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俺「はじまりの村」の道具屋なんですが勇者様に溺愛されて魔王討伐行ってくれません
しおりを挟む魔王降臨。
その報せが届いたのは二年前のことだった。
幸い俺が住んでる村は魔王が来たとこと真逆だったから、うろついてる魔物も弱くて助かったけど、魔王征伐に向かった勇敢な戦士たちは……各国から精鋭集めた大軍隊含め、ことごとく倒されちゃった。
今俺らの世界の王様たちがやってることは……主に魔王のご機嫌とり。遠くからやってくる報せによれば、魔王様、なんて呼んで綺麗な女の子とか、美味い食い物とか、連日送り込んでるらしい。
あとは、いろんなとこにある神殿で、神頼み。まあ仕方ないよ、勝てないんだから……って諦めてたら。
「……なんだ、ここは」
来たんだ。俺らの村のすぐそこの、神殿に。超強そうな人が。
慌てて早馬が魔王殺しの剣……なんだっけな、超難しい名前の剣届けにきて、鞘が抜けるか試してもらったら、
「……良い剣だ」
あっさり抜けた。勇者様だ。
勇者様が来たぞ……!
世界中が歓喜した。最初は戸惑ってた勇者様も「あー、なるほど、俺がそいつ倒せば元の世界帰れるワケな」って理解してくれて、俺らが超困ってた、川に居ついた蛇のバケモンみたいなやつ、瞬殺してくれた。
その上、「俺一人じゃあれだから、もうちょっと仲間呼んで? 魔法使える強い人二人と、かわいいお医者さん希望」ってその神殿の巫女さんたちがぶっ倒れるまで、召喚の祈り続けさせた。
お陰で魔法使いさん二人、弓使いさん一人、お医者さん一人、を召喚できたんだけど。
「魔法使いと弓使いはまあいい……でもかわいいお医者さん、っつったろ!なんでこんなジジイなんだよ、やり直し!お前は帰れ! え? 帰れねえの? はー、やる気削がれた、行きたくねー」
なかなかの鬼畜勇者様だ。とはいえ、俺らの村は川で魚とれるようになったし船も出せるようになったからすごく助かった。ここはひとつ、神殿に一番近い俺らの村で、出来る限りの装備揃えて、勇者様を送り出す準備をしようって村長が決めた。
俺も道具屋の跡取り息子として、一生懸命薬草集めをした……してたら、「お、雑草抜き? そんなの俺が一発でドーンとキめてやるよ」って勇者様が伝説の剣を肩に担いでやって来た。
「まさかまさか」
振り返って慌てて止めようとしたら、頭一つ上にある勇者様の顏が僕のことを凝視したまま固まっていた。
何か粗相してしまったかと慌てた俺に、勇者様は言った。
「か、カワイ~」
「え?」
「え? じゃねえよ、お前スゴイ可愛い。気に入った。俺の嫁になれ」
「えええ! 俺男ですよ!」
「それが? あ、この世界ってそういう世界? マジ萎えるわ~。魔王討伐して救う気ゼロんなった」
「えええ!」
俺は大慌てで父さんに事情を話し、村長さんに父さんが事情を話し、そして──。
「末永く勇者を愛することを誓いますか?」
「ち、誓います……」
なんと俺は薬草屋の跡取り息子から勇者様の嫁にされてしまった。
世界中の皆が僕らを祝福してくれた。これでやっと勇者様が魔王征伐に出てくれるって。
でも……。
「あ、ああん! ソコ、だめです! あは、あ、ああ! ん」
毎日毎晩、これだ。
「可愛い、可愛いぜ、ほらもっと喘げよ、俺の嫁」
「ん、ん、んンン~~~!」
「ココだろ? 分かってんぞ、もうお前のカラダのことは何でもな! なんせ俺は勇者だからな!」
絶倫勇者様が俺のことを、宿屋貸し切りで犯しまくってくる。
「勇者……様、魔王、倒して、くださ……ああ」
俺は勇者様に毎日毎晩お願いしてるんだけど、勇者様は決まってこういう。
飽きたらな、って。
そしてそれから一年が過ぎた。
勇者様は、まだ俺に飽きない。
「ううう~! あ~~~っ!」
「ハハ、かわい、これで潮吹き二回目だな!」
勇者様はまだ、始まりの村に居る。
おしまい
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