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お久しぶりです!

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 何度か休憩を挟みながら走り続け、一時間もかからないで目的地の役場へと着いた。

 馬を休ませるために役場の厩番の方に預け、役場の中へと入る。
 受付に行って名前を名乗り、書類を持って来たことを伝えようとしたら、外から中に入ってきた人に名前を呼ばれて振り向く。

「あぁ、やっぱりリアムさんでしたか」
「こんにちはトッティさん。こちらへ届けるように言われた書類をお持ちしました」
「助かります!」
「あと、こちらが忙しいようでしたら手伝うように言われていまして」
「手伝って頂けるのなら有難いです!」

 どうやら町の近くに魔獣が出現したようで、魔獣の討伐と瘴気の浄化をしなければならずでてんやわんやな状況になっているようで、猫の手も借りたいと言っていた。

「先ほど帝都の騎士団が来てくれて、魔獣討伐と浄化はお任せくださいと言ってくれたんですよ! いやぁ~助かる! ただ、今回来たのは先発隊みたいな感じで人数が少ないんで、少しでも浄化能力がある人は手伝って欲しいらしくてね」

 だから僕がここに来ることを指名されたんだな。
 たぶん、浄化の能力がある人間は瘴気に対する耐性があるから、荷物持ちなどの手伝いをする要因として討伐について来て欲しいのかもな~。
 そんなことを思いながらトッティさんと一緒に役所の外に出て歩いていると、役所の裏側のところに数十人の馬を従えたローブを着た集団がいるのが目に入る。
 近付いて行くと、集団で指示を出している人が見たことのある人だと気付く。

「え、リッカルド先輩にメルヴィン先輩!?」
「ん? え、リアム?」
「おや、こんなところでリアム君に会うとは」
 
 学園を卒業して十五年、手紙でのやり取りはあったけど直接会うのは卒業以来で、凄く懐かしい。

「先輩、お久しぶりです! お元気でしたか?」
「おう! 俺達は見ての通りだな。お前も元気そうでなによりだ」
「久しぶりだね。まさかここで会えるとは思ってなかったよ」

 先輩達はどうしてここへ? と聞いたら、この付近をたまたま先輩達の騎士団が遠征で通っていた時に、町で魔獣の被害が出ているのを聞いたのでそのまま魔獣が出現した場所を調査・討伐・浄化をする予定とのこと。
 ただ遠征に来ていたから人数が少なく浄化師も一人しかいないから、先輩達魔法剣士や魔法師が倒した魔獣の『コア』を僕が取って袋に詰めて欲しいと言われた。
 それくらいであれば任せてください! と胸を叩く。
 魔法剣士としても魔法師としても最強な二人がいるんだから、僕の安全は約束されたようなものだ。

「俺達はもう準備は出来ているが……」
「あ、僕はいつでも大丈夫です」
「そうか? それじゃあ出発しよう」

 自分の馬がいなかったのでリッカルド先輩の馬の後ろに乗せてもらい、目的地へと向かう。
 僕がこの町へとやってきた馬よりも大きく体格のいい軍馬は、僕とリッカルド先輩が乗っても余裕で走り続け、魔獣が出ているらしい山の麓付近へと思っていたよりも早く着くことが出来た。
 麓が見えてきた辺りで周りの人達の緊張感が増していくのが分かった。
 馬が進めば進むほど、黒紫色の濃い霧のような瘴気が広範囲に広がっているのが見える。
 これほど濃い瘴気が漂っているとなると、強い魔獣がいるか魔獣の数が多いか……またはそのどちらの可能性も高い。
「全員『浄化薬』を飲み、戦闘準備!」

 ここからの展開は早かった。
 まずメルヴィン先輩達魔法師が魔法で周囲にいる魔獣がいる場所などを突き止め、魔法剣士と共に討伐していく。
 思っていたよりも魔獣の数が多いのに、それをものともせずに倒す姿を見ていると手馴れているのが分かる。
 魔獣討伐を数えきれないほどしているのかもしれない。
 そして倒した魔獣を浄化師の男性がサクサクと浄化していくので、僕と魔法剣士の女性――ミサさんと一緒に『コア』を取り出す作業をしていった。
 ミサさんは新人なので今回は主な戦闘要員としてではなく、コアを取り出す作業をしている僕の護衛をしてくれていて、たまにコアも取りながらいつでも動けるように周囲を警戒している。

「リアムさん、そろそろ『浄化薬』を飲んでくださいね」
「あ、はい。忘れてました、ありがとうございます」

 一時間以上コアを取り出す作業をしていると、途中途中ミサさんが浄化薬を手渡して飲むよう催促してくる。
 作業に没頭していると飲み忘れてしまうので、教えてくれるのはかなりありがたい。
 瓶の中に入っている薬を飲んでいると、ミサさんが「リアムさんは凄いですね」とそんなことを言ってくるので「んぇ?」と首を傾げた。

 僕が……凄い? なぜに?
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