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第1章 宿敵の家の当主を妻に貰うまで
第20話 まずは自分の屋敷へ
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俺の屋敷に帰ってきてから数日後、シアから魔法の便箋で連絡が届いた。少し忙しかったようだが、ようやく時間が出来たようで会いたい、とのことだった。それにもちろん、と返事をすれば、数回のやり取りで会う日が決まった。
そしてシアとの約束の日、俺は近くの街の裏通りでシアのことを待っていた。隣には控えるようにターニャの姿もある。この街には来たことがあるみたいで、ゲートの地点を作っていたと便箋には書いてあった。
北のノーザンプションまで馬車で行って帰ってきたからこそ、ゲートの魔法の凄さがよく分かる。往復で数十日かかる距離を一瞬で移動できるのは、すごい以外には言葉にできない。
「あ、ノヴァ様、遅くなりましたが、この前はありがとうございました。ここへ帰ってくる直前にソニアの様子を見たのですが、ローエンさんが手を回したからか雑務を押し付けられるようなことはなくなったみたいでした」
「それなら良かったよ」
どうやらローエンさんは早速動いてくれたみたいだ。あんな小さな子に沢山の仕事をさせる屋敷のメイド達には俺としても思うところがあったし、一安心か。
「当の本人は不思議そうにしていましたけどね」
「そりゃあ、で押し付けられていた仕事が急になくなれば、何があったって思うよね」
そんな他愛のない話をターニャとしていると視界に金の光が射し込み、そちらを見てみれば金色の楕円が目の前に広がっていた。遠距離を一気に移動できるゲートの魔法だ。
周りを明るく照らす光の中から、ゆったりとした動きでシアが出てくる。たった十数日なのに長いこと会っていなかったような気持ちにもなった。
ゲートを通り抜けたシアは俺に気づいてニッコリと微笑む。
「こんにちはノヴァさん、すみませんお待たせしたみたいで……」
「いや、全然大丈夫だよ」
俺も笑顔で返した。シアと一緒にいると自然と笑顔が増える。
「ところで……よろしければなのですが、今日は私の家に来ませんか?」
ふと、シアが今日の予定について提案してきた。便箋のやり取りでは、今日は俺の屋敷でゆっくり語り合うとのことだったはずだが。
「妹から先日、この前ノヴァさんと会ったということを聞きまして……お世話になりました」
「ああいや、そんな……」
「妹も会いたがっていましたし、ぜひいかがでしょうか?」
「うーん」
オーロラちゃんとは仲良くなったというのもあるし、シアの家族と会えばシアについてもっと分かるかもしれない。悪くない提案だった。
ただ、シアを蔑ろにしていたであろう先代当主を紹介されたら何をするかちょっと分からないが。
「うん、じゃあ行こうかな。あ、でもその前に俺の屋敷まで行ってゲートだけ繋ぐ? そんなに遠くないし」
「そうですね、そうしましょうか」
「かしこまりました」
シアとターニャと一緒に歩きだす。シアが横に、そしてターニャが少しだけ後ろに付き従う形だ。
「ここからノヴァさんの領地までどれくらいですか?」
「すぐそこなので、そこまで時間はかからないですね」
シアとターニャは慣れたように会話を交わす。二人はつい最近、というよりもおそらく今日で2回目だと思うんだけど、もう打ち解けたみたいだった。
「あら、ではその間は色々なことが話せますね、ノヴァさん」
「そうだな……つい最近ノーザンプションに行った話でも……いや、でもオーロラちゃんから聞いたか」
ちょうど良い話の種があると思ったけど、シアはオーロラちゃんと会ったことを知っていたので、何があったかも知っているだろう。
「いえ、ぜひノヴァさんの口から聞きたいです」
「そうですね、私も聞きたいです」
「あ、そう? じゃあ話すよ」
いやターニャ、お前には話しただろと思ったけど、空気を読んでくれたんだとすぐに分かって内心で感謝した。
俺の屋敷に向かうまでの少しの間、ノーザンプションに行ったことを詳細に話した。ノーザンプション出身でもあるシアが色々な補足を入れてくれるし、ターニャも気になることがあるたびに質問をしてくれたから、話をしていれば、あっさりと俺の屋敷へと到着した。
そしてシアとの約束の日、俺は近くの街の裏通りでシアのことを待っていた。隣には控えるようにターニャの姿もある。この街には来たことがあるみたいで、ゲートの地点を作っていたと便箋には書いてあった。
北のノーザンプションまで馬車で行って帰ってきたからこそ、ゲートの魔法の凄さがよく分かる。往復で数十日かかる距離を一瞬で移動できるのは、すごい以外には言葉にできない。
「あ、ノヴァ様、遅くなりましたが、この前はありがとうございました。ここへ帰ってくる直前にソニアの様子を見たのですが、ローエンさんが手を回したからか雑務を押し付けられるようなことはなくなったみたいでした」
「それなら良かったよ」
どうやらローエンさんは早速動いてくれたみたいだ。あんな小さな子に沢山の仕事をさせる屋敷のメイド達には俺としても思うところがあったし、一安心か。
「当の本人は不思議そうにしていましたけどね」
「そりゃあ、で押し付けられていた仕事が急になくなれば、何があったって思うよね」
そんな他愛のない話をターニャとしていると視界に金の光が射し込み、そちらを見てみれば金色の楕円が目の前に広がっていた。遠距離を一気に移動できるゲートの魔法だ。
周りを明るく照らす光の中から、ゆったりとした動きでシアが出てくる。たった十数日なのに長いこと会っていなかったような気持ちにもなった。
ゲートを通り抜けたシアは俺に気づいてニッコリと微笑む。
「こんにちはノヴァさん、すみませんお待たせしたみたいで……」
「いや、全然大丈夫だよ」
俺も笑顔で返した。シアと一緒にいると自然と笑顔が増える。
「ところで……よろしければなのですが、今日は私の家に来ませんか?」
ふと、シアが今日の予定について提案してきた。便箋のやり取りでは、今日は俺の屋敷でゆっくり語り合うとのことだったはずだが。
「妹から先日、この前ノヴァさんと会ったということを聞きまして……お世話になりました」
「ああいや、そんな……」
「妹も会いたがっていましたし、ぜひいかがでしょうか?」
「うーん」
オーロラちゃんとは仲良くなったというのもあるし、シアの家族と会えばシアについてもっと分かるかもしれない。悪くない提案だった。
ただ、シアを蔑ろにしていたであろう先代当主を紹介されたら何をするかちょっと分からないが。
「うん、じゃあ行こうかな。あ、でもその前に俺の屋敷まで行ってゲートだけ繋ぐ? そんなに遠くないし」
「そうですね、そうしましょうか」
「かしこまりました」
シアとターニャと一緒に歩きだす。シアが横に、そしてターニャが少しだけ後ろに付き従う形だ。
「ここからノヴァさんの領地までどれくらいですか?」
「すぐそこなので、そこまで時間はかからないですね」
シアとターニャは慣れたように会話を交わす。二人はつい最近、というよりもおそらく今日で2回目だと思うんだけど、もう打ち解けたみたいだった。
「あら、ではその間は色々なことが話せますね、ノヴァさん」
「そうだな……つい最近ノーザンプションに行った話でも……いや、でもオーロラちゃんから聞いたか」
ちょうど良い話の種があると思ったけど、シアはオーロラちゃんと会ったことを知っていたので、何があったかも知っているだろう。
「いえ、ぜひノヴァさんの口から聞きたいです」
「そうですね、私も聞きたいです」
「あ、そう? じゃあ話すよ」
いやターニャ、お前には話しただろと思ったけど、空気を読んでくれたんだとすぐに分かって内心で感謝した。
俺の屋敷に向かうまでの少しの間、ノーザンプションに行ったことを詳細に話した。ノーザンプション出身でもあるシアが色々な補足を入れてくれるし、ターニャも気になることがあるたびに質問をしてくれたから、話をしていれば、あっさりと俺の屋敷へと到着した。
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