魂選塔

中釡 あゆむ

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魂選塔

十一

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「……この」


付いて出た俺の疑問に、全ての者が俺に視線を送る。俺は意を決し、前を向いてチルギを見据えた。


「この、試練にはなんの意味がある? どうして俺たちはこんなことをさせられる?」


言いながら恐くてたまらなかった。肉体があったのなら震えていただろうし、冷や汗も出ていただろう。今の俺にはそれが出来ない。


肉体がないということが、こんなに怖いことだったなんて思わなかった。


「だから言ったでしょう、選ばせてもらうんですよ」


チルギが答えた言葉に俺は首を横に振った。


「言い方を変える。……思い出を買うことになんの意味がある?」


瞬く間にカツギが銃を俺に向けてくる。俺はいささか怯えながら、それでもチルギを見つめた。チルギは無表情だったがしばらくして、それは、と口にした。


「それは、最後まで残った人にしか分かりません」


「もう一つ。……選ばれなかった魂はどうなる?」


チルギを見ながら、魂たちが俺へ視線を向けてきているのがわかった。きっと誰もが気になっていたのだろう。チルギは表情を変えないまま、指を差した。
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