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葛藤ミキサー
十二
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「メロル……」
「お父さん……? どうして……」
こんなところに、父がいるわけがない。思わず包丁を握り締めた。熱いものが包丁から腕の中心に伝達する。久しぶりの感覚に、生きているような錯覚を覚えてしまう。
ーー聞こえる?
声がどこからか聞こえた。父の声ではない、私を悲しそうに見つめる父は口を真一文字に結んでいた。
ーーメロル。
また、聞こえてくる。信じられないけれどその声は包丁と握った右手から聞こえてきていた。
「お父さん……? どうして……」
こんなところに、父がいるわけがない。思わず包丁を握り締めた。熱いものが包丁から腕の中心に伝達する。久しぶりの感覚に、生きているような錯覚を覚えてしまう。
ーー聞こえる?
声がどこからか聞こえた。父の声ではない、私を悲しそうに見つめる父は口を真一文字に結んでいた。
ーーメロル。
また、聞こえてくる。信じられないけれどその声は包丁と握った右手から聞こえてきていた。
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