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そんな誓いを立ててから一ヶ月後、僕は早くも挫折というものを味わっていた。
朝食を食べ終えてから寮を出て、他の生徒達が歩くのと一緒の速さで歩きながら自分のクラスへと向かう。
教室に入れば、各々が仲良くしている生徒同士で会話をしていたり、一人で実習をしている子など様々だ。
基本このクラスの生徒は貴族のご令息ご令嬢がほとんどで、平民は僕を入れても三人ほど。
とは言っても僕以外の二人は裕福な家庭――なにかの事業をしているお家のお子さん達だ。
ただ有難いのは、貴族やお金持ちだからといって僕みたいな平民を見下す人がいないということと、クラス移動の時や必要事項があったらちゃんと教えてくれるところかな。
「はぁ~。今度の混合試験、どうなるんだろう。緊張するな~」
「え~、それよりも召喚の方が緊張するじゃん」
「そういうのは全然緊張しないけど、今度の衛生学の筆記試験でいい点数を取れば初めて成績上位組に入れるから、僕的にはそっちを頑張らなきゃだよ」
自分の席に向かっている途中、三人の男の子が話し合っているのを聞こえてきた。
これから筆記試験とか色々あるんだけど、さすがに僕は入ったばかりだから本格的な試験は免除になった。
知らないことを学べるのはいつでも楽しいと思うし、先生の説明や体験談を聞くのもかなり面白いから。
でも、ここ最近憂鬱になっていることがある。
それは『浄化』の能力がこのクラスの中で一番低いということ。
稀少な能力である浄化を持っているから学園に入れたけど……クラスで一番浄化力がある子の能力が『10』だとすれば、平均は『7~5』くらいだ。
だけど、僕はそれよりもかなり低くて『3』くらいじゃないかと、能力値を調べた担当の先生に言われた。
ハッキリ言って浄化師としてはめっちゃ弱い。
弱いから酷い瘴気は浄化出来ないし、僕が出来ることと言えば瘴気によって起こるちょっとした精神異常などを正常に戻したり、安心感を与えること。
そして自分自身が瘴気に対する耐性が少し高いという事くらいだった。
担当の先生に、こんなに浄化の能力が弱いのに学園にいてもいいのかと聞いたことがあったんだけど、先生は「どんなに力が弱くても、力の使い方をちゃんと知っているのと知らないのでは違うからね。それに、この学園以外に浄化の能力を持っている子供を上手く教えられる教員は他にいないからね」と言われ、僕が学園にいるのはなんの問題もないと頭を撫でてくれた。
能力に関して言えばそれで納得することが出来たんだけど、問題はまだまだあって……
魔法科で習う授業に追いつくだけでも大変なのに加えて、普通の授業――帝国語の他に他国語も学ばなきゃだし、数学や衛生学など他にもいっぱい覚えるものがあって頭がパンクしそうになっているんだよね。
しかもここ最近で一番の問題なのが、二日後に行われる『全学年混合実技試験』というものに僕も参加しなければならない、というものだった。
これは皇族が学園にいる期間、特別に開催されるものらしく……帝国騎士コースの最終学年に第二皇子殿下がいらっしゃるので、開かれることになった試験だと周りの会話で知った。
全学年強制参加で、試験に落ちたら留年決定になるらしい。
重い溜息をつきながら自分の席に座ると、隣の席の女の子に声をかけられた。
「おはようリアム君」
「あ、アルドリーネちゃんおはよう」
アルドリーネちゃんは伯爵家のお嬢様なんだけど、隣の席ということもあって朝の挨拶とか授業で分からないことがあると、それとなく教えてくれる優しい子だった。
風の噂によるとアルドリーネちゃんのお母さんは他国の人で、古い魔女の血が流れている魔女の末裔なんだとか。
浄化するの能力はクラスの中でも上位に入るのに、封印魔法も少しなら使えるんだって。
魔法は強さによってランクがあって、第一は生活魔法といって一般的な家庭で使われるコンロに着ける火だったり、室内を照らす照明に使われる光系の魔法などがある。
第二から第三までは普通の魔法師が使用する攻撃系だったり防御系の魔法で、学生であれば第二や第三レベルの魔法が使えるくらい。
ここまでは頑張って鍛錬すれば、適性がない人以外は誰でも使うことが出来ると言われている。
そして第四から『封印』が施されいる。
『封印魔法』とは、神が人々が使うには危険だと判断した魔法を封印したものだと言われていて、魔法を使える適性のある人の中でさらに封印を解く『鍵』を持っている人だけが封印解除をして使用出来るものなんだって。
その『鍵』っていうのはどんなものなの? ってアルドリーネちゃんに聞いたら、言葉でどう言い表していいのか分からないと言われた。
魔法の鍛錬を積み重ねて、ある境地に達すると、感覚で「あ、これが鍵なのかもしれない」と思うものらしい。
第四の封印魔法からは攻撃魔法の殺傷能力がかなり上がり、その他の防御系だったり治癒魔法の使えるレベルも大幅にアップする。
第五から第六は上級者が使えるもので、この学園でも最高学年の人で数人第五レベルを使える先輩達がいるのだとか。
第七は魔鋭部隊の集まりと言われる皇室騎士団やそれに匹敵する人達だけが使える。
第八を使えるのは、五人もいないと言われる『大魔法師』だけ。
第九から第十は天使や悪魔といった存在だけが使える。
ただ、天使や悪魔が人間によって召喚される時は力を大幅に封印されるらしく、召喚主が望むその時までは勝手に使えない仕組みになっているんだって。
朝食を食べ終えてから寮を出て、他の生徒達が歩くのと一緒の速さで歩きながら自分のクラスへと向かう。
教室に入れば、各々が仲良くしている生徒同士で会話をしていたり、一人で実習をしている子など様々だ。
基本このクラスの生徒は貴族のご令息ご令嬢がほとんどで、平民は僕を入れても三人ほど。
とは言っても僕以外の二人は裕福な家庭――なにかの事業をしているお家のお子さん達だ。
ただ有難いのは、貴族やお金持ちだからといって僕みたいな平民を見下す人がいないということと、クラス移動の時や必要事項があったらちゃんと教えてくれるところかな。
「はぁ~。今度の混合試験、どうなるんだろう。緊張するな~」
「え~、それよりも召喚の方が緊張するじゃん」
「そういうのは全然緊張しないけど、今度の衛生学の筆記試験でいい点数を取れば初めて成績上位組に入れるから、僕的にはそっちを頑張らなきゃだよ」
自分の席に向かっている途中、三人の男の子が話し合っているのを聞こえてきた。
これから筆記試験とか色々あるんだけど、さすがに僕は入ったばかりだから本格的な試験は免除になった。
知らないことを学べるのはいつでも楽しいと思うし、先生の説明や体験談を聞くのもかなり面白いから。
でも、ここ最近憂鬱になっていることがある。
それは『浄化』の能力がこのクラスの中で一番低いということ。
稀少な能力である浄化を持っているから学園に入れたけど……クラスで一番浄化力がある子の能力が『10』だとすれば、平均は『7~5』くらいだ。
だけど、僕はそれよりもかなり低くて『3』くらいじゃないかと、能力値を調べた担当の先生に言われた。
ハッキリ言って浄化師としてはめっちゃ弱い。
弱いから酷い瘴気は浄化出来ないし、僕が出来ることと言えば瘴気によって起こるちょっとした精神異常などを正常に戻したり、安心感を与えること。
そして自分自身が瘴気に対する耐性が少し高いという事くらいだった。
担当の先生に、こんなに浄化の能力が弱いのに学園にいてもいいのかと聞いたことがあったんだけど、先生は「どんなに力が弱くても、力の使い方をちゃんと知っているのと知らないのでは違うからね。それに、この学園以外に浄化の能力を持っている子供を上手く教えられる教員は他にいないからね」と言われ、僕が学園にいるのはなんの問題もないと頭を撫でてくれた。
能力に関して言えばそれで納得することが出来たんだけど、問題はまだまだあって……
魔法科で習う授業に追いつくだけでも大変なのに加えて、普通の授業――帝国語の他に他国語も学ばなきゃだし、数学や衛生学など他にもいっぱい覚えるものがあって頭がパンクしそうになっているんだよね。
しかもここ最近で一番の問題なのが、二日後に行われる『全学年混合実技試験』というものに僕も参加しなければならない、というものだった。
これは皇族が学園にいる期間、特別に開催されるものらしく……帝国騎士コースの最終学年に第二皇子殿下がいらっしゃるので、開かれることになった試験だと周りの会話で知った。
全学年強制参加で、試験に落ちたら留年決定になるらしい。
重い溜息をつきながら自分の席に座ると、隣の席の女の子に声をかけられた。
「おはようリアム君」
「あ、アルドリーネちゃんおはよう」
アルドリーネちゃんは伯爵家のお嬢様なんだけど、隣の席ということもあって朝の挨拶とか授業で分からないことがあると、それとなく教えてくれる優しい子だった。
風の噂によるとアルドリーネちゃんのお母さんは他国の人で、古い魔女の血が流れている魔女の末裔なんだとか。
浄化するの能力はクラスの中でも上位に入るのに、封印魔法も少しなら使えるんだって。
魔法は強さによってランクがあって、第一は生活魔法といって一般的な家庭で使われるコンロに着ける火だったり、室内を照らす照明に使われる光系の魔法などがある。
第二から第三までは普通の魔法師が使用する攻撃系だったり防御系の魔法で、学生であれば第二や第三レベルの魔法が使えるくらい。
ここまでは頑張って鍛錬すれば、適性がない人以外は誰でも使うことが出来ると言われている。
そして第四から『封印』が施されいる。
『封印魔法』とは、神が人々が使うには危険だと判断した魔法を封印したものだと言われていて、魔法を使える適性のある人の中でさらに封印を解く『鍵』を持っている人だけが封印解除をして使用出来るものなんだって。
その『鍵』っていうのはどんなものなの? ってアルドリーネちゃんに聞いたら、言葉でどう言い表していいのか分からないと言われた。
魔法の鍛錬を積み重ねて、ある境地に達すると、感覚で「あ、これが鍵なのかもしれない」と思うものらしい。
第四の封印魔法からは攻撃魔法の殺傷能力がかなり上がり、その他の防御系だったり治癒魔法の使えるレベルも大幅にアップする。
第五から第六は上級者が使えるもので、この学園でも最高学年の人で数人第五レベルを使える先輩達がいるのだとか。
第七は魔鋭部隊の集まりと言われる皇室騎士団やそれに匹敵する人達だけが使える。
第八を使えるのは、五人もいないと言われる『大魔法師』だけ。
第九から第十は天使や悪魔といった存在だけが使える。
ただ、天使や悪魔が人間によって召喚される時は力を大幅に封印されるらしく、召喚主が望むその時までは勝手に使えない仕組みになっているんだって。
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