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将来への希望
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笑い声につられてネヴィルを見たウェルドも口の端を振るわせ、笑うのを堪えているようだった。
それから、ふとテーブルの上に並べなれた料理の数々に瞬きをする。
「ウェルド、キーランは料理が得意だから、今後は僕達のごはんを作ってくれることになったんだ」
僕がそう言うと、ウェルドが不思議そうな顔で料理とキーランを見比べる。
「悪魔が……料理」
「なによ? 悪魔になる前は人間だったんだから、このくらいの料理は簡単に作れるわよ」
「……なるほど」
「それじゃさ、冷めないうちに食べようよ」
そう僕が言うと、キーランが僕のお皿にたくさん料理を盛っていくが、ネヴィルとウェルドには自分でやんなと塩対応だった。
「さ、たくさん食べて」と言われ、頷きながらソースがかけられたステーキライスを一口食べ……ウマッ! と叫ぶ。
テーブルの上には激ウマステーキライスの他に、玉ねぎを丸ごと使った甘辛煮、チーズがたっぷり入ったマッシュポテト、カボチャのミルクポタージュ、そしてデザートにと作ってくれたサツマイモのパウンドケーキがおかれている。
大衆食堂などで出てくるような豪快な盛り付けで、食欲をそそる匂いだけで口から涎が出てくる。
ガツガツと食べ始める僕を見て、ネヴィルとウェルドも口に入れると目を見開いてから無言で食べ進める。
悪魔であるネヴィルは食事をしなくてもいいみたいだけど、人間と同じく味は感じられるので、趣味程度によく僕達と一緒にご飯を食べている。
美味しいからか、嫌みの一つも言わずに無言で食べていた。
元宰相であるウェルドは、味には煩い方なんだけど……黙々と食べているところを見れば味は合格なんだと思う。
久しぶりに温かく家庭的な料理を食べていたら、気付けば全てのお皿とスープ鍋の中身が空っぽになっていた。
お代わりを何度もしたよね。
人間と悪魔――生まれも育ちも考え方も違う異色の四人が、同じテーブルで食事をしているなんて不思議な感じだなぁ~と思いながら、満たされたお腹を撫でたのだった。
「そう言えばさ、アルフィー君は今どうしてるの?」
食後のお茶を飲みながらまったりしていた時、ふとアルフィー君は今どうしているのか気になった。
ウェルドに聞いてみたら、今はアルフィー君と同じような境遇の子供達と一緒に、ウェルドが創設した学校に通いながら、普段は学生寮で生活しているらしい。
寮には寮母さんという学生達の健康管理や子供達の生活に目を配ってくれる存在がいて、孤児院では子供達が掃除洗濯など様々な仕事をこなしていたが、そのような仕事は寮母さんが受け持ってくれる。
孤児院とは違い、寮では三食お腹いっぱい食べられることと、温かいお湯が出てくるシャワーで体を洗えて、ふかふかのベッドで寝ることが出来る。
今までであれば勉強をしたくても絶対に出来なかった環境下から、自由に学びたいものを学べる環境になった。
誰にも蔑まれることなく、安心して過ごすことが出来るので、精神的にも安定してきているとのこと。
ただ、それでも一定のルールを守らなかったり、人の物を盗んだり、勉強を疎かにして遊んでばかりいるなら、今まで通り孤児院――もしくは同様の施設へと送られることになると子供達に説明しているらしく、アルフィー君達はそこには絶対に行きたくないからと、頑張って勉強をしているんだって。
ウェルドが「あの子達は気概がありますからね。将来が期待できます」と何度も褒めていた。
それと、アルフィー君達が通う基礎学習から学べる学校以外の専門的な学業も本格的に始まっているらしい。
最初は高水準の教育を施せる教師を集めるのにかなり苦労するだろうと思われていたが、自分の専門分野を教えられる他に、研究費が出るし給料も他の学校より高いということで、逆にウェルドの学校では働かせて欲しいと募集が殺到したんだって。
「リアム様、見ていてください。将来この学園から必ず偉人、賢人が排出されますので」
確信に満ちた目でそう述べるウェルドに、将来本当にそんな人達が出てきそうで、今後が凄く楽しみになった僕であった。
それから、ふとテーブルの上に並べなれた料理の数々に瞬きをする。
「ウェルド、キーランは料理が得意だから、今後は僕達のごはんを作ってくれることになったんだ」
僕がそう言うと、ウェルドが不思議そうな顔で料理とキーランを見比べる。
「悪魔が……料理」
「なによ? 悪魔になる前は人間だったんだから、このくらいの料理は簡単に作れるわよ」
「……なるほど」
「それじゃさ、冷めないうちに食べようよ」
そう僕が言うと、キーランが僕のお皿にたくさん料理を盛っていくが、ネヴィルとウェルドには自分でやんなと塩対応だった。
「さ、たくさん食べて」と言われ、頷きながらソースがかけられたステーキライスを一口食べ……ウマッ! と叫ぶ。
テーブルの上には激ウマステーキライスの他に、玉ねぎを丸ごと使った甘辛煮、チーズがたっぷり入ったマッシュポテト、カボチャのミルクポタージュ、そしてデザートにと作ってくれたサツマイモのパウンドケーキがおかれている。
大衆食堂などで出てくるような豪快な盛り付けで、食欲をそそる匂いだけで口から涎が出てくる。
ガツガツと食べ始める僕を見て、ネヴィルとウェルドも口に入れると目を見開いてから無言で食べ進める。
悪魔であるネヴィルは食事をしなくてもいいみたいだけど、人間と同じく味は感じられるので、趣味程度によく僕達と一緒にご飯を食べている。
美味しいからか、嫌みの一つも言わずに無言で食べていた。
元宰相であるウェルドは、味には煩い方なんだけど……黙々と食べているところを見れば味は合格なんだと思う。
久しぶりに温かく家庭的な料理を食べていたら、気付けば全てのお皿とスープ鍋の中身が空っぽになっていた。
お代わりを何度もしたよね。
人間と悪魔――生まれも育ちも考え方も違う異色の四人が、同じテーブルで食事をしているなんて不思議な感じだなぁ~と思いながら、満たされたお腹を撫でたのだった。
「そう言えばさ、アルフィー君は今どうしてるの?」
食後のお茶を飲みながらまったりしていた時、ふとアルフィー君は今どうしているのか気になった。
ウェルドに聞いてみたら、今はアルフィー君と同じような境遇の子供達と一緒に、ウェルドが創設した学校に通いながら、普段は学生寮で生活しているらしい。
寮には寮母さんという学生達の健康管理や子供達の生活に目を配ってくれる存在がいて、孤児院では子供達が掃除洗濯など様々な仕事をこなしていたが、そのような仕事は寮母さんが受け持ってくれる。
孤児院とは違い、寮では三食お腹いっぱい食べられることと、温かいお湯が出てくるシャワーで体を洗えて、ふかふかのベッドで寝ることが出来る。
今までであれば勉強をしたくても絶対に出来なかった環境下から、自由に学びたいものを学べる環境になった。
誰にも蔑まれることなく、安心して過ごすことが出来るので、精神的にも安定してきているとのこと。
ただ、それでも一定のルールを守らなかったり、人の物を盗んだり、勉強を疎かにして遊んでばかりいるなら、今まで通り孤児院――もしくは同様の施設へと送られることになると子供達に説明しているらしく、アルフィー君達はそこには絶対に行きたくないからと、頑張って勉強をしているんだって。
ウェルドが「あの子達は気概がありますからね。将来が期待できます」と何度も褒めていた。
それと、アルフィー君達が通う基礎学習から学べる学校以外の専門的な学業も本格的に始まっているらしい。
最初は高水準の教育を施せる教師を集めるのにかなり苦労するだろうと思われていたが、自分の専門分野を教えられる他に、研究費が出るし給料も他の学校より高いということで、逆にウェルドの学校では働かせて欲しいと募集が殺到したんだって。
「リアム様、見ていてください。将来この学園から必ず偉人、賢人が排出されますので」
確信に満ちた目でそう述べるウェルドに、将来本当にそんな人達が出てきそうで、今後が凄く楽しみになった僕であった。
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