73 / 78
3
しおりを挟む
それからいろんな出来事がありながらも、学園に入学してから早くも一ヶ月が経った。
この頃になると、だいたいの学園での人間関係などが分かって来るようになってきた。
僕達の二学年上と三学年上には皇子様方が在籍している。
皇位継承順位としては低いらしいけど、彼らの母親が他の側室よりも力が強い侯爵家や公爵家であるため、他の皇子や皇女よりも注目される人物のようだ。
人当たりが良く、どんな階級の人達にも親切に接するのを見ていると出来た人物だと思っていたんだけど、ネヴィルの話によれば、なかなか腹黒い方々のようである。
表と裏の顔が正反対らしく、自分達の手を汚さないように上手く周りの人間を操っているとのこと。
エイベルとカミールにも遠回しに皇族の先輩方やその取り巻き達にはなるべく近付かないように言われてたから、必要最低限のこと以外はなるべく出会いたくないな。
そんな中で、僕達三人は穏やかと言えるのか分からないような学園生活を送っている。
まず、悪魔であるネヴィルとキーランは人外と言えるような美貌を持っているのもあり、入学早々学生達による『親衛隊』なるものが発足していた。
ネヴィルには主に女子生徒の親衛隊が、キーランには男子生徒と一部の女子生徒の親衛隊が存在する。
ちなみに言うまでもないが僕の親衛隊はいない。
だけど、使い魔であるフォールティアとエルピスには『フォールティアちゃんとエルピスちゃんを愛でる会』なるものがあるらしい。
まぁ、うちの使い魔達は可愛いから愛でる会があっても不思議じゃないけど、愛でる会の会員の方からよく二匹におやつの差し入れが入る。
親衛隊なんて凄い組織が出来上がるなんて、もしや魔法を使って記憶を弄るかなにかしてるんじゃないかと思っていたんだけど、「悪魔はそこまでして人間に好かれたいとは思っておりませんよ」とヤレヤレと首を振られた。
「まぁ、私達レベルの顔を持っていないリアム様には、分からないことでしょうが」と言われ、ムカッとしたけど「疑ってごめん」と謝っておく。
聞けば、どうやらここ数年ほど前から、学生達の間で『親衛隊』というものを作るのが流行っているらしい。
皇室とかにある本格的な『護衛部隊』とかそういう重苦しいものではなく、人気のある学生を密かに愛でる会――まぁ、熱烈なファンのようなものらしい。
今の若い子って凄いな……
しかも悪魔が自ら動かなくてもいろいろな情報が親衛隊の皆様から入ってくるらしく、さらにはして欲しいことを言えば働き蟻のごとくせっせと動いてくれるんだって。
それって本当に……大丈夫なのか?
怖いんで二人には親衛隊にいる子供達に悪いことを命じないように、と言い含めておいた。
ちなみに、僕のクラスには今年入学してきた第六皇子様がいる。
何度か見たことのある上の学年にいる第四、第五皇子様は背も高く、魔法騎士を目指しているのもあってガッシリとした体格をしているが、第六皇子様はそれとは真反対で、体が小さくてひょろっとしている。
同年代だと思うけど小さくて細い体を見ると、まだ十歳未満にしか見えない。
ただ、クラスで隣同士の席(ネヴィルとキーランは僕の前後の席)になので、今では仲良く会話が出来るほどの仲になっている。
最初は皇子様だし話しかけるのは不敬に思われるかな? って思っていたんだけど、忘れ物をした時に教科書を見せようかと話しかけたら、ビックリしたような表情をしてから凄く嬉しそうな顔をした。
第六皇子――シリル君は、話せば全然普通の子供と変わらず、皇族だからと高圧的な態度になることもない。
どちらかと言えば引込思案な性格で、他の皇子様方とは違っていつも下を向いており、自信がなくビクビクしているような感じだった。
いろいろと情報を集めているネヴィルの話によれば、シリル君がこうなった原因は出生にあるのではないかとのこと。
シリル君の他の兄弟のお母様達は、皇族、他国の王族、高位貴族の方々なのに対し、シリル君のお母様は力もなにもない下級貴族で立場的に弱い位置にいるんだって。
だからなのか、シリル君は他の兄弟やその他の人達から今まで虐められて過ごしてきたらしい。
魔法適性がかなり高いので本当は攻撃魔法系のクラスに行けるはずなのに、クラスの人数が少なく極力目立たないようにしようとこのクラスに入ったようだ。
攻撃魔法が使えるのに、浄化の能力も持っているなんてある意味天才なのでは?
頭も他の兄弟姉妹より飛び抜けて良いらしいけど、それで目を付けられても困るから頭が悪い振りをしているらしい。
それなのに、低い立場だからと実力を発揮出来ないでいるなんて酷い話だと思いながら、それなら学園にいる間は心穏やかに過ごして欲しいと思う。
この頃になると、だいたいの学園での人間関係などが分かって来るようになってきた。
僕達の二学年上と三学年上には皇子様方が在籍している。
皇位継承順位としては低いらしいけど、彼らの母親が他の側室よりも力が強い侯爵家や公爵家であるため、他の皇子や皇女よりも注目される人物のようだ。
人当たりが良く、どんな階級の人達にも親切に接するのを見ていると出来た人物だと思っていたんだけど、ネヴィルの話によれば、なかなか腹黒い方々のようである。
表と裏の顔が正反対らしく、自分達の手を汚さないように上手く周りの人間を操っているとのこと。
エイベルとカミールにも遠回しに皇族の先輩方やその取り巻き達にはなるべく近付かないように言われてたから、必要最低限のこと以外はなるべく出会いたくないな。
そんな中で、僕達三人は穏やかと言えるのか分からないような学園生活を送っている。
まず、悪魔であるネヴィルとキーランは人外と言えるような美貌を持っているのもあり、入学早々学生達による『親衛隊』なるものが発足していた。
ネヴィルには主に女子生徒の親衛隊が、キーランには男子生徒と一部の女子生徒の親衛隊が存在する。
ちなみに言うまでもないが僕の親衛隊はいない。
だけど、使い魔であるフォールティアとエルピスには『フォールティアちゃんとエルピスちゃんを愛でる会』なるものがあるらしい。
まぁ、うちの使い魔達は可愛いから愛でる会があっても不思議じゃないけど、愛でる会の会員の方からよく二匹におやつの差し入れが入る。
親衛隊なんて凄い組織が出来上がるなんて、もしや魔法を使って記憶を弄るかなにかしてるんじゃないかと思っていたんだけど、「悪魔はそこまでして人間に好かれたいとは思っておりませんよ」とヤレヤレと首を振られた。
「まぁ、私達レベルの顔を持っていないリアム様には、分からないことでしょうが」と言われ、ムカッとしたけど「疑ってごめん」と謝っておく。
聞けば、どうやらここ数年ほど前から、学生達の間で『親衛隊』というものを作るのが流行っているらしい。
皇室とかにある本格的な『護衛部隊』とかそういう重苦しいものではなく、人気のある学生を密かに愛でる会――まぁ、熱烈なファンのようなものらしい。
今の若い子って凄いな……
しかも悪魔が自ら動かなくてもいろいろな情報が親衛隊の皆様から入ってくるらしく、さらにはして欲しいことを言えば働き蟻のごとくせっせと動いてくれるんだって。
それって本当に……大丈夫なのか?
怖いんで二人には親衛隊にいる子供達に悪いことを命じないように、と言い含めておいた。
ちなみに、僕のクラスには今年入学してきた第六皇子様がいる。
何度か見たことのある上の学年にいる第四、第五皇子様は背も高く、魔法騎士を目指しているのもあってガッシリとした体格をしているが、第六皇子様はそれとは真反対で、体が小さくてひょろっとしている。
同年代だと思うけど小さくて細い体を見ると、まだ十歳未満にしか見えない。
ただ、クラスで隣同士の席(ネヴィルとキーランは僕の前後の席)になので、今では仲良く会話が出来るほどの仲になっている。
最初は皇子様だし話しかけるのは不敬に思われるかな? って思っていたんだけど、忘れ物をした時に教科書を見せようかと話しかけたら、ビックリしたような表情をしてから凄く嬉しそうな顔をした。
第六皇子――シリル君は、話せば全然普通の子供と変わらず、皇族だからと高圧的な態度になることもない。
どちらかと言えば引込思案な性格で、他の皇子様方とは違っていつも下を向いており、自信がなくビクビクしているような感じだった。
いろいろと情報を集めているネヴィルの話によれば、シリル君がこうなった原因は出生にあるのではないかとのこと。
シリル君の他の兄弟のお母様達は、皇族、他国の王族、高位貴族の方々なのに対し、シリル君のお母様は力もなにもない下級貴族で立場的に弱い位置にいるんだって。
だからなのか、シリル君は他の兄弟やその他の人達から今まで虐められて過ごしてきたらしい。
魔法適性がかなり高いので本当は攻撃魔法系のクラスに行けるはずなのに、クラスの人数が少なく極力目立たないようにしようとこのクラスに入ったようだ。
攻撃魔法が使えるのに、浄化の能力も持っているなんてある意味天才なのでは?
頭も他の兄弟姉妹より飛び抜けて良いらしいけど、それで目を付けられても困るから頭が悪い振りをしているらしい。
それなのに、低い立場だからと実力を発揮出来ないでいるなんて酷い話だと思いながら、それなら学園にいる間は心穏やかに過ごして欲しいと思う。
53
お気に入りに追加
241
あなたにおすすめの小説
スキル『箱庭』を手にした男ののんびり救世冒険譚〜ハズレスキル? とんでもないアタリスキルでした〜
夜夢
ファンタジー
この世界はスキルが全て。
成人の儀式で神様から誰もが一つスキルを授かる事ができる。
スキルを授ける神は様々おり、争いの絶えないこの世界では戦闘系スキルこそ至上と考えられていた。
そしてそれ以外の補助系スキルや生活スキルなど、後発的に習得可能とされるスキルを得た者は世界から冷遇される。
これはそんなスキル至上世界で効果不明なスキル『箱庭』を得た主人公【レイ・イストリア】が家から追放されるもそのスキルを駆使し、世界を平和に導く英雄伝説である。
猫耳幼女の異世界騎士団暮らし
namihoshi
ファンタジー
来年から大学生など田舎高校生みこ。
そんな中電車に跳ねられ死んだみこは目が覚めると森の中。
体は幼女、魔法はよわよわ。
何故か耳も尻尾も生えている。
住むところも食料もなく、街へ行くと捕まるかもしれない。
そんな状況の中みこは騎士団に拾われ、掃除、料理、洗濯…家事をして働くことになった。
何故自分はこの世界にいるのか、何故自分はこんな姿なのか、何もかもわからないミコはどんどん事件に巻き込まれて自分のことを知っていく…。
ストックが無くなりました。(絶望)
目標は失踪しない。
がんばります。
幼馴染に振られたので薬学魔法士目指す
MIRICO
恋愛
オレリアは幼馴染に失恋したのを機に、薬学魔法士になるため、都の学院に通うことにした。
卒院の単位取得のために王宮の薬学研究所で働くことになったが、幼馴染が騎士として働いていた。しかも、幼馴染の恋人も侍女として王宮にいる。
二人が一緒にいるのを見るのはつらい。しかし、幼馴染はオレリアをやたら構ってくる。そのせいか、恋人同士を邪魔する嫌な女と噂された。その上、オレリアが案内した植物園で、相手の子が怪我をしてしまい、殺そうとしたまで言われてしまう。
私は何もしていないのに。
そんなオレリアを助けてくれたのは、ボサボサ頭と髭面の、薬学研究所の局長。実は王の甥で、第二継承権を持った、美丈夫で、女性たちから大人気と言われる人だった。
ブックマーク・いいね・ご感想等、ありがとうございます。
お返事ネタバレになりそうなので、申し訳ありませんが控えさせていただきます。
ちゃんと読んでおります。ありがとうございます。
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
異世界ネット通販物語
Nowel
ファンタジー
朝起きると森の中にいた金田大地。
最初はなにかのドッキリかと思ったが、ステータスオープンと呟くとステータス画面が現れた。
そしてギフトの欄にはとある巨大ネット通販の名前が。
※話のストックが少ないため不定期更新です。
フェンリルに育てられた転生幼女。その幼女はフェンリル譲りの魔力と力を片手に、『創作魔法』で料理をして異世界を満喫する。
荒井竜馬
ファンタジー
赤ちゃんの頃にフェンリルに拾われたアン。ある日、彼女は冒険者のエルドと出会って自分が人間であることを知る。
アンは自分のことを本気でフェンリルだと思い込んでいたらしく、自分がフェンリルではなかったことに強い衝撃を受けて前世の記憶を思い出した。そして、自分が異世界からの転生者であることに気づく。
その記憶を思い出したと同時に、昔はなかったはずの転生特典のようなスキルを手に入れたアンは人間として生きていくために、エルドと共に人里に降りることを決める。
そして、そこには育ての父であるフェンリルのシキも同伴することになり、アンは育ての父であるフェンリルのシキと従魔契約をすることになる。
街に下りたアンは、そこで異世界の食事がシンプル過ぎることに着眼して、『創作魔法』を使って故郷の調味料を使った料理を作ることに。
しかし、その調味料は魔法を使って作ったこともあり、アンの作った調味料を使った料理は特別な効果をもたらす料理になってしまう。
魔法の調味料を使った料理で一儲け、温かい特別な料理で人助け。
フェンリルに育てられた転生幼女が、気ままに異世界を満喫するそんなお話。
※ツギクルなどにも掲載しております。
人生ひっそり長生きが目標です 〜異世界人てバレたら処刑? バレずにスローライフする!〜
MIRICO
ファンタジー
神の使徒のミスにより、異世界に転生してしまった、玲那。
その世界は、先人の異世界人が悪行を行ってばかりで、異世界人などクソだと言われる世界だった。
家と土地を与えられ、たまに本が届くくらいで、食料もなければ、便利なものも一切ない、原始な生活。
魔物がいるという森の入り口前の家から、生きるために糧を探しに行くしかない。
そこで知り合った、魔物討伐隊の騎士フェルナンとオレード。村人たちに親切にしてもらいながら、スローライフを満喫する。
しかし、討伐隊は村人に避けられていて、なにやら不穏な雰囲気があった。それがまさか、先人の異世界人のせいだったとは。
チートなんてない。魔法を持っている人がいるのに、使えない。ツルから草履を作り、草から糸を作り、服を作る。土を耕して、なんでも植える。お金がないなら、作るしかない。材料は、森の中にある!
しかも、物作りのためのサバイバルも必要!?
原始なスローライフなんて、体力がなけりゃ、やってられない。
生きていくために、前世の知識と、使徒が持ってくる本で、なんとかする!
ただ、異世界人とバレるわけにはいかない。処刑されてしまうかもしれない。
人生ひっそり、長生きが目標。玲那の体力自慢のスローライフが始まる。
ゆっくりのんびり連載していく予定です
他社サイト様投稿中 タイトル改めました
伯爵家の次男に転生しましたが、10歳で当主になってしまいました
竹桜
ファンタジー
自動運転の試験車両に轢かれて、死んでしまった主人公は異世界のランガン伯爵家の次男に転生した。
転生後の生活は順調そのものだった。
だが、プライドだけ高い兄が愚かな行為をしてしまった。
その結果、主人公の両親は当主の座を追われ、主人公が10歳で当主になってしまった。
これは10歳で当主になってしまった者の物語だ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる