上 下
8 / 31
本編

ランチ女子会

しおりを挟む

「え~それで約束しちゃったの?」
「うん・・・」

今日は日曜日。約束通り遥ちゃんと少し早めに待ち合わせをして、ぶらぶらしてからランチを食べに来ている。
お洒落な店内で美味しいと噂のイタリアンに今回は挑戦した。ランチの時間には少しだけ早いのに店内は若い女性で賑わっている。

「相変わらず押しに弱いんだから・・・」
「だってぇ~」
「だってじゃないよ。嫌です、迷惑ですってハッキリ伝える事も誠意だよ?」

遥ちゃんと話してるのは皇くんの事。
遥ちゃんは大学に進学せず既に働いている。
私と違ってしっかり者の遥ちゃんにはよく相談してしまうのだ。うぅ遥ちゃんごめん。

「確かにそうなんだけど・・・なんて言うか・・・皇くんが何かしたわけじゃないでしょ?それなのに失礼かなぁって」
「まぁね、百合亜の言い分もわかるよ。ただ大企業の御曹司で超絶イケメンがちょっかいかけてくるなんて・・・遊びかなって心配するじゃん」

遥ちゃんはクリームパスタをフォークに絡ませながら溜息を吐いた。

そう、皇くんは「可愛いね」とはしょっちゅう言ってくるけど付き合って欲しいとか、好きとか言われたわけじゃない。
だから余計にどうやって接したらいいのかわからない。いや、期待してるわけじゃないけど。

「ま、大学では話しかけないって約束してくれたんでしょ?それでも女子から絡まれるようなら言った方がいいよ、その皇くんとやらに」
「うん・・・そだね」

皇くんに言うのもどうなのだろうと疑問には思うけど、私にはやれる事はないし素直に言ってみるのもいいかもしれない。

「それよりさ、来年スペイン行くってほんと?誰と行くの?ずるい!」

遥ちゃんは瞳をキラキラさせて矢継ぎ早に聞いてきた。

「あぁ、輝と行こうって話してるけどチケット取れなきゃ意味ないからね」
「チケット取れなくてもいいじゃん!いーなー。私もサグラダ・ファミリア見たい~」

私たちが話してるチケットとはサッカーのチケットのこと。私と遥ちゃん、輝はラ・リーガに所属するチームのファンだ。
三人ともサッカー観戦が趣味で、国内リーグにも一緒に行くけどどうせなら好きなチームの試合を生で観たい。

「サグラダ・ファミリアもバルセロナにあるから観に行けるよね。なんかバルセロナの街並みって懐かしい感じがして好きなんだぁ」

子供の頃からなぜか惹き付けられるバルセロナの街並み。純日本人である私が懐かしいなんておかしいけど、こればっかりは自分でもわからない感覚だ。

「百合亜昔から好きって言ってたもんね。学生って羨ましい」

私と輝は大学生だからシーズン中にギリギリ観に行けるけど、遥ちゃんは社会人だからそうもいかない。
三人で行けたら素敵だったんだけど・・・

「でもいいの?あきらくんと二人なんて・・・彼誤解しちゃうよ?」
「誤解?」
「百合亜と付き合えるかもって思っちゃうって事!いくら何でもいい歳した男女が二人で海外旅行なんて、好きじゃないと行けないでしょ」
「えぇ!?私と輝はそんな関係じゃないよ!」

私と輝を知ってる人たちはみんな私たちが付き合っていると思ってる。二人でよく観戦に行くからだろうか?私は何とも思ってないのに。

「そうなの?それじゃ二人で行くのはやめた方がいいと思うけど・・・ま、そこから芽生える恋もあるかもだけどね!」
「ないから!変な事言わないで!」

ニヤニヤしながら揶揄う事をやめない遥ちゃんに私は頬を膨らませた。













|八つ刻|ω・)私がバ〇サファンなだけですw
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

記憶のない貴方

詩織
恋愛
結婚して5年。まだ子供はいないけど幸せで充実してる。 そんな毎日にあるきっかけで全てがかわる

その日がくるまでは

キムラましゅろう
恋愛
好き……大好き。 私は彼の事が好き。 今だけでいい。 彼がこの町にいる間だけは力いっぱい好きでいたい。 この想いを余す事なく伝えたい。 いずれは赦されて王都へ帰る彼と別れるその日がくるまで。 わたしは、彼に想いを伝え続ける。 故あって王都を追われたルークスに、凍える雪の日に拾われたひつじ。 ひつじの事を“メェ”と呼ぶルークスと共に暮らすうちに彼の事が好きになったひつじは素直にその想いを伝え続ける。 確実に訪れる、別れのその日がくるまで。 完全ご都合、ノーリアリティです。 誤字脱字、お許しくださいませ。 小説家になろうさんにも時差投稿します。

彼の過ちと彼女の選択

浅海 景
恋愛
伯爵令嬢として育てられていたアンナだが、両親の死によって伯爵家を継いだ伯父家族に虐げられる日々を送っていた。義兄となったクロードはかつて優しい従兄だったが、アンナに対して冷淡な態度を取るようになる。 そんな中16歳の誕生日を迎えたアンナには縁談の話が持ち上がると、クロードは突然アンナとの婚約を宣言する。何を考えているか分からないクロードの言動に不安を募らせるアンナは、クロードのある一言をきっかけにパニックに陥りベランダから転落。 一方、トラックに衝突したはずの杏奈が目を覚ますと見知らぬ男性が傍にいた。同じ名前の少女と中身が入れ替わってしまったと悟る。正直に話せば追い出されるか病院行きだと考えた杏奈は記憶喪失の振りをするが……。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

甘い束縛

はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。 ※小説家なろうサイト様にも載せています。

お姉さまは最愛の人と結ばれない。

りつ
恋愛
 ――なぜならわたしが奪うから。  正妻を追い出して伯爵家の後妻になったのがクロエの母である。愛人の娘という立場で生まれてきた自分。伯爵家の他の兄弟たちに疎まれ、毎日泣いていたクロエに手を差し伸べたのが姉のエリーヌである。彼女だけは他の人間と違ってクロエに優しくしてくれる。だからクロエは姉のために必死にいい子になろうと努力した。姉に婚約者ができた時も、心から上手くいくよう願った。けれど彼はクロエのことが好きだと言い出して――

婚約者に好きな人ができたらしい(※ただし事実とは異なります)

彗星
恋愛
主人公ミアと、婚約者リアムとのすれ違いもの。学園の人気者であるリアムを、婚約者を持つミアは、公爵家のご令嬢であるマリーナに「彼は私のことが好きだ」と言われる。その言葉が引っかかったことで、リアムと婚約解消した方がいいのではないかと考え始める。しかし、リアムの気持ちは、ミアが考えることとは違うらしく…。

処理中です...