を食べている時にハートマークたっぷりのメールが蓮水さんから送られてきたのをカレンに見られてなんかポカポカと殴られた…

午後の授業が終わった後、とりあえずの情報収集の頼りとして、写真部のスタジオに向かった…

「はぁ…もっと他に頼れる人脈があればいいんだけど…」

スタジオに行く度に変なもん見せられてたらたまったもんじゃない。
それに隠し通路からまたメラニーさんが来ていないかも不安だ…

「カレン、変なのがいたら目をつぶるんだぞ。」

「うん、快斗が言うなら、いいよ…」

なにちょっとエッチに答えてんだよ!
可愛いなぁもう。

「失礼します…あれ?」

珍しく写真部は誰もいなかった。
そしてスタジオの撮影スペースのところに張り紙が張られていた。」

『天誅 風紀委員』

え、こわっ…

写真部の人たち、もしかして消された?

すると命先輩から電話が来た。

「おお、チェリーすまんな。スタジオに人が来たら俺の携帯に通知が来るんだが多分お前だろ?訳あって隠し通路から今は非難しているんだ。他の部員も無事だ。しかし風紀委員に押さえられてスタジオはしばらく使えんな…」

やっぱりここにも風紀委員の手が…って当たり前だ!こんな麻薬栽培してるのと変わらんようなスタジオがよく許されてたもんだよ!

「で、今はどこに?」

「は?隠し通路はスタジオとメラニーさんの部屋に繋がっている。つまりそういうこと…あっ、ちょっとメラニ、待ってって今電話中だから、あー!」

「最中に電話してくんな!」

「と、とにかく後で合流する。協力して風紀委員を倒すん…あ、まって、まってまってー!」

電話の向こうで小さく「待たない」と呟くメラニーさんの声が聞こえたところで電話が切れた…

いや校長の嫁とバリバリ不倫してるけどいいのか…?
この学校最強はあの人だと俺は思うよ…
まぁ協力者が増えるのはいいことだが…

とりあえずスタジオから出て次に向かったのは大石さんのところだ。

名目上の生徒会長として活動していた彼なら何か知っているかもしれない。
それに俺は弱みを握っているから少々の無茶は聞いてくれるだろうし…

図書館に行き隠し階段から生徒会室という名の隠し撮り写真保管部屋に向かった。

「カレン、エッチな写真に食いついたらダメだぞ。」

「…」

「いやそこは了解しろよ!」

「だって快斗してくれないもん」

うっ、それを言われると…さっき校長から念を押されたばっかりだからな…

カレンの目を隠す準備をして地下室のドアを開けた。

「失礼します…ってここも誰もいないのか…」

すでに置いてあったパソコンもなくなっており、壁中に張られていた写真もきれいに剥がされていた。

そして中央の机にまたしても張り紙だ…

『誅殺 風紀委員』

うわ、今回の人らはマジだ…
本気でこの学校の腐ったところを徹底的に排除していっている…

こうなると真生徒会がどれだけ無能だったかがよくわかるな…

大石さんからはすぐメールが届いて「訪ねてくれたのに申し訳ない、時が来たら合流する」と書かれていた。
いやみんな部屋にセンサーとか仕掛けすぎだろ!?どこにつけてんだよ!


またしても当てが外れたので図書館から出ると、薬師寺さんが待ち構えていた。

「おい、風紀委員が動き出したというのは本当か!?」

「はぁ、でもあなたには関係ないでしょ?」

「いや大ありだ!俺がやろうとしていたことを全部やってくれやがった!許さん!」

一応こういうことやりたかったんだ…

「そこでだチェリー、俺と手を組まないか!?一時休戦といこうではないか」

「は?俺とあんたが?無理無理無理、それに俺校長とも協力してるんですよ?さすがにそれは…」

「校長とは和解してきた。ある共通の目標のために昔のことは水に流したのだ。」

こいつも写真を没収されたのか…

「まぁ、邪魔だけはしないでくださいね…」

任せておけと大声を張り上げる薬師寺さんがなぜか仲間に加わった…


「快斗、勇者みたい」

「は?」

「仲間が増えてる。」

俺のパーティ今のところ遊び人しかいないんだけど…

なぜか風紀委員に目の敵にされている人たちとの共同戦線を張ることになっていた…

まだ仲間が増えそうなのだが、それを心から喜べはしなかった…

その後は寮に戻ってカレンとゆっくりしていた。

「カレン、なんか新婚生活みたいだな。」

「うん、二人きり。嬉しい。」

ああ、甘々なラブコメの始まりだ。
それに一年我慢すればカレンとの爛《ただ》れた生活が待っている…
うー、楽しい―!

寮でイチャイチャしながら浮かれていると、誰かが訪ねてきた。
なんだよ、邪魔するなよな…

「どうしたんですか…ってオイオイ…」

顔中にキスマークをつけた命先輩が立っていた…

「なんの用ですか?ていうかよくその姿で外歩けますね…」

「いやなに、拠点のスタジオを封鎖されたから帰るところがなくてな。」

「え、あんたあそこに住んでたの!?家帰れよ!」

「家は離島だ。寮は狭いからスタジオを使ってるんだ。」

なにサラッと言ってんだこの人…

「というわけでスタジオが使えない間、ここに住ませてもらうぞ。」

そういって勝手に上がり込もうとしてきた。

「いやいや待って待って!確かに部屋はあるけどここは俺とカレンのための寮ですよ!?それに校長の許可がないと…」

「ああ、校長ならOKもらってる。」

はぁー!?何考えてんだあのくそ野郎…

「佐津江、ここに住むの?二人きりじゃなくなる…」

カレンがしょんぼりしていた…くそ、俺たちの甘い同棲生活を返せ!

「汚いところだなー、とりあえず空いてる部屋借りるからな」
命先輩は勝手に部屋に入っていってしまった。

「はぁ…なんでこんなことになるんだよ。でも、はやく風紀委員をやっつけないと俺たちの生活が邪魔される…」

「風紀委員、殺す」

「いやカレンさん殺しちゃだめだよ!?」

時々怖いなこいつ…

するとまた誰か来た…

「大石さん?どうしたんですか急に?」

「いやなに生徒会室が封鎖されたから行くところなくてな…しばらくここに住まわせて…」

「いやなんでみんな学校に住んでるんだよ!」

「また人が増えた…快斗とイチャイチャできない!」

カレンは怒っていたが大石さんもまた勝手に部屋に上がり込んでいった。

なぜか続々と寮の居候が増えてしまった…

そしてここから新たな寮生活を迎え、打倒風紀委員へと動き出すのだが…

次回 まだ居候が増える!?二人の甘々な生活は何処《いずこ》へ!?

第一回 ラブ寮作戦会議開催! まともに話ができる人間は果たしているのか!?

夢のラブコメ生活を…返せ!




























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