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第7話 もっかいする?
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「し、失礼します。」
重い扉を開けると、校長がいつものように座っていた。
「ふむ、女神の寵愛を受けし桜庭くんか。まぁ座りたまえ。」
俺は気まずそうにソファに腰掛ける。
「あ、あのですね…」
「うん、退学ね」
校長はあっさりとそう答えた。
俺は頭が真っ白になった。
やっぱり退学なのか…
なんでこうなった…
こんなことならカレンとヤッておけばよかったのか…
俺はこの高校に来て童貞のまま学歴までなくなるのか…
正直クソみたいな学校だが、退学となると流石に堪える。
呆然としていると校長が吹き出した。
「プ、ププ、プーッ。あはははは、すまんすまん。一回やってみたかったのじゃ。君に退学と言ったらどういうリアクションをとるのかと思ったが、案外マジになっているもんじゃからおかしくての。」
「へ?」
「まぁ今回は特別じゃな。カレンの処女を命がけで守ってくれておったのを私はここから見ておった。よく頑張ったの。」
穏やかな表情で俺を褒めてくれる校長に俺は思わず涙が出そうだった。
「校長…」
「というわけで1000万円の罰金で許してやろう。」
「…へ?」
「当たり前じゃ!私の大事なカレンとチュッチュしおって!くそ、私だってしたことないのに!クソックソッ」
「いやいやいや、俺はなんもしてませんから!覚えてもないのに1000万円!?そんなん割に合うわけないだろ!?」
「じゃ退学するかの?」
そう言われて俺は言い返すのを諦めた…
「で、でも俺1000万円なんて払えませんよ!?」
「それなら借用書を書くがよい。」
そう言って1000万円の借用書を出してきた。
「うう、なんでこんなことに…」
「己の行いを悔いるのじゃ」
「うっさい!元はといえばあんな体育祭があるのがおかしいんだよ!」
校長に言われるがままサインをした。
「あのー…印鑑持ってないんですけど…」
「ふむ、血判でよいぞ」
「じゃ拇印で良くないすか!?」
いちいち言うことが教育者じゃないんだよなこの人…
朱肉を借りて拇印を押したところで1000万円の借金が確定してしまった。
「でも、本当に払う当てがないんだけど…」
「ふーむ、まぁ1年間頑張り抜いたら一億円から借金を相殺してやろうかの。その代わりそれまでに一回チューする毎に1000万円ずつ上乗せするぞい。よいか?」
つまりチューのリミットはあと9回…
それも1年間カレンの純潔を守り抜く前提の話だが…
「も、もし10回を超えたりカレンの処女を守れなかったら?」
「ロシアの蟹漁船を紹介してやろう。」
「あんたやっぱり教育者辞めろ!」
なぜか借金を背負わされてしまった。
いよいよカレンの処女を守り抜くことが本当に俺の人生をかけた闘いになった…。
その後体育祭はどうなったかというと、前年よりも盛況で教室という教室からいやらしい声が響いていた。
窓からグランドを眺めたが、やはり誰もいなかった。
今日体育祭ですよね!?
俺はその声たちをなるべく聞かないようにしながら保健室に帰った。
「戻ったぞ。」
「あ、快斗。おかえり。」
保健室に戻るとカレンが一人で待っていた。
よかった、誰も来ていないようだ。
「快斗どうしたの?顔色悪いよ?」
「きっとあなたのお父さんのせいです…」
いきなり1000万円の借金だもんなぁ…
しかも覚えてもいないのにそんな話あるかよ…
「な、なぁ俺とのキスはどんな感じだった?」
「?。快斗チューしたいの?だったら…」
「タイムタイム!これ以上はほんとダメ!俺の人生が…」
どうやらカレンはキスの味を覚えてしまったようだ。
こんなの寮の中でされたらたまったもんじゃないぞ…
「と、とにかくチュー禁止!わかった?」
「チュー禁止…わかった…」
残念そうにするカレンを見て俺は意識のなかった自分を恨んだ。
こんな可愛い子と、俺はキスしたんだ…
学校の秩序は完全に崩壊していたので、俺はカレンを連れて寮に帰ることにした。
「はぁ…散々な一日だったよ…」
「なんで?チューできたのに。」
「それが主な原因です!」
大声で否定したのがまずかったのか、カレンがまた落ち込んでいる。
「快斗は私とチューするの嫌なの?」
「い、いやそういうわけじゃなくてだな…」
うう、その真っ直ぐ澄んだ瞳で俺を見ないでおくれ…
「嫌じゃない?」
「あ、ああ嫌じゃない。寧ろしたいというかだな、でもしてしまうと…」
俺がしどろもどろになっていると、カレンが俺に飛び込んできて思い切りチューをされた。
「どお?」
俺は頭が真っ白になった。
キスってこんなに気持ちいいんだ…
俺の実質ファーストキスは奪われた。
もうこの世の全てがどうなっても構わないような、天にも登る気持ちだった。
「う、うん。気持ちいい…」
「よかった。もっかいする?」
俺はうっかりもう一度その唇に吸い込まれそうになった。
その瞬間携帯が鳴った。
俺は我に返り急いで携帯を見ると、悪魔のようなメッセージが入っていた。
『お熱いねぇ。1000万円、追加しといたから。』
校長からだった…
だからどこで見てんだよ!
辺りを見渡したがそれらしきものはなかった。
「どうしたの快斗?もっかいしようよ。」
「ダメダメダメ!絶対ダメ!頼むから寝てる時もしちゃダメ!」
あと8回したら俺、どうなるんだろう…
快斗の借金は2000万円になった。
そして今夜また、不穏な連中がこの寮を狙ってくる…。
重い扉を開けると、校長がいつものように座っていた。
「ふむ、女神の寵愛を受けし桜庭くんか。まぁ座りたまえ。」
俺は気まずそうにソファに腰掛ける。
「あ、あのですね…」
「うん、退学ね」
校長はあっさりとそう答えた。
俺は頭が真っ白になった。
やっぱり退学なのか…
なんでこうなった…
こんなことならカレンとヤッておけばよかったのか…
俺はこの高校に来て童貞のまま学歴までなくなるのか…
正直クソみたいな学校だが、退学となると流石に堪える。
呆然としていると校長が吹き出した。
「プ、ププ、プーッ。あはははは、すまんすまん。一回やってみたかったのじゃ。君に退学と言ったらどういうリアクションをとるのかと思ったが、案外マジになっているもんじゃからおかしくての。」
「へ?」
「まぁ今回は特別じゃな。カレンの処女を命がけで守ってくれておったのを私はここから見ておった。よく頑張ったの。」
穏やかな表情で俺を褒めてくれる校長に俺は思わず涙が出そうだった。
「校長…」
「というわけで1000万円の罰金で許してやろう。」
「…へ?」
「当たり前じゃ!私の大事なカレンとチュッチュしおって!くそ、私だってしたことないのに!クソックソッ」
「いやいやいや、俺はなんもしてませんから!覚えてもないのに1000万円!?そんなん割に合うわけないだろ!?」
「じゃ退学するかの?」
そう言われて俺は言い返すのを諦めた…
「で、でも俺1000万円なんて払えませんよ!?」
「それなら借用書を書くがよい。」
そう言って1000万円の借用書を出してきた。
「うう、なんでこんなことに…」
「己の行いを悔いるのじゃ」
「うっさい!元はといえばあんな体育祭があるのがおかしいんだよ!」
校長に言われるがままサインをした。
「あのー…印鑑持ってないんですけど…」
「ふむ、血判でよいぞ」
「じゃ拇印で良くないすか!?」
いちいち言うことが教育者じゃないんだよなこの人…
朱肉を借りて拇印を押したところで1000万円の借金が確定してしまった。
「でも、本当に払う当てがないんだけど…」
「ふーむ、まぁ1年間頑張り抜いたら一億円から借金を相殺してやろうかの。その代わりそれまでに一回チューする毎に1000万円ずつ上乗せするぞい。よいか?」
つまりチューのリミットはあと9回…
それも1年間カレンの純潔を守り抜く前提の話だが…
「も、もし10回を超えたりカレンの処女を守れなかったら?」
「ロシアの蟹漁船を紹介してやろう。」
「あんたやっぱり教育者辞めろ!」
なぜか借金を背負わされてしまった。
いよいよカレンの処女を守り抜くことが本当に俺の人生をかけた闘いになった…。
その後体育祭はどうなったかというと、前年よりも盛況で教室という教室からいやらしい声が響いていた。
窓からグランドを眺めたが、やはり誰もいなかった。
今日体育祭ですよね!?
俺はその声たちをなるべく聞かないようにしながら保健室に帰った。
「戻ったぞ。」
「あ、快斗。おかえり。」
保健室に戻るとカレンが一人で待っていた。
よかった、誰も来ていないようだ。
「快斗どうしたの?顔色悪いよ?」
「きっとあなたのお父さんのせいです…」
いきなり1000万円の借金だもんなぁ…
しかも覚えてもいないのにそんな話あるかよ…
「な、なぁ俺とのキスはどんな感じだった?」
「?。快斗チューしたいの?だったら…」
「タイムタイム!これ以上はほんとダメ!俺の人生が…」
どうやらカレンはキスの味を覚えてしまったようだ。
こんなの寮の中でされたらたまったもんじゃないぞ…
「と、とにかくチュー禁止!わかった?」
「チュー禁止…わかった…」
残念そうにするカレンを見て俺は意識のなかった自分を恨んだ。
こんな可愛い子と、俺はキスしたんだ…
学校の秩序は完全に崩壊していたので、俺はカレンを連れて寮に帰ることにした。
「はぁ…散々な一日だったよ…」
「なんで?チューできたのに。」
「それが主な原因です!」
大声で否定したのがまずかったのか、カレンがまた落ち込んでいる。
「快斗は私とチューするの嫌なの?」
「い、いやそういうわけじゃなくてだな…」
うう、その真っ直ぐ澄んだ瞳で俺を見ないでおくれ…
「嫌じゃない?」
「あ、ああ嫌じゃない。寧ろしたいというかだな、でもしてしまうと…」
俺がしどろもどろになっていると、カレンが俺に飛び込んできて思い切りチューをされた。
「どお?」
俺は頭が真っ白になった。
キスってこんなに気持ちいいんだ…
俺の実質ファーストキスは奪われた。
もうこの世の全てがどうなっても構わないような、天にも登る気持ちだった。
「う、うん。気持ちいい…」
「よかった。もっかいする?」
俺はうっかりもう一度その唇に吸い込まれそうになった。
その瞬間携帯が鳴った。
俺は我に返り急いで携帯を見ると、悪魔のようなメッセージが入っていた。
『お熱いねぇ。1000万円、追加しといたから。』
校長からだった…
だからどこで見てんだよ!
辺りを見渡したがそれらしきものはなかった。
「どうしたの快斗?もっかいしようよ。」
「ダメダメダメ!絶対ダメ!頼むから寝てる時もしちゃダメ!」
あと8回したら俺、どうなるんだろう…
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