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ヤクザの兄貴分と舎弟2
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「兄貴、車の傷ええんですか?」
「あれぐらいは勘弁しようや。それに猫がやったもんや」
二人は少し気が緩んだのか、完全に関西と思われる訛りで喋る。
「マスターもすまんね。コイツが突っかかってしまって…」
「いえ、車は大切なもの。怒るのも仕方がありませんよ」
どうやら、車の件は和解したようで、まー君は安心して目を閉じる。
「ところで、お前。悪い事してへんか?」
急に鋭い目つきで舎弟を睨みつける。
「え?急にどうしたんですか?悪い事って…?」
「聞かれた事に応えたらええんや。心当たりあるか?」
「いえ…俺は悪い事なんてしていないですよ!」
勢い良く、舎弟は答えた。それに対して、兄貴分は目を逸らして話を続けた。
「どうやらなあ、違法ドラッグを捌いているやつがおるらしいんや。身内に」
「そんな奴がおるんですね…もう犯人の目星はついてるんですか?」
「あぁ、ほとんどコイツで決まり。って奴はおるな…」
「それは誰です!?そこまで絞れてるなら…」
「それもそうやねんけどな。色々と準備とかあるやろ」
「準備って…?」
「お前もやってきたやろ。見せしめにもなるし、面汚されたら、な。やらなあかん事あるやろ?」
「あ…はい」
マスターは、二人の顔をちらりと一瞬だけ確認した。兄貴分は、目の前のビールをただ見つめながら話している。舎弟分は、兄貴の顔をずっと凝視しながら、汗が異常に出ている。
誰が見ても、怪しい挙動を見せている舎弟。恐らく、犯人は舎弟だろうと、マスターも心の中で思った。
「本題に入ろか…」
「本題って、さっきまでの話じゃなかったんですか?」
「お前、最近は、この辺で有名な半グレと付き合いがあるそうやんけ。どんな仲なんや?」
「アイツの事ですか。偶然知り合いになって、意気投合して仲良くなった友達ってだけですね」
「ふぅん。ところで、何か言う事はないか?」
「言う事って…」
「まぁええ。それで、その半グレがおる集団からドラッグの売人が逮捕されてるんやな」
見て分かるほどに舎弟の体は震えている。顔は真っ青だ。
「あ、あの…」
「うん?どうした?」
「その売人が何か喋ったんですか…?」
「いや。それはお前に話す事ではないやろ」
兄貴分は話を続ける。
「この半グレにな、ドラッグを回してた犯人やけどな。すごい可愛がってたやつなんや。ずっと慕ってくれててなぁ。悲しい気持ちが強いな」
「兄貴…」
「もう過ぎてしまった事ではあるけどな。やっぱり正直に俺に伝えて欲しかった。その気持ちはある」
「…すみませんでした」
「全部分かってた。やっと言ってくれたか」
「あれぐらいは勘弁しようや。それに猫がやったもんや」
二人は少し気が緩んだのか、完全に関西と思われる訛りで喋る。
「マスターもすまんね。コイツが突っかかってしまって…」
「いえ、車は大切なもの。怒るのも仕方がありませんよ」
どうやら、車の件は和解したようで、まー君は安心して目を閉じる。
「ところで、お前。悪い事してへんか?」
急に鋭い目つきで舎弟を睨みつける。
「え?急にどうしたんですか?悪い事って…?」
「聞かれた事に応えたらええんや。心当たりあるか?」
「いえ…俺は悪い事なんてしていないですよ!」
勢い良く、舎弟は答えた。それに対して、兄貴分は目を逸らして話を続けた。
「どうやらなあ、違法ドラッグを捌いているやつがおるらしいんや。身内に」
「そんな奴がおるんですね…もう犯人の目星はついてるんですか?」
「あぁ、ほとんどコイツで決まり。って奴はおるな…」
「それは誰です!?そこまで絞れてるなら…」
「それもそうやねんけどな。色々と準備とかあるやろ」
「準備って…?」
「お前もやってきたやろ。見せしめにもなるし、面汚されたら、な。やらなあかん事あるやろ?」
「あ…はい」
マスターは、二人の顔をちらりと一瞬だけ確認した。兄貴分は、目の前のビールをただ見つめながら話している。舎弟分は、兄貴の顔をずっと凝視しながら、汗が異常に出ている。
誰が見ても、怪しい挙動を見せている舎弟。恐らく、犯人は舎弟だろうと、マスターも心の中で思った。
「本題に入ろか…」
「本題って、さっきまでの話じゃなかったんですか?」
「お前、最近は、この辺で有名な半グレと付き合いがあるそうやんけ。どんな仲なんや?」
「アイツの事ですか。偶然知り合いになって、意気投合して仲良くなった友達ってだけですね」
「ふぅん。ところで、何か言う事はないか?」
「言う事って…」
「まぁええ。それで、その半グレがおる集団からドラッグの売人が逮捕されてるんやな」
見て分かるほどに舎弟の体は震えている。顔は真っ青だ。
「あ、あの…」
「うん?どうした?」
「その売人が何か喋ったんですか…?」
「いや。それはお前に話す事ではないやろ」
兄貴分は話を続ける。
「この半グレにな、ドラッグを回してた犯人やけどな。すごい可愛がってたやつなんや。ずっと慕ってくれててなぁ。悲しい気持ちが強いな」
「兄貴…」
「もう過ぎてしまった事ではあるけどな。やっぱり正直に俺に伝えて欲しかった。その気持ちはある」
「…すみませんでした」
「全部分かってた。やっと言ってくれたか」
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