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本編
ランチ女子会
しおりを挟む「え~それで約束しちゃったの?」
「うん・・・」
今日は日曜日。約束通り遥ちゃんと少し早めに待ち合わせをして、ぶらぶらしてからランチを食べに来ている。
お洒落な店内で美味しいと噂のイタリアンに今回は挑戦した。ランチの時間には少しだけ早いのに店内は若い女性で賑わっている。
「相変わらず押しに弱いんだから・・・」
「だってぇ~」
「だってじゃないよ。嫌です、迷惑ですってハッキリ伝える事も誠意だよ?」
遥ちゃんと話してるのは皇くんの事。
遥ちゃんは大学に進学せず既に働いている。
私と違ってしっかり者の遥ちゃんにはよく相談してしまうのだ。うぅ遥ちゃんごめん。
「確かにそうなんだけど・・・なんて言うか・・・皇くんが何かしたわけじゃないでしょ?それなのに失礼かなぁって」
「まぁね、百合亜の言い分もわかるよ。ただ大企業の御曹司で超絶イケメンがちょっかいかけてくるなんて・・・遊びかなって心配するじゃん」
遥ちゃんはクリームパスタをフォークに絡ませながら溜息を吐いた。
そう、皇くんは「可愛いね」とはしょっちゅう言ってくるけど付き合って欲しいとか、好きとか言われたわけじゃない。
だから余計にどうやって接したらいいのかわからない。いや、期待してるわけじゃないけど。
「ま、大学では話しかけないって約束してくれたんでしょ?それでも女子から絡まれるようなら言った方がいいよ、その皇くんとやらに」
「うん・・・そだね」
皇くんに言うのもどうなのだろうと疑問には思うけど、私にはやれる事はないし素直に言ってみるのもいいかもしれない。
「それよりさ、来年スペイン行くってほんと?誰と行くの?ずるい!」
遥ちゃんは瞳をキラキラさせて矢継ぎ早に聞いてきた。
「あぁ、輝と行こうって話してるけどチケット取れなきゃ意味ないからね」
「チケット取れなくてもいいじゃん!いーなー。私もサグラダ・ファミリア見たい~」
私たちが話してるチケットとはサッカーのチケットのこと。私と遥ちゃん、輝はラ・リーガに所属するチームのファンだ。
三人ともサッカー観戦が趣味で、国内リーグにも一緒に行くけどどうせなら好きなチームの試合を生で観たい。
「サグラダ・ファミリアもバルセロナにあるから観に行けるよね。なんかバルセロナの街並みって懐かしい感じがして好きなんだぁ」
子供の頃からなぜか惹き付けられるバルセロナの街並み。純日本人である私が懐かしいなんておかしいけど、こればっかりは自分でもわからない感覚だ。
「百合亜昔から好きって言ってたもんね。学生って羨ましい」
私と輝は大学生だからシーズン中にギリギリ観に行けるけど、遥ちゃんは社会人だからそうもいかない。
三人で行けたら素敵だったんだけど・・・
「でもいいの?輝くんと二人なんて・・・彼誤解しちゃうよ?」
「誤解?」
「百合亜と付き合えるかもって思っちゃうって事!いくら何でもいい歳した男女が二人で海外旅行なんて、好きじゃないと行けないでしょ」
「えぇ!?私と輝はそんな関係じゃないよ!」
私と輝を知ってる人たちはみんな私たちが付き合っていると思ってる。二人でよく観戦に行くからだろうか?私は何とも思ってないのに。
「そうなの?それじゃ二人で行くのはやめた方がいいと思うけど・・・ま、そこから芽生える恋もあるかもだけどね!」
「ないから!変な事言わないで!」
ニヤニヤしながら揶揄う事をやめない遥ちゃんに私は頬を膨らませた。
|八つ刻|ω・)私がバ〇サファンなだけですw
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