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147.手に入れられないもの。

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想定6日目。
ここまでくるとシーヴァの行動が発言と偽りがないのを実感出来る。シーヴァは最初に言った通り、普通の生活をするのみだった。
まるで冒険者を引退したようなお爺さんみたいなその生活だ。

だがここ数日で私が1人寝室に篭っていても何か行ってくるわけでもないのがわかったため、今日は実験と考察をすることにした。

「うーん…やっぱりおかしい…。」

1人、寝室でそう呟いたわたしの目の前には魔法で作った時計がある。外に行きたいと駄々をこね、中庭と称した河原を作ったのは3日前のことだ。

その時に河原を作った事は今の私にとっては大きな経験値となった。
もしかしたら時計も同じように作る事が出来るのではないかと思い、時計を作るイメージで魔力を集めてみたところ時計が作れたのだ。

簡易的な時計をイメージして作ったはいいがどうも秒針がおかしい。

(くるくるくるくる…。回ってとまらない。壊れてるのかな…、もう何個か作ってみよう。)

もう2つほど同じように時計を作ってはみたものの、結果は惨敗。どれも秒針がくるくると動いたままでそのうちふと動かなくなるという結果に終わってしまった。

(時間は不明のまま。
だけどこの空間では魔力を引き換えに念じれば物が作れる事はわかった。だけどこの間の花は花弁をとった瞬間光になって消えちゃったよね。
食事はシーヴァに貰ったものを食べているけどどうやって作ってるんだろう。花みたいに形を崩したら壊れるとかなら何かをすれば形を保ったままに出来るのかな。)

いっそ私も料理がしたいと言ってみるべきか。河原を作った時みたいにヒントがあるかもしれない。

(外の扉を作りたいと念じても、壁は全く反応しなかった。出る方法が何かあるはず。じゃなきゃおかしいもの…。どうにか壁壊れないかなぁ。)


部屋の空いている壁を見つめ少し悲しくなりながら確認するものを思い出し鞄の中を漁った。


◇◇◇


「シーヴァ、顔色悪いよ?」

鞄の中を一通り確認した後私はリビングへと向かった。
椅子に座っているシーヴァの様子がいつもと違ったので顔を見ると先程の言葉が自然と出てしまったのだ。

シーヴァの顔は顔面蒼白。
私がリビングに来た事もわからずに片手で頭を押さえて項垂れるって相当だろう。私が声を掛けるとびくっと体を震わせて私の方を見たシーヴァの顔は、横から見るよりも真っ正面から見たほうが更に顔色が悪く見えた。

「うーん……結構休んでるけど…予想以上に疲れが溜まってるんだね…。参ったな…はは。」
「疲れ?そうなの?」

冒険者を引退したお爺さんみたいな生活しか見てないけど何か疲れる事があるのだろうか。椅子に座って私を目で追っているだけの生活がそこまで疲れるとは思えないが、今はそれどころじゃない。

さすがににこりとも笑いもしない顔色を悪くしたシーヴァを心配してしまう。

「とりあえず回復魔法掛けてあげようか?
その顔色の悪さはちょっと見てられないし…。」
「回復魔法じゃ…回復しないよ…。
魔力をかなり消費してるから疲れてるんだ…。」

「魔力?何かに使ってるの?」
「ふふ、無尽蔵な程あるロティは魔力消費なんて気にしないで魔法を使えるもんね。」

「答えになってないよ…。」

漸く口角を上げたシーヴァだったが辛さの方が勝ってしまっているようで眉間には皺が入ってる。このままだと魔力枯渇状態になってしまうのではないのだろうか。
だがただ静かにシーヴァが動けなくなるのを黙って見ていられる程、私は残忍にはなれない。

「……少し魔力あげるよ。このままじゃ死んじゃうもん。」

そうシーヴァに言うと顔面蒼白のまま私を驚いた表情で見てきた。さすがにその提案をされるとは思ってもなかったのだろうか。

「いや…いや。ロティ…呆れるほど優し過ぎる…。俺はロティを攫ったんだよ?」
「だけど目の前に死にそうな人がいれば助けるでしょ?」

「グニーでも?」
「……申し訳ないけどグニーはわからないかな…。一度殺されてるし…。」

「俺はいいんだ?」
「良くないけど見捨てられる程でもない。」

「ふふ、ロティが俺に触れないと魔力は渡せないよ?」
「その顔色が治るなら…仕方ないね?」

何度か試されるようなことを聞かれたが自分の思いを素直に口にした。その事が意外だったのかシーヴァは嬉しそうなのに泣きそうな顔をしている。

おずおずとシーヴァが自分の両手をわたしに向けながら申し訳なさそうに口を開いた。

「………ありがとう。ロティ。」
「どういたしまして。」

私はシーヴァの手を取るとゆっくりと両手から魔力をシーヴァに流した。前にスザンヌから受け取った事がある分、なんとなくやり方は分かるし上手く魔力もながせている感じがする。

20秒もしない内にシーヴァの体に魔力が入っていかなくなるのを感じて私は魔力を流すのを辞めてシーヴァからそっと手を離した。

「…魔力全回復って。凄いねロティ。本当にありがとう。体調も戻った。」

眉を下げて笑っているシーヴァは手を開いたり開けたり自分の体を触って色々と確かめているようだ。

けれどどうしてだろう。
弱ったシーヴァの方がシーヴァらしいと思うだなんて。初めて見たはずのシーヴァの弱りのはずなのに懐かしいと思ってしまった。

いつも通りのシーヴァに戻ると柔かに私を見つめて柔らかい口調でシーヴァが話す。

「でも…ロティは優し過ぎて困るね…。」
「そりゃああんな顔色していたら助けなきゃって思うでしょ?」

「ロティにとっては俺は嫌な存在なのに…そんなだからずっと好きなんだよ。」
「うーん…?優しいから好きなの?」

「優しさも好きなんだよ。
その優しさに負けちゃったから少し教えてあげるよ。いい情報かはわからないけど。」
「な、なに?」

心臓がどきりと跳ねた。まさか脱出のヒントだろうか。
だがいい情報かはわからないと言った分違うかもしれない。

ドキドキする心臓を押さえシーヴァの次の言葉を待っているとシーヴァは私を見つめながら口を開いた。

「アレグリアはさ。俺がいてもいなくても他の看守達の手を使って脱獄計画があったんだよ。」
「えっ。」

「でも俺にしたのは俺が特殊魔法が使えるから色々役に立つ事と、俺が立候補したから俺にしたわけ。俺は俺でグニーを野放しにはしたくなかったから一緒にいたんだよ。
本当ならあの5人の看守も殺したくなかったんだけど…。グニーが言うこと聞かなくてね…。」
「グニーを野放しにしたくなかった?」

「グニーはまたロティを殺したがっていたから…。ロティが生まれ変わっていた事も他の看守に聞いていたみたいだし。
俺はグニーをロティが殺されないように見張ってたわけ。」
「それじゃ…まるで…。」

シーヴァに守られていたような感じではないか。そんなこと望んでないし、守られていたとしてもお礼の言葉や回復魔法を掛けてあげるくらいしか私には出来ないのに。
不毛過ぎるのではないのだろうかと心臓が少し痛くなった。

「どういう風に解釈してもいいよ。ある視点から見れば傲慢に見えるだろうし、また違う視点から見れば虚しい行為にしか見えない。
ルークにも守ってもらえるだろうが、どこでどういう風にまた殺されるかもわからないから。
ロティとルークを引き離す代わりにロティには俺と一緒にいれるように。
ルークはグニーと一緒にいれるように計画を練ったんだ。」
「引き離してほしくなかった…。」

そう言ってシーヴァを睨むとシーヴァは僅かに眉を下げてまた話し始めた。

「だけど、俺とグニーが組まなきゃグニーはもっと大暴れだったと思うよ。たまに狂った様に物に八つ当たりしていたし。それも全部俺が鎮めていたんだから。」
「………グニーは人を殺しすぎたよ。もう許されないところにいる…。」

「そうだね。だからグニーもロティと俺がここから出ることを望んではないんだよ。
グニーは今ロティとしてルークのそばにいられて、ロティを人質に自由奔放しているだろうからさ。
ロティが戻ればそれもなくなって捉えられてしまうだろうし。」
「…その時はシーヴァだって無罪では済まないと思うよ。わかってるの…?」 

「ああ、もちろん。だから出る気はないんだよ。」

そこだけは頑固一徹、譲ろうとしない。
きっとさっきみたいに魔力枯渇しても最後の最後まで私といる気なのだろう。そして私がその状態を放っておけないのももうわかってしまった事だろう。

「シーヴァの事…よくわからない。
優しいのか優しくないのか…。」
「俺は自分の後悔しない様に動いているだけだから。きっと優しくはないね…。」

シーヴァの目の前から離れいつも私が座る椅子へと腰掛けながら不貞腐れた様に私は頬を膨らませてシーヴァに文句を垂れる。

「はぁー…。もっといい話かと思っちゃった。期待して損した気分ー…。」
「最初に言ったでしょ?いい話かわからないって。」

確かに言われたがこんな話だとも思っていなかった。出来ればここを出るヒントが欲しかったところだったから尚の事。
不貞腐れてテーブルに頬杖を付くとシーヴァもテーブルに手を乗せてきた。

「少しくらいロティの騎士をやってみたかったのかもね。俺は。」
「今は誘拐犯だけどね。」

「はは、言えてる。」

笑うとこじゃないよ、と言いたかった。
だけどシーヴァの泣きそうな顔を見たらその言葉が言えなくなってしまった。

どことなく重苦しい雰囲気に息が詰まりそうになりながら私は痺れを切らして勢いよく椅子から立ち上がって大気な声で話す。

「シーヴァ!私料理したい!」
「えっ…、ロティが?」

「うん!駄目!?」
「いや、いいけど…俺の用意したやつじゃ駄目だった?」

「いや、そういうわけじゃないよ。
いつも用意してもらってるから私もそろそろ料理したくなっちゃって。シーヴァの分も勿論作るよ?」
「そ、うなん、だ。なら…お願いしようかな…。でも料理に関してはちょっと特殊なんだ。一緒にキッチンに立てる?」

「大丈夫!」

重たい雰囲気は変えることに成功したようだ。
しかも料理も案外簡単に許しをもらえてほっとする。少しあっけらかんとしたシーヴァの様子は気になったが、今はとりあえず教えてもらうのに集中しよう。

私もシーヴァの後に続きリビングからキッチンへと向かう。キッチンには食器や調味料はあるものの肝心の食材が全く見当たらないのだ。


「欲しい食材は思い浮かべれば出てくるよ。河原作ったみたいな感覚でね。ただ使う時は薄く魔力を纏って食材を使わないといけないんだ。」
「……もしかしてそのせいで魔力なくなったの??」

「んー…それだけじゃないからなんとも…。」
「でもそういうことなんでしょ?辛いなら料理位私がやるよ。嫌いじゃないし。とりあえずやり方教えてくれてありがとう。」

「いや……こちらこそありがとう…。
さすがにロティの手料理が食べれるとは思ってなかったから…。」

落ち込んだ様な顔にヘラッと笑うシーヴァ。
いつもみたいに張り付いた様な笑顔よりもこっちの笑い顔の方がまだ嫌いじゃない。
そんな事を思いながら私は食材を思い浮かべながらシーヴァに尋ねた。

「嫌いなものある?」

「ないよ。」
「それじゃ適当に作るからね。」

野菜や肉を思い浮かべて目の前の台に出す。魔力がそのものの形になるときちんと思い描いた野菜や肉が出てきて一安心した。


さあ、久々の料理を作ろう。そう思うと少しだけ気分が上がった様な気がした。


◇◇◇


「ごちそうさま、ありがとうございました。」
「…凄く改まってどうしたの。」

私が作った食事をぺろりと平げたシーヴァは両手を合わせて私に頭を下げている。私だってここにきてからシーヴァにご飯を貰っていたのだからそこまで感謝される謂れはない。

だがシーヴァは下げた頭を上げると顔を綻ばせながら目を細めて話す。

「ロティがこんな料理上手だとは思ってなかったから。凄く満たされた気分。」
「村にいる時から祖母と料理はしてたからね。」

「ああ、あの人は確かに料理上手だった。」

祖母の料理をシーヴァも幼い頃に何度か食べたことがあったのを覚えている様だ。と言ってもシーヴァが家に押し掛けてきて駄々を捏ねて一緒に食べた様な記憶だが祖母の料理が褒められるのは嫌ではないが。



食べ終えた食器を下げ後片付けを済ます。

いつもならシーヴァが魔法で片付けてしまうが、今日私から魔力を貰ったばかりなのを気にして魔力を使っていないようだ。
カチャカチャと食器の音と水の音だけがキッチンに響いた。

最後の皿一枚を片付けるとキッチンは使う前と一緒の状態に戻った。これで心残りもない。

「さて…終わったから…私は部屋に戻るね。」

そう言ってキッチンを離れようとした時。
咄嗟にシーヴァが私の左手首を掴んできた。


「…シーヴァ、離して。」

シーヴァに向き直り無表情で静かにそう伝える。
いつもみたいに笑っているのかとシーヴァの顔を見ると真剣な表情で私を見つめていた。その顔が私の心を見透かしているようで僅かに怖さを感じそうになったが、グッと堪えて表情を保つ。

「離したらロティがいなくなる気がする。」
「どうしてそう思うの?」

「ロティの勘がいい、魔女の時からそうだ。
そういうところは本当に変わらない。

ロティがここから出たいとか言わない辺り、大方ここがどこだかわかったんじゃないのかな、それで…出るつもりなんだろう?」

話すに連れて険しくなるシーヴァの顔を私は表情を変えずに見つめていた。

いい意味でも悪い意味でも私は表情に考えている事が出やすいと自負している。だが今回ばかりは悟られない様にと頑張ったはずなのに見透かされてしまったようだ。

まだ賭けの段階だった。

多分こうではないかの推測に過ぎない答えを今から1人でぶち壊そうと思っていたのにここでシーヴァに捕まるとは想定外だ。

ここで違うよと冗談ながらに否定すればシーヴァは信じるだろうか。シーヴァの事だ、きっと信じるフリをして警戒を強める事だろう。そうなれば鞄を無理矢理取られてしまっては動きが取れなくなる。

もう一か八かだ。


「そうだって言ったら?」

「……出来れば無理矢理はしたくなかった。」

そう言ったシーヴァは私の左手首を自分の方へとグッと引き寄せた。捕まってしまったシーヴァの腕の中で私はこれも想定外だと目を見開いて驚いたのをシーヴァは知らないだろう。
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