魔王様、勇者を育てる。

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第一章

19.魔王様、獣人を知る。

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ーーそれからしばらく経ち、キース達は王都へと帰還していた。


シャルのおかげで獣人じゅうじん達の説得も済み、七人の獣人の子供達を引き連れている。


「あなた達、無事帰ってきたみたいね。
ーーん?その子達は?」


昨日泊まった宿屋まで来ると、ちょうどそこの店主であるローナが宿屋から出てきていた。


キース達を見つけ、無事を確認。


その後ろにいる獣人の子供達を見てそう質問してきた。


キースはローナに事の発端とこれまでの出来事を全て伝えた。


「あなた達、中に入りな!」


話を聞いてすぐに、ローナが宿屋に入るようにと案内してくる。


ローナの少し焦った様子を見るに、人前ではあまり言えない話があるのだろうと思えた。


ーーローナの指示通り宿屋に入り、全員が食堂のテーブル席につく。


「・・・その子達を襲ったのは、多分【獣人狩りビースト・ハンター】の連中だね」


すると、すぐにローナが外で話せなかった内容を切り出した。


ローナは獣人を襲っていた男達のことを知っている様子だった。


「・・・この街ではあまり聞かないけど、【獣人狩りビースト・ハンター】という獣人だけを襲う集団がいるんだよーー」


ローナの話では、獣人の村を襲っていた男達は【獣人狩りビースト・ハンター】という集団らしい。


その集団は、獣人の持つ獣の耳や尻尾といった特徴がだといってみ嫌い、獣人を同じ人間として思っていない人々の集まりのようだ。


その集団の考えでは、獣人を魔物同様に狩猟対象として獣人を襲っているらしい。


中には獣人を捕獲して奴隷どれいとして売っている奴もいるそうだ。


「・・・ひどいな」


話を聞いてそう呟くように、獣人達には何の罪もないにも関わらず、人間的特徴が違うというだけで差別的に襲われているということになる。


「この街には、そういう差別意識はあまりないんだけど、他の国や街は違ってね・・・」


他の国や街では獣人を嫌う人々が多くいて、その集団を支持する声もあるらしい。


そのため、その活動を止められず、うやむやになっているそうだ。


「ーーここで匿ってもらえるか?」


一通り話を聞いてキースはローナに相談する。


獣人狩りビースト・ハンター】という集団がまだいるとわかった以上、一度狙われたこの子達は危険だろうと思えた。


当初の予定通り、ローナに獣人の子供達のことをお願いする。


「うちの宿屋でよかったら使いなーー・・・
と言ってあげたい所なんだけど、ひとつ問題があってね・・・」


ローナは事情知ったせいか、すぐに承諾してくれそうだった。


しかし、なぜか困ったように表情を歪める。


「どうしたんだ?」


「ーーあなた達、昨日の夜のことは覚えているだろう?」


キースがローナのその曖昧あいまいな答えに質問すると、すぐに答えが返ってきた。


昨日の夜のことというのは、屋台で使うグリーン・ボアの肉が入荷できないという話だ。


原因は狩猟に出る者が強い魔物の出現を恐れて、狩猟に行けないということにある。


実はキース達が出かけた後、更なる進展があったのだ。

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