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「……店にね」
 ゆっくりと、秋久さんは言葉を吐き出した。その言葉で、自分自身を傷つけようとするかのように。
「店に来たお客さんが、僕の起こした事故を知っていたんだ」
「……え?」
「あの時、ニュースになったろう?報道された僕の名前と一緒に、インターネットで顔写真が出回ったって、その人から聞いた」
 何でもないことのように感情のこもらない声で、彼は俺が尋ねたことへの答えをくれる。けれど。
「どこから僕の写真なんか見つけてきたのかわからないけど、確かにあったよ。掲示板……っていうのかな?誰でも自由に書き込めるようなところに」
「なんだよ、それ」
  想像よりもずっと酷い現実に、ぐらり、とめまいを覚える。言われた内容はちゃんと届いている。けれど、理解が追いつかない。
  もちろん、俺がしたことではないし、両親にはそんなことをするだけの知識はない。
  顔の見えない第三者の行動。そこにあるのは悪意か、正義感か。単にふざけただけかもしれないし、何なら深く考えてなどいないのかもしれない。
「お前は人殺しだろうって言われたよ。……何も、答えられなかった」
  写真をさらした相手がどんな意図を持っていたにしろ、何の権利があってそんなことをしたのだろうか。この件に何の関係もない人間が私刑のような真似をして。自分が正義だと錯覚してでもいるのだろうか。こんなこと、許されるはずがない。
  予想もしないところから理不尽に加えられた攻撃に、秋久さんだけでなく、兄や俺たち家族までもが土足で踏みにじられたように感じる。
「その話を聞いていた店長にね、辞めてほしいって言われたんだ」
「な……っ、んで……今まで秋久さんがどれだけ頑張って働いていたか、店長が一番よくわかってるはずなのに!」
 納得がいかなくて、思わず声が大きくなる。あれだけ楽しそうに、毎日頑張ってたのに。抱いていたはずの肩を両手でつかんで、気がついたら向かい合っていた。
「小さな個人の店だからね。人殺しを雇ってるなんて知られたら、評判に関わる。常連さんが離れてしまったら、潰れてしまいかねないでしょう?」
  そういう意味では、他にお客さんのいない時で良かったと秋久さんは微笑んだ。
「店長もね、すごく申し訳なさそうだった。こっちが苦しくなるくらい。生活を脅かしたのは僕の方なのにね」
「不起訴なんだ!たまたま悪いタイミングでいろんなことが重なっただけで、秋久さんのせいじゃないのははっきりしてるじゃないか!」
「ニュースはそこまで報道しないよ。こういう事故がありました、とは言うけれどね。その結末がどうなったかは、大きな事件でない限りわざわざ報道したりしない」
「だったら、秋久さんが言えば良かったんだ」
「どれだけの人がそのことを知っているかもわからないのに、誰に弁解して回ればいいの?それに、僕が人をひき殺したのは本当だよ」
「……っ」
  交わることができない、と思った。事故をどうしようもなかったのだと思っている俺と、自分を人殺しだと考えている秋久さん、その両者は、どこまでいっても平行線だ。
  今までに感じたことのない、ずしりとした無力感に苛まれると同時に、怒りにも似た感情がこみ上げる。
「何の権利があって、その客は秋久さんを糾弾するの?仕事を取り上げるの?秋久さんが兄さんの人生を狂わせたというなら、その人だって同じじゃないか」
「仕事は、クビになったってまた別のところで働けるよ。すべてを奪われたわけじゃない。でも、僕は真臣まさおみさんのすべてを奪った」
「だからって何の関係もない他人にひどいことをされてもいい理由にはならないだろ」
「それが人を殺すってことなんだと、僕は思う」
  冷静に告げる秋久さんに、俺は大きく首を振った。
「当事者同士の問題じゃないか。他人がどうこう言う話じゃない」
「文人くんはさ、当人同士で解決しましたって言われたからって、どんな人かも分からない人殺しの隣で生活できる?僕が起こした事故について、キミは事情を知ってる。一緒に暮らす間に、僕がどんな人間かも多少なりとも知ってくれたと思う。だからキミは僕が怖くない。でも、何もわからなかったら?いつ同じことをするかと思うと、怖いでしょう?自分の安全のために危険な人を遠ざけようとするのは、おかしいことじゃないよ」
「……嫌だ」
 ぽろりと自覚しないままに口から言葉がこぼれる。
 それを耳にして初めて、自分の感情を理解する。
「え?」
「俺が嫌なんだ!」
  突然の大声に驚いたように秋久さんがこちらを見る。けれど一旦爆発してしまったらもう止まれなくて、俺はまくし立てた。
「どんなやつが相手だって、秋久さんが理不尽に傷つけられるのは嫌だ!秋久さんが、自分で自分のことを大切にしないのも、これから先、ずっと遠慮して、気を遣って、何をされても仕方ない当然だって色んなことを諦めながら生きていくのも嫌だ!」
  俺を見上げる秋久さんの表情は、ぽかん、という表現がそのまま当てはまるかのようだ。
「言ったでしょう!?俺が事故の事情も、秋久さんがどんな人間かも知ってるって。知ってるからこそ、秋久さんがそんな扱いされるのも、そんな生き方してくのも嫌なんだよ!」
  一度に言い切った俺は、肩で息をするほどに興奮していた。猫が全身の毛を逆立てて威嚇するのにも似た状態で、聞き分けられずに駄々をこねる子供のように、ただ嫌だと繰り返した。そして、目の前の秋久さんが何も言ってくれないことが怖くて、ただひたすらに言葉を繋ぐ。
「あなたは!そんな雑に扱われなきゃいけないような人間じゃないでしょう!」
  それまでの俺の勢いに呆気にとられていた秋久さんは、“え……?”と小さくつぶやくと、ゆっくりと一度瞬きをした。
  その直後、無表情のままの顔が赤く染まっていく。
「え……?」
  秋久さんの様子を目の当たりにして、今度は俺の口から同じ音が漏れた。
  目の前で、元々色の白いその顔をはっきりと赤く染めた彼は、片方の手のひらでその赤さを隠すように覆う。
「……文人くんがこんなに感情的にものを言うなんて、初めて聞いた」
「え?あ……」
  確かに、そうだ。兄が死んだときですら理性と感情は別のところにあって、いなくなってしまって悲しい、淋しいと思う自分は、ただ内側にだけ存在していた。こんなに感情的に言葉を発したことは、今までの人生で一度もなかったかもしれない。
「しかも今、僕のために怒ってくれたんでしょう?」
「秋久さんがちゃんと自分で自分を守ろうとしてくれてたら、俺は言わなかったよ」
  彼の問いに、俺はため息交じりに答える。
「犯罪者だからって、他人から理不尽に傷つけられていいわけがないでしょう。そもそも、何度も言うけど秋久さんに前科はついてない」
  そこまで告げて、俺は言葉にするのを一瞬ためらった。けれど、すでにさっき言ってしまったのだと思い出して続ける。
「それに何より、あなたが他人に傷つけられるのは俺が嫌。秋久さん自身が傷つけるのも嫌だ。いつになったら、自分を犯罪者扱いするのを止めてくれるの?」
  ぐい、と秋久さんの手首をにぎり、顔から手を引き剥がす。まだ赤みの引かない頬と耳を、とても綺麗だと思った。
「ねぇ、秋久さん。秋久さんは、もし俺があなたと同じ立場でも、自分にするのと同じように俺を責める?」
  その言葉に、逸らされていた瞳が大きく開く。
「何の事情も知らないやつに理不尽に仕事を奪われても、お前は人殺しなんだから甘んじて受け入れろって、言う?」
「……言わ、ない」
「どうして?」
「……」
「俺は人殺しなんだよ。犯罪者なんだから、他人ひとからどんな罰を与えられても、被害者の家族に殺されても、仕方ないよね」
  秋久さんの顔が苦しそうに歪む。俺が意図的に彼のしたことをなぞっていると分かっているから。
「どんなに司法が罪はないと言っても、俺は他人の人生を奪った自分が許せない。幸せになんてなっちゃいけない。いっぱい……傷つけて欲しい」
  ほら、と秋久さんの両手をとり、握ったまま引くようにして俺は後ろに倒れる。秋久さんは、否応なしに俺に馬乗りするような体勢になった。
「俺が悪いんだ。だから、殺してくれていいんだよ?俺のこと」
  ねだるように告げて、握ったままだった秋久さんの手を、そっと自分の首に導き、重ねた上から力を込める。苦しいとまではいかないけれど、緩やかに首が絞まる。
  不意に、ぽた、と降ってきたしずくが俺の頬を濡らした。
「……ごめん、やり過ぎた」
  重ねていた手を離し、そのまま親指で秋久さんの頬を拭う。
  彼はぽろぽろと涙をこぼしながら、首を左右に振った。
「僕が……僕が、文人くんにここまでやらせてしまった」
  苦しそうに吐き出して、強く唇を噛む。
「やらせたんじゃないよ。俺が勝手にやったんだ」
  背中に手を回して力を込めると、秋久さんの体は逆らうことなく俺の上に重なった。
「ごめん。でも、できないでしょう?」
  俺が尋ねると、彼は何度も頷いた。
「俺も、一緒」
  ぎゅ、と抱きしめると、告げる。
「大切なら、できないんだよ。分かる?平気で傷つけてくるのは、秋久さんを大切に思っていない人だけ。秋久さん自身も含めてね」
  小さい嗚咽が、腕の中から聞こえる。
「大切に思ってくれない人を秋久さんが尊重する必要はないし、俺にできないことは自分にもしないであげてよ。俺を傷つけたくないって思ってくれたんでしょう?少しでも俺を大切だって思ってくれるなら、俺が大切に思ってる秋久さんを、あなたも一緒に大事にしてよ」
「……俺が、大切に……?」
  驚いたように上半身を起こした秋久さんは、信じられないと言いたげに俺の言葉を繰り返した。
「うん」
「何を、言って……」
「ね。俺も自分で何を言ってるのかって思うよ。でも、秋久さんが傷つけられるのを見るのは嫌なんだ」
「人が傷つくのを見たいなんて人はそうそういないと思う」
  悪あがきをする秋久さんの切羽詰まった表情を見て苦笑する。何としてでも認めたくない秋久さんと、何としてでも分からせたい俺と。
「いいよ。逃げ道は俺がふさぐから、全部俺のせいにして?」
  両手で頬に触れ、ひとつ息を吸って告げる。
「秋久さんだから、嫌だ」
  しっかりと合った視線の先で、見開かれた瞳が揺れる。
「秋久さんが自分に優しくしないなら、代わりに俺が大事にしたい。無抵抗に傷つけられることを選ぶのなら、俺が守りたい。……好きなんだ、秋久さんのこと」
「……っ、嘘、でしょ?僕は加害者で、文人くんは遺族なんだよ?そんなこと、許されるわけ、ない」
  動揺からか、訴える秋久さんの目にはみるみるうちに涙が溜まり、さっきと異なる揺れ方をする。
「許さないって、誰が?誰に許しを乞えばいい?」
「世間とか、道徳とか……」
「そんなものが、俺たちに何をしてくれるの?さっきも言ったけど、自分が大事に思っていない人や、自分を大切にしてくれない人が何を言ったって、放っておけばいい」
「放っておくなんてできるわけが」
「できるよ」
  俺は言葉をさえぎって続ける。
「雑音なんて無視していい。秋久さんの居場所なら、俺が作って見せるから」
「僕は文人くんにとってお荷物にしかならない。それが分かってるのに、側にいるなんて無理だ……」
「お荷物?」
  想像して思わず笑ってしまった俺に、秋久さんが不思議そうな顔をする。
「あ、ごめん。秋久さんが背負ったものごと、全部を俺に背負わせてくれたら、なんて幸せなんだろうって」
「……バカでしょ、文人くん」
  つぶやいた秋久さんは、困ったように、けれど微かに頬を緩ませて言った。
  今なら、秋久さんをぐるりと囲む厚くて高いこの壁を、崩せるんじゃないだろうか。
  その僅かにひびが入った場所を狙って、俺は乞う。
「無理だって思ってるでしょう。でも、少しだって秋久さんが一緒にいることを望んでくれるなら、全力で叶えられるように努力する。だから、求めてよ、俺のこと。俺は、これから先も秋久さんと一緒にいたい」
  “ねぇ、秋久さんは?”
  そう尋ねると、彼は答えなかった。けれど、落とされた視線は指先を見つめたままぴくりとも動かなくて、一生懸命考えてくれているのだとわかった。結論を急がせることは避けたくて、俺は秋久さんが自分で納得できる答えを出すまでただ見守った。
  強い葛藤があるのは無理もない。俺が掴んだままになっている秋久さんの腕が、体が、小さく震えている。
  やがて、彼は辛そうに、言葉を吐き出した。
「……ご両親に、合わせる顔がない」
「……それは、秋久さん自身は俺と一緒にいたいって思ってくれてるってこと?」
  告白を断るときの常套句、ごめんなさい、とは言われなかったことに、小さな希望を見出して尋ねる。
「一緒になんていられるわけない。二人の息子のうち、一人を殺しておいて、もう一人と……その……恋愛関係に……なるだなんて」
「俺が訊いたのは秋久さんがどうしたいかってことだよ。色んな問題は一度全部置いておいて。俺と付き合うのは、嫌?」
「文人くんは……男の人が好きな人、なの?」
  質問に質問で返される。
  けれど、秋久さんが必死に考えようとしてくれているのが分かっているから、それでも構わない。知りたいと求めてくれるのなら、どんなことでもちゃんと答える。
「そうじゃない。人を好きになったこと自体あまりないけど、相手が男の人だったことは、今までになかった」
「……僕も、文人くんと同じ」
「うん。正直に言うとね、秋久さんのことを好きだって確信したのは、ついさっき」
  予想したとおり、目の前の相手は信じられないといった表情をしている。
「一緒にいると居心地がいいとか、安心するとか、そういうことはずっと思ってた。けど、人間性に惹かれているのか、恋愛として好きなのか、分かってなかった」
  俺の言葉に、秋久さんはこくりと頷く。
「さっき、秋久さんが理不尽に傷つけられたって知ったとき、ものすごく腹が立った。あんな風に感情が抑えられなくなったことなんてなくてさ。あぁ、今までに経験したことのないこれは、きっと恋なんだって思った」
「そんな簡単に……」
「簡単じゃないよ。俺がどれだけ理屈っぽいか、秋久さんだって知ってるでしょう?なのに、感情の方が先に立った。俺のことをそんな風にさせるのは、あなただけだ」
  戸惑っている様子の秋久さんの頬に触れる。
「あとはね、簡単だったよ。特別なんだって気づいたら、認めるしかないでしょう?幸い、俺自身、偏見を持ってるわけじゃないからね」
  “こういう性格も役に立つことがあって良かったよ”そう笑って言うと、
「男同士だなんて、苦労するだけだよ。変な目でだってみられるだろうし」
  秋久さんはそう訴えてうつむいてしまう。
「苦労はするだろうね。ある程度受け入れられてきたとはいえ、少数派なんだし。だけど、苦労するだけじゃない。苦労もするけど、一緒にいられるんだ。嬉しいことの方が多いよ。付き合うことでする苦労より、秋久さんを失うことの方が、きっと俺には辛い」
「……」
  精一杯、言葉を尽くしたつもりだった。
  けれど、彼は下を向いたまま、何も言わない。
「ごまかしても納得しないだろうから正直に言うと、両親に対して申し訳ないって気持ちはあるよ。何よりもまず、息子が同性と付き合うことを、受け入れてもらえるのかって思う。孫だって抱かせてあげられなくなるかも知れない。俺の親だからね。理性的だし、ちゃんと自分で考える人たちなのは分かってる。けど、頭で理解できるのと感情的に受け入れられるのが別だっていうのも、分かるんだ」
  同意を示すように、秋久さんが頷く。
「相手が秋久さんだって言うのも……受け入れがたいとは思う」
「……っ」
  俺の言葉に、秋久さんの顔が辛そうに歪む。
「だけど、俺は両親にそんな思いをさせたとしても、秋久さんと一緒にいることを選ぶつもりなんだ」
  バッと、驚いたように顔を上げた彼と、視線が合う。
「もちろん、しっかりと向き合って話はするつもり。両親は俺を大切に思ってくれる人だし、俺も両親が大切だから。できることは全部やって、伝えたいことも余さず伝えて、それでもダメだったときには、自分のしたいようにするよ」
 その瞳は不安の色を滲ませたままだけれど、俺が両親との良い関係を維持するための努力をするつもりであることに、多少なりとも安堵したようだった。
「ただし、秋久さんに俺を選んでもらえれば、だけど」
  “相手のあることだから、俺一人で盛り上がってもだめでしょう?”  と、一番の難関を前にして苦笑する。
「秋久さんだって、男と付き合って来たわけじゃない……よね?対象外だって言われたらそこまでだ。だけど、さ。せめて、伝えさせて欲しい」
 そう告げて、秋久さんを正面から見据える。すんなり出てくると思っていた言葉は、信じられないことに、息を吸うところから上手くいかない。
 自分でも、驚くくらいに緊張している。
 (好きな人に告白するのは、こんなに勇気のいることなのか)
 経験して初めて、中学の頃のクラスメイトに申し訳ないと思った。
 彼氏という存在が欲しいだけなら、付き合ってもいい、だなんて、ちっとも彼女のためなんかじゃなかった。逃げたくなるような緊張を乗り越えて、告げてくれたのだろうに。俺はその気持ちに正面から向き合うことさえしなかったのだ。
(そうだな、あの子の言うとおり、俺が悪かった。付き合えないにしても、もう少し言い方があったよな)
 結局俺は、ちゃんと誰かを好きになったことなど無かった。今になって思い知る。
 人を守りたいと思う気持ちも、愛しいと思う気持ちも、なにより、大事だからこそ相手に伝えようという気持ちも。今までに持ったことのないあたたかい感情は、全部、秋久さんが教えてくれた。
 ……それだけでも、もう十分に幸せだ。
 けど、絶対に、ここで終わりにしたくない。
 すう、と一つ、大きく息を吸って俺は告げた。
「秋久さんが好きです。俺の恋人になってください」
  ……。
  沈黙が続く。
  いたたまれなさに耐えられなくなる寸前、秋久さんが身を乗り出して、ゆっくりと俺に触れた。
  知らず知らずのうちに思い切り握りしめていた手に。力を抜いてこぶしを開くよう促された直後、するりと指を絡められる。
「いつかご両親に話すときには、僕も一緒に行く」
  きゅ、と手を握り、覚悟を決めたような顔で、きっぱりと秋久さんは言った。
  すぐには、意味を理解することができなかった。
  親に話す?何を?
「……それって……?」
「僕も、文人くんと一緒にいたい」
  そう告げる、赤く染まる頬が、愛おしくて。
  ……俺の想いに応えてくれたことが、嬉しくて。
「好きだよ、秋久さん。好きだ」
「うん、僕も文人くんが好き」
  俺は、ありったけの想いを込めて、秋久さんを抱きしめた。
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