20 / 33
第一章
19.魔王様、獣人を知る。
しおりを挟む
ーーそれからしばらく経ち、キース達は王都へと帰還していた。
シャルのおかげで獣人達の説得も済み、七人の獣人の子供達を引き連れている。
「あなた達、無事帰ってきたみたいね。
ーーん?その子達は?」
昨日泊まった宿屋まで来ると、ちょうどそこの店主であるローナが宿屋から出てきていた。
キース達を見つけ、無事を確認。
その後ろにいる獣人の子供達を見てそう質問してきた。
キースはローナに事の発端とこれまでの出来事を全て伝えた。
「あなた達、中に入りな!」
話を聞いてすぐに、ローナが宿屋に入るようにと案内してくる。
ローナの少し焦った様子を見るに、人前ではあまり言えない話があるのだろうと思えた。
ーーローナの指示通り宿屋に入り、全員が食堂のテーブル席につく。
「・・・その子達を襲ったのは、多分【獣人狩り】の連中だね」
すると、すぐにローナが外で話せなかった内容を切り出した。
ローナは獣人を襲っていた男達のことを知っている様子だった。
「・・・この街ではあまり聞かないけど、【獣人狩り】という獣人だけを襲う集団がいるんだよーー」
ローナの話では、獣人の村を襲っていた男達は【獣人狩り】という集団らしい。
その集団は、獣人の持つ獣の耳や尻尾といった特徴が魔物の生まれ変わりだといって忌み嫌い、獣人を同じ人間として思っていない人々の集まりのようだ。
その集団の考えでは、獣人を魔物同様に狩猟対象として獣人を襲っているらしい。
中には獣人を捕獲して奴隷として売っている奴もいるそうだ。
「・・・ひどいな」
話を聞いてそう呟くように、獣人達には何の罪もないにも関わらず、人間的特徴が違うというだけで差別的に襲われているということになる。
「この街には、そういう差別意識はあまりないんだけど、他の国や街は違ってね・・・」
他の国や街では獣人を嫌う人々が多くいて、その集団を支持する声もあるらしい。
そのため、その活動を止められず、うやむやになっているそうだ。
「ーーここで匿ってもらえるか?」
一通り話を聞いてキースはローナに相談する。
【獣人狩り】という集団がまだいるとわかった以上、一度狙われたこの子達は危険だろうと思えた。
当初の予定通り、ローナに獣人の子供達のことをお願いする。
「うちの宿屋でよかったら使いなーー・・・
と言ってあげたい所なんだけど、ひとつ問題があってね・・・」
ローナは事情知ったせいか、すぐに承諾してくれそうだった。
しかし、なぜか困ったように表情を歪める。
「どうしたんだ?」
「ーーあなた達、昨日の夜のことは覚えているだろう?」
キースがローナのその曖昧な答えに質問すると、すぐに答えが返ってきた。
昨日の夜のことというのは、屋台で使うグリーン・ボアの肉が入荷できないという話だ。
原因は狩猟に出る者が強い魔物の出現を恐れて、狩猟に行けないということにある。
実はキース達が出かけた後、更なる進展があったのだ。
シャルのおかげで獣人達の説得も済み、七人の獣人の子供達を引き連れている。
「あなた達、無事帰ってきたみたいね。
ーーん?その子達は?」
昨日泊まった宿屋まで来ると、ちょうどそこの店主であるローナが宿屋から出てきていた。
キース達を見つけ、無事を確認。
その後ろにいる獣人の子供達を見てそう質問してきた。
キースはローナに事の発端とこれまでの出来事を全て伝えた。
「あなた達、中に入りな!」
話を聞いてすぐに、ローナが宿屋に入るようにと案内してくる。
ローナの少し焦った様子を見るに、人前ではあまり言えない話があるのだろうと思えた。
ーーローナの指示通り宿屋に入り、全員が食堂のテーブル席につく。
「・・・その子達を襲ったのは、多分【獣人狩り】の連中だね」
すると、すぐにローナが外で話せなかった内容を切り出した。
ローナは獣人を襲っていた男達のことを知っている様子だった。
「・・・この街ではあまり聞かないけど、【獣人狩り】という獣人だけを襲う集団がいるんだよーー」
ローナの話では、獣人の村を襲っていた男達は【獣人狩り】という集団らしい。
その集団は、獣人の持つ獣の耳や尻尾といった特徴が魔物の生まれ変わりだといって忌み嫌い、獣人を同じ人間として思っていない人々の集まりのようだ。
その集団の考えでは、獣人を魔物同様に狩猟対象として獣人を襲っているらしい。
中には獣人を捕獲して奴隷として売っている奴もいるそうだ。
「・・・ひどいな」
話を聞いてそう呟くように、獣人達には何の罪もないにも関わらず、人間的特徴が違うというだけで差別的に襲われているということになる。
「この街には、そういう差別意識はあまりないんだけど、他の国や街は違ってね・・・」
他の国や街では獣人を嫌う人々が多くいて、その集団を支持する声もあるらしい。
そのため、その活動を止められず、うやむやになっているそうだ。
「ーーここで匿ってもらえるか?」
一通り話を聞いてキースはローナに相談する。
【獣人狩り】という集団がまだいるとわかった以上、一度狙われたこの子達は危険だろうと思えた。
当初の予定通り、ローナに獣人の子供達のことをお願いする。
「うちの宿屋でよかったら使いなーー・・・
と言ってあげたい所なんだけど、ひとつ問題があってね・・・」
ローナは事情知ったせいか、すぐに承諾してくれそうだった。
しかし、なぜか困ったように表情を歪める。
「どうしたんだ?」
「ーーあなた達、昨日の夜のことは覚えているだろう?」
キースがローナのその曖昧な答えに質問すると、すぐに答えが返ってきた。
昨日の夜のことというのは、屋台で使うグリーン・ボアの肉が入荷できないという話だ。
原因は狩猟に出る者が強い魔物の出現を恐れて、狩猟に行けないということにある。
実はキース達が出かけた後、更なる進展があったのだ。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となった!
こはるんるん
ファンタジー
気づいたら大好きなゲームで俺の大嫌いだったキャラ、ヴァイスに転生してしまっていた。
ヴァイスは伯爵家の跡取り息子だったが、太りやすくなる外れスキル【超重量】を授かったせいで腐り果て、全ヒロインから嫌われるセクハラ野郎と化した。
最終的には魔族に闇堕ちして、勇者に成敗されるのだ。
だが、俺は知っていた。
魔族と化したヴァイスが、作中最強クラスのキャラだったことを。
外れスキル【超重量】の真の力を。
俺は思う。
【超重量】を使って勇者の王女救出イベントを奪えば、殺されなくて済むんじゃないか?
俺は悪行をやめてゲーム知識を駆使して、強さがすべての魔法学園で1位を目指す。
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる