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「ふぅっ……く、ぅっ……う、ぅぅっ」
どっ、と涙が溢れて頬を伝う。
もうダメだと諦めてしまいそうなほど、死の気配が刻一刻と迫って来ていた状況だった。
なんでこんなところで死ななきゃならないんだろうって、学園なんかに入らなきゃ良かったって心の中で何度も思った。
絶望という名のものに心が支配されそうになった時……突然怪我が治り、死の危機から回避できた。
安全な空間にたどり着き、もう心配はいらないのだと脳が認識した瞬間、僕は安堵したのと同時に泣き出してしまった。
しばらく涙が出るのを止められなかったんだけど、先輩達に頭や背中をポンポンされて慰められていたら次第に止まってきた。
僕が泣き止んだのを見た女性は、楽しそうな雰囲気で僕達に話しかけた。
『私は恵と祝福の女神――ヴァレリアーナ』
その名前にメルヴィン先輩が反応をする。
「ヴァレリアーナって……古代都市で崇められていた女神の名前だったはず」
「そうなのか?」
「あぁ。古代の人達が今の時代よりも強い魔法を使いこなせていたのは、ヴァレリアーナという女神の祝福のおかげではないか、と昔見た歴史書に書かれていたと思う」
ただ、ある時代を境になぜかその古代の人達は突然歴史から姿を消してしまう。
消えた理由は今も分かってはいない。
そんな歴史書にも乗っている女神様と同じ名前の女神が、僕達に微笑む。
『この空間――私の領域に来た客人にはどんな願いでも叶えることにしている』
そう言いながら、女神様は今までこの空間にやって来た人物が願ったことを話し出す。
『大富豪になりたい、不老長寿にしてほしい、誰にも負けない強い力が欲しい、想い人と結ばれたい、死んだ恋人を生き返らせて欲しい、国王になりたい、一生飢えずに生きたい……他にもいろいろと願っていた』
それらを全て叶えたと言う女神に、じゃあ、とメルヴィン先輩が手を上げた。
リッカルド先輩が「おい!」と止めようとするのを手で制し、「願うだけならタダだ」と言ってから女神を見詰め、願いを口にする。
「僕は、大魔法師になりたい。それも歴代最強と言われた魔塔の『二十一代魔塔総帥』と同様か、それ以上の魔法師に」
『そなたの願い――叶えよう』
女神様はそう言うと花冠から一輪の花を抜き取り、それに息を吹き込めてからメルヴィン先輩の心臓部分に当てる。
すると体に触れていた花が、そのままメルヴィン先輩の体の中に吸収されるように消えた。
「……せ、先輩?」
自分の胸に手を当て、驚いた表情で花が消えた部分を見詰め続けるメルヴィン先輩。
心配になって声をかけたら、凄い嬉しそうな表情で「凄いっ! 本当に僕、大魔法師レベルの魔法を扱えるようになったかもしれない!」と興奮したように叫ぶ。
「今まで感じたこともない魔力が僕の体を駆け巡ってるんだ! これなら、第七……いや、第八の封印魔法も直ぐに解除出来そうだ!」
魔法師として直感的に確信出来るなにかがあったようだ。
メルヴィン先輩が大興奮しながら喜ぶ姿を見て、心が決まったリッカルド先輩が「俺は……」と願いを言う。
「俺は最強の魔法剣士になりたい。魔法剣士として誰にも負けない、尊敬される強い人間に」
『よろしい、叶えよう』
メルヴィン先輩の時とは違った花を一輪取り、それに息を吹き込むと体に吸収させる。
「……すげぇっ! 魔力が本当に漲ってくる」
手をグーパーしながらそう呟くリッカルド先輩。
嬉しそうにする二人の先輩を見ていたら、女神様が僕の前にやってきた。
『小さき人間の少年、そなたはなにを望む?』
「僕は……」
お金持ち? 病気をしない? それとも先輩達のように浄化師としての能力向上を願うべきか?
いろいろと頭の中で考えるも、先ほど魔獣に襲われた光景がフラッシュバックする。
命が自分の手からこぼれ落ちそうになる、あの恐怖を思い出し――僕は震えながら願いを口にしていた。
どっ、と涙が溢れて頬を伝う。
もうダメだと諦めてしまいそうなほど、死の気配が刻一刻と迫って来ていた状況だった。
なんでこんなところで死ななきゃならないんだろうって、学園なんかに入らなきゃ良かったって心の中で何度も思った。
絶望という名のものに心が支配されそうになった時……突然怪我が治り、死の危機から回避できた。
安全な空間にたどり着き、もう心配はいらないのだと脳が認識した瞬間、僕は安堵したのと同時に泣き出してしまった。
しばらく涙が出るのを止められなかったんだけど、先輩達に頭や背中をポンポンされて慰められていたら次第に止まってきた。
僕が泣き止んだのを見た女性は、楽しそうな雰囲気で僕達に話しかけた。
『私は恵と祝福の女神――ヴァレリアーナ』
その名前にメルヴィン先輩が反応をする。
「ヴァレリアーナって……古代都市で崇められていた女神の名前だったはず」
「そうなのか?」
「あぁ。古代の人達が今の時代よりも強い魔法を使いこなせていたのは、ヴァレリアーナという女神の祝福のおかげではないか、と昔見た歴史書に書かれていたと思う」
ただ、ある時代を境になぜかその古代の人達は突然歴史から姿を消してしまう。
消えた理由は今も分かってはいない。
そんな歴史書にも乗っている女神様と同じ名前の女神が、僕達に微笑む。
『この空間――私の領域に来た客人にはどんな願いでも叶えることにしている』
そう言いながら、女神様は今までこの空間にやって来た人物が願ったことを話し出す。
『大富豪になりたい、不老長寿にしてほしい、誰にも負けない強い力が欲しい、想い人と結ばれたい、死んだ恋人を生き返らせて欲しい、国王になりたい、一生飢えずに生きたい……他にもいろいろと願っていた』
それらを全て叶えたと言う女神に、じゃあ、とメルヴィン先輩が手を上げた。
リッカルド先輩が「おい!」と止めようとするのを手で制し、「願うだけならタダだ」と言ってから女神を見詰め、願いを口にする。
「僕は、大魔法師になりたい。それも歴代最強と言われた魔塔の『二十一代魔塔総帥』と同様か、それ以上の魔法師に」
『そなたの願い――叶えよう』
女神様はそう言うと花冠から一輪の花を抜き取り、それに息を吹き込めてからメルヴィン先輩の心臓部分に当てる。
すると体に触れていた花が、そのままメルヴィン先輩の体の中に吸収されるように消えた。
「……せ、先輩?」
自分の胸に手を当て、驚いた表情で花が消えた部分を見詰め続けるメルヴィン先輩。
心配になって声をかけたら、凄い嬉しそうな表情で「凄いっ! 本当に僕、大魔法師レベルの魔法を扱えるようになったかもしれない!」と興奮したように叫ぶ。
「今まで感じたこともない魔力が僕の体を駆け巡ってるんだ! これなら、第七……いや、第八の封印魔法も直ぐに解除出来そうだ!」
魔法師として直感的に確信出来るなにかがあったようだ。
メルヴィン先輩が大興奮しながら喜ぶ姿を見て、心が決まったリッカルド先輩が「俺は……」と願いを言う。
「俺は最強の魔法剣士になりたい。魔法剣士として誰にも負けない、尊敬される強い人間に」
『よろしい、叶えよう』
メルヴィン先輩の時とは違った花を一輪取り、それに息を吹き込むと体に吸収させる。
「……すげぇっ! 魔力が本当に漲ってくる」
手をグーパーしながらそう呟くリッカルド先輩。
嬉しそうにする二人の先輩を見ていたら、女神様が僕の前にやってきた。
『小さき人間の少年、そなたはなにを望む?』
「僕は……」
お金持ち? 病気をしない? それとも先輩達のように浄化師としての能力向上を願うべきか?
いろいろと頭の中で考えるも、先ほど魔獣に襲われた光景がフラッシュバックする。
命が自分の手からこぼれ落ちそうになる、あの恐怖を思い出し――僕は震えながら願いを口にしていた。
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