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第3章 宿敵の家と宿敵でなくなってから
第235話 そしてまた平穏な日常へと戻る
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執務室に私がペンを走らせる音だけが響き渡ります。
ここは……一応、まだアークゲート家の私の執務室。そこで私はこれまでと同じように仕事をしていました。子供が生まれてから数日ですが、既に体力は以前と同じまでに回復し、仕事も再開しています。
まあ、出産の翌日から平然と動けたのは、流石は自分の体、いや魔力と言いますか、と苦笑いもしたのですが。
そんなことを思い返していると、部屋にノックの音が響きました。
『当主様、よろしいでしょうか?』
「どうぞ」
声をかければ扉が開き、ユティがいつもと変わらぬ無表情で部屋へと入ってきます。その手には書類があり、届けに来たか、何かを聞きに来たのでしょう。
彼女は私の元まで来て、書類を差し出してきます。それを手に取って軽く確認すれば、報告書のようでした。それを一読し、何の問題もない事を確認して頷きます。
するとユティはポツリと言葉を零しました。
「……お仕事ばかりですね」
「……ユティには言われたくないのですが……今回のエリザベートの襲撃の後処理は絶対に必要なことですし、敷地の北側の損害も中々に酷いですから復旧もしないとですからね。邸宅に全く損失が無かったので、それは救いですが」
戦後処理の事について愚痴を漏らすと、ユティは呆れたように息を吐いて、じっと私を見つめてきました。
「それは承知していますが……もっとご子息にもお顔を見せては? それこそ一日中一緒に居ても良いくらいですよ」
「私もそうしたいのは山々なのですが、それはこの件を片付けた後ですかね。とはいえ毎日会ってはいますし、むしろ私以上にあの子に夢中な人が居ますから」
頭の片隅に輝くばかりの金髪を思い浮かべ、私は苦笑いする。誰の事を言っているのか分かったのか、ユティも頭を押さえた。
「……あっちはあっちで逆に業務に支障が出ていないのか心配ですけれども。もう毎日ですよ。ゲートの魔法を使ってこっちに来て、数時間は一緒に過ごしていますからね」
「初の甥という事で、可愛くて仕方がないのでしょう」
「髪色もあって、どちらかというとオーラの方が母親のように見えてしまうくらいです」
「あら、それは困ります。あの子の母は私ですもの」
冗談を言うユティに対して釘を刺す。その座を渡すつもりは毛頭なく、それをユティも分かっているからか、彼女は少しだけ目じりを下げて「申し訳ありません」と呟きました。悪いとは思っていなさそうですが、私も責めるつもりはないので特に言うことはありません。
ユティは思い出すような素振りをした後に、口を開きます。
「ノヴァさんは今日もゲートの機器で来訪してくれるでしょうね。ターニャさんを初めとするフォルス邸の方々も、早く顔を見たいという声が多いんだとか」
「そろそろゲートを開きましょうか。数日経ちますが、体調的にも全く問題は無さそうですからね」
「それがよろしいかと」
ターニャさんやソニアちゃんがあの子を見て破顔する光景を予想しながら、私は小さく笑いました。
出産から数日経つものの、私の周りは特に大きな変化はなく流れています。唯一変わったことと言えば、やはり子供が生まれたことで屋敷の人の出入りや動きが活発になったことでしょう。
オーラとノヴァさんは毎日訪れていますし、メイドもメイドで忙しなく働いてくれています。大変だとは思いますが、皆が笑顔を浮かべているのは共通していました。かくいう私も息子の前ではどうしても顔が緩んでしまうのですが。
我が子の愛おしい寝顔を思い浮かべて口角が吊り上がりそうになるのをおさえ、私は息を吐いて机の書類に目を向けます。それに気づいたのか、ユティも少し小さな声で問いかけてきました。
「……よろしかったのですか?」
それが何を意味しているのかを悟り、私は答えました。
「はい……これは避けられない事です。まさかティアラを殺めたのが死亡したと思われていたエリザベートなどとは伝えられません。それに、どんな理由があろうとも謀反を起こしたのは事実ですから」
「謀反を起こしたティアラ・アークゲートとライラック・フォルス。その親族への処罰がこのように流刑なのは優しすぎると思っていましたが……」
そこで言いにくそうにユティは口を噤みました。彼女の言いたいことが分かり、私は返します。
「世間では詳細までは伝わっていませんからね。アークゲートとフォルスの家の内部から反逆者が出た、としか。……今更このことでアークゲートやフォルスを侮る輩は出ないと確信しているものの、表向きの処分はこれで良かったんです。それにノヴァさんと話し合って決めたことですから」
本来なら一族まとめて死罪としても良いくらいの出来事。少なくともレイに話を通せば出来なくはないでしょう。とはいえそれをノヴァさんは望まなかった。当事者であるライラックは許せないけれど、その子供にまで大きな償いはさせたくない。彼がそう言う以上、私もまたティアラの娘たちに大きな償いをさせるわけにはいかないでしょう。
「……やはり今後の徹底的な監視のみならず、子を成せない魔法を裏ではかけていることはノヴァさんには絶対に言えませんね」
けれど芽は摘まなければならない。今の代は許したとしても、次の代までは許さない。それが私の結論です。
ユティの言葉に私は読み終わった報告書を魔法で処分し、溜息を吐きました。
「謀反なんて起こさなければこんな処分を下す必要はなかったのですが……あのティアラが母に従わない、というのは絶対になかったでしょうし、ある意味では母をあの時殺めなかった私の失態でもあるのですが……」
「そのようなことは……」
「分かっています。悪いのはティアラやライラックであることは間違いないです。私としても我が子を脅かそうとした彼女達を許すつもりなど毛頭ありません。とはいえ、少しだけ思ってしまうというだけです。気にしないでください」
そう、元々の原因が私にあるとしても、罪は罪。そしてそれが成されていれば私の大切な人が何人も失われていた以上、一切手心を加えるつもりはありませんし、この謀反に対して怒りも湧いています。
それが分かっているからか、ユティは深く聞くようなことはせずに話題を変えてきました。
「……それで、オズワルド国王陛下……いえ、オズワルドの方はどうしますか?」
今回の一件に関わっているであろう残った最後の当事者の事を聞いて、私は笑みを浮かべます。ノヴァさんや我が子と居る時の笑顔ではなく、冷たい作った笑みを。
「そちらの件に関しては、手を出すつもりはありません。私以上に怒りを抱いている人が居ますから」
その場面に居合わせられないのは残念ですが、私達のために決着を付けてくれるというのは嬉しくもあります。戻ってきたら息子と一緒に笑顔で出迎えましょう。
「むしろレイが王座を継ぐ際の事について、いくつか考えないといけないことがあるくらいですからね」
「……なるほど、承知しました」
ノヴァさんは今回の一件、当事者を絶対に許しません。動くとしたら、もうそろそろ。
私は立ち上がり、ユティに声をかけました。
「仕事も一段落着きましたし、あの子の元へ向かいますが一緒に来ますか?」
「はい、是非」
オーラにはああ言っていましたが、ユティもユティで甥に夢中なようです。私はくすっと笑って彼女と共に執務室を出ました。
向かう先は同じ屋敷にある、メイド達が多く配置されている部屋。我が子が過ごす快適な空間です。
ちなみにこの日もその部屋にはオーラが居座っていて、この子は本当に業務が回っているのだろうかと不思議に思ったのはここだけの秘密です。
ここは……一応、まだアークゲート家の私の執務室。そこで私はこれまでと同じように仕事をしていました。子供が生まれてから数日ですが、既に体力は以前と同じまでに回復し、仕事も再開しています。
まあ、出産の翌日から平然と動けたのは、流石は自分の体、いや魔力と言いますか、と苦笑いもしたのですが。
そんなことを思い返していると、部屋にノックの音が響きました。
『当主様、よろしいでしょうか?』
「どうぞ」
声をかければ扉が開き、ユティがいつもと変わらぬ無表情で部屋へと入ってきます。その手には書類があり、届けに来たか、何かを聞きに来たのでしょう。
彼女は私の元まで来て、書類を差し出してきます。それを手に取って軽く確認すれば、報告書のようでした。それを一読し、何の問題もない事を確認して頷きます。
するとユティはポツリと言葉を零しました。
「……お仕事ばかりですね」
「……ユティには言われたくないのですが……今回のエリザベートの襲撃の後処理は絶対に必要なことですし、敷地の北側の損害も中々に酷いですから復旧もしないとですからね。邸宅に全く損失が無かったので、それは救いですが」
戦後処理の事について愚痴を漏らすと、ユティは呆れたように息を吐いて、じっと私を見つめてきました。
「それは承知していますが……もっとご子息にもお顔を見せては? それこそ一日中一緒に居ても良いくらいですよ」
「私もそうしたいのは山々なのですが、それはこの件を片付けた後ですかね。とはいえ毎日会ってはいますし、むしろ私以上にあの子に夢中な人が居ますから」
頭の片隅に輝くばかりの金髪を思い浮かべ、私は苦笑いする。誰の事を言っているのか分かったのか、ユティも頭を押さえた。
「……あっちはあっちで逆に業務に支障が出ていないのか心配ですけれども。もう毎日ですよ。ゲートの魔法を使ってこっちに来て、数時間は一緒に過ごしていますからね」
「初の甥という事で、可愛くて仕方がないのでしょう」
「髪色もあって、どちらかというとオーラの方が母親のように見えてしまうくらいです」
「あら、それは困ります。あの子の母は私ですもの」
冗談を言うユティに対して釘を刺す。その座を渡すつもりは毛頭なく、それをユティも分かっているからか、彼女は少しだけ目じりを下げて「申し訳ありません」と呟きました。悪いとは思っていなさそうですが、私も責めるつもりはないので特に言うことはありません。
ユティは思い出すような素振りをした後に、口を開きます。
「ノヴァさんは今日もゲートの機器で来訪してくれるでしょうね。ターニャさんを初めとするフォルス邸の方々も、早く顔を見たいという声が多いんだとか」
「そろそろゲートを開きましょうか。数日経ちますが、体調的にも全く問題は無さそうですからね」
「それがよろしいかと」
ターニャさんやソニアちゃんがあの子を見て破顔する光景を予想しながら、私は小さく笑いました。
出産から数日経つものの、私の周りは特に大きな変化はなく流れています。唯一変わったことと言えば、やはり子供が生まれたことで屋敷の人の出入りや動きが活発になったことでしょう。
オーラとノヴァさんは毎日訪れていますし、メイドもメイドで忙しなく働いてくれています。大変だとは思いますが、皆が笑顔を浮かべているのは共通していました。かくいう私も息子の前ではどうしても顔が緩んでしまうのですが。
我が子の愛おしい寝顔を思い浮かべて口角が吊り上がりそうになるのをおさえ、私は息を吐いて机の書類に目を向けます。それに気づいたのか、ユティも少し小さな声で問いかけてきました。
「……よろしかったのですか?」
それが何を意味しているのかを悟り、私は答えました。
「はい……これは避けられない事です。まさかティアラを殺めたのが死亡したと思われていたエリザベートなどとは伝えられません。それに、どんな理由があろうとも謀反を起こしたのは事実ですから」
「謀反を起こしたティアラ・アークゲートとライラック・フォルス。その親族への処罰がこのように流刑なのは優しすぎると思っていましたが……」
そこで言いにくそうにユティは口を噤みました。彼女の言いたいことが分かり、私は返します。
「世間では詳細までは伝わっていませんからね。アークゲートとフォルスの家の内部から反逆者が出た、としか。……今更このことでアークゲートやフォルスを侮る輩は出ないと確信しているものの、表向きの処分はこれで良かったんです。それにノヴァさんと話し合って決めたことですから」
本来なら一族まとめて死罪としても良いくらいの出来事。少なくともレイに話を通せば出来なくはないでしょう。とはいえそれをノヴァさんは望まなかった。当事者であるライラックは許せないけれど、その子供にまで大きな償いはさせたくない。彼がそう言う以上、私もまたティアラの娘たちに大きな償いをさせるわけにはいかないでしょう。
「……やはり今後の徹底的な監視のみならず、子を成せない魔法を裏ではかけていることはノヴァさんには絶対に言えませんね」
けれど芽は摘まなければならない。今の代は許したとしても、次の代までは許さない。それが私の結論です。
ユティの言葉に私は読み終わった報告書を魔法で処分し、溜息を吐きました。
「謀反なんて起こさなければこんな処分を下す必要はなかったのですが……あのティアラが母に従わない、というのは絶対になかったでしょうし、ある意味では母をあの時殺めなかった私の失態でもあるのですが……」
「そのようなことは……」
「分かっています。悪いのはティアラやライラックであることは間違いないです。私としても我が子を脅かそうとした彼女達を許すつもりなど毛頭ありません。とはいえ、少しだけ思ってしまうというだけです。気にしないでください」
そう、元々の原因が私にあるとしても、罪は罪。そしてそれが成されていれば私の大切な人が何人も失われていた以上、一切手心を加えるつもりはありませんし、この謀反に対して怒りも湧いています。
それが分かっているからか、ユティは深く聞くようなことはせずに話題を変えてきました。
「……それで、オズワルド国王陛下……いえ、オズワルドの方はどうしますか?」
今回の一件に関わっているであろう残った最後の当事者の事を聞いて、私は笑みを浮かべます。ノヴァさんや我が子と居る時の笑顔ではなく、冷たい作った笑みを。
「そちらの件に関しては、手を出すつもりはありません。私以上に怒りを抱いている人が居ますから」
その場面に居合わせられないのは残念ですが、私達のために決着を付けてくれるというのは嬉しくもあります。戻ってきたら息子と一緒に笑顔で出迎えましょう。
「むしろレイが王座を継ぐ際の事について、いくつか考えないといけないことがあるくらいですからね」
「……なるほど、承知しました」
ノヴァさんは今回の一件、当事者を絶対に許しません。動くとしたら、もうそろそろ。
私は立ち上がり、ユティに声をかけました。
「仕事も一段落着きましたし、あの子の元へ向かいますが一緒に来ますか?」
「はい、是非」
オーラにはああ言っていましたが、ユティもユティで甥に夢中なようです。私はくすっと笑って彼女と共に執務室を出ました。
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