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閑話 フォールティア

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 使い魔になったフォールティアの一日は、使い魔仲間のエルピスを起こすことから始まる。
 見た目がにゃんこなエルピスは日当たりの良い場所に丸い籠を置き、その中にふわふわな手触りのクッションを敷き、そんな籠の中で寝ることを至福としている。

《キュー!》

 そろそろ起きる時間だよ! と寝ているエルピスの頭を嘴でツンツンとつつくも全然起きない。
 しょうがないな~と思いながら、次に主の元へ両足でぴょんぴょん飛びながらベッドの上を歩く。

《キュー!》

 主にも同じく鳴くと、主はぎゅーっと眉間を寄せて「もう少し……」と言って毛布の中に潜っていっちゃう。
 ダメダメ! これ以上寝たらお腹が空いて、主のお腹と背中がくっ付いちゃう!

《ピキュー!?》

 昨日ネヴィル様に「いいですか? 人間はお腹が空き過ぎるとお腹と背中がくっ付いちゃうんですよ」と怖い『人間情報』を教えてもらっていたので、フォールティアは焦ったの。
 羽ばたいてから毛布の中に潜った主の体の上に着地すると、その場でぴょんぴょんしながら《キューおきてーッ!》と鳴き続ける。

 それでも起きないと最終手段として――フォールティアの得意技、衝撃波を放つ。

《キュッ!》
「ぐえっ!?」

 主から凄い声が聞こえてきたけど……起きたかな?

「……ふぉ、フォールティアさん。痛くはないけど、さすがにそれはめちゃくちゃ驚くからやめてね?」
《キュゥ~?》

 どういうことだろうと首を傾げると、主以外に衝撃波で人を起こすのは危険だからやめてねって言われた。
 なるほど。
 かなり力は抑えて撃ったけど、それでも人間にはつらいらしい。

「はぁ……それじゃあ起きますかね」

 ベッドから起きて寝間着から普段着に着替えた主は、まだ籠の中で爆睡してるエルピスを持ち上げると、服のポケットの中に入れて「まだ寝てていいよ」と頭を撫でていた。
 フォールティアは主の肩に載って、主の頬や首に頭を擦り付ける。
 優しい主、大好きですー!

「あはは、くすぐったいよフォールティア」
《キュ~》

 喉元を指先で撫でられると、フォールティアの体は蕩けちゃう。
 これも使い魔になってから初めて知った感覚だった。

 大好きなエルピスと、大好きな主と一緒にいれるなんて……今日も幸せ!
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