魔王様、勇者を育てる。

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第一章

3.魔王様、勇者の情報を得る。

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二人が注目を集めていたのは、人間と魔族の容姿の違いとわかった。


ただそれは、他国からきたと思わせればいい話。


「あ!それにもう少しすれば、その視線も別の所に向くはずだよ」


注意不足を気にしていると、何かを思い出したようにおばさんが語る。


「どういうことだ?」


「あなた達知らないのかい?
もう少しすれば、旅に出ていた勇者がこの街に戻ってくるんだよ」


なんと偶然にも、立ち寄った屋台で二人が知りたかった勇者の情報が手に入った。


それもタイミングよくこの街に勇者が現れるという情報。


「勇者が帰ってくれば、皆そっちに興味が向くだろうから視線も減るだろうね」


「ーー勇者はいつ頃ここに着く予定なんだ?」


勇者について知っていそうなので、試しにもう少し情報が手に入らないかと話を聞いてみる。


「なんだい、勇者に興味があるのかい?
そうね・・・今が昼過ぎだから夕暮れには着くと思うわよ」


その情報から察するに、すでにこの街の近くまでは来ているとわかる。


探しに行くのもいいが、目的地がわかっている以上わざわざこの街を離れる必要はない。


それに時間があることでをすることができる。


「ありがとう、感謝する。
ーーところで、この屋台では何を売っているんだ?」


知りたかった情報も聞けたことで、改めて屋台に立ち寄った目的に戻ることにした。


屋台からは香ばしいこうばしいほどの肉の香りが漂っており、ずっしりとした分厚い肉が串に刺さって売られている。


「あ、そうだったわね。
ーーこの屋台で売っているのはグリーン・ボアの串焼きだよ」


【グリーン・ボア】というのは、この街一帯に生息している緑色の体毛をした草食系のイノシシ型の魔物。


草しか食べないこともあり、その肉はイノシシ独特の臭みもなく、さっぱりとした味わいで人気の肉だった。


「いくらだ?」


色々と情報も教えてもらったということで、この屋台で買い物をすることにした。


「そうね・・・。
本来なら500コインもらうところだけど、カップル割引で300コインでどうだい?」


カップルというだけで、200コインも安くしてくれるのは驚きだ。


恋人ではないが勘違いで安く買えるなら話に乗らない手はないだろう。


※単価は、現代でいうところの【1コイン=1円】計算になる。


「では、10


一人一本でも十分なほどの肉を大量に注文する。


「あなた達二人だろ?そんなに食べるのかい?
ーーまぁ、お店としてはたくさん買ってくれるのはありがたいけど」


もちろん二人でそんな量の肉を食べるわけもなく、キースにとってこの後の計画に必要なものだった。


「まぁ、色々あって必要なんだ、気にしないでくれ。
代金はちゃんと払う」


「そういうなら仕方ないね、あいよ!
ーーまいどあり」


大量に買ったため、それなりの代金になるが気にせず払えるのには理由がある。


支払った代金やキースの持つお金は全て、これまで挑んできた勇者達のもの。


魔族達がキースに献上したもので、500年分貯まっており、有り余るほどにあるのだ。
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