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77話

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ガキンッガキンッガキンッ


「くっ・・・」


再開した【大剣使いのクイナ】と【大剣使いのロイ】の攻防戦は、一方的なクイナの攻撃に対してロイが防いでいる状況。


力量差は互角だけど、攻撃を繰り出すクイナの速度にロイがギリギリで防いでいるような状態だ。


明らかにロイの攻撃速度より速いクイナの攻撃によって、ロイは防戦一方になっていた。


「はぁ・・・はぁ・・・」


攻防が続く中で、ロイの息が上がり始める。


「はぁーっ!」


それに対して、クイナはまだ余裕があるとばかりに攻めていく。


このスタミナの違いは、【回復職ヒーラー】から受けた回復量にある。


フルで回復を得たクイナと途中で回復を絶ってしまったロイの違いだった。


「くそっ・・・なぜここまで違う!?」


ロイは途中で回復を絶ったとはいえ、ほとんど変わらない時間まで回復を受けていたのにここまでスタミナに差が生まれるとは思っていなかった。


クイナはまだ息を切らす様子がないからだ。


カンッッッッッ


「しまった!!」


その時、疲れで反応が遅れたロイの大剣がクイナの攻撃に耐えきれず手元から弾け飛んだ。


「これであなた達の本来の実力がわかったのではないですか?
ずっとライドさんの力に甘えてきていたと・・・」


クイナは無防備となったロイに剣を突き付けて、そう話した。


ロイを始めとした【竜の爪ドラゴン・ネール】メンバーは、力で成り上がってきた冒険者パーティーだったが、他の冒険者パーティーに比べて力で劣っていた【パレード】メンバーにその力で負けたのだ。


クイナが言った通り、ロイ達に勝つのに僕の力は必要ないというのは本当だった。


「これが【竜の爪ドラゴン・ネール】の・・・」


初めてロイ達の戦いを客観的に見ることになった僕は、あまりの姿に言葉を失っていた。





ロイ達は僕の持つ『付与ふよ』の力で能力を底上げして、#そこで初めて優れた冒険者達と戦えるレベルなんだ__・__と痛感した。


本来の実力だけなら


最初に敗れた【双剣使いのカイ】は動きに速度と、メンバーの【双剣使いのアル】と【双剣使いのルア】に遠く及ばなかった。


次に【大槌ハンマー使いのラット】は攻撃が単調で防げば隙だらけになる。


案の定アル達に防がれ、敗れていた。


この時使ったアル達の防御術は今後のダンジョン攻略に活かせるだろう。


そして、ロイとクイナの攻防戦。


ロイの攻撃は、力で成り上がってきた冒険者とは思えないほどに弱く感じた。


その力も速度も今まで攻略してきたモンスターの方が余程強く思えるほどに・・・。


それから戦闘の途中で、2人のスタミナを回復し合った【回復職ヒーラーのエマ】と【回復職ヒーラーのエレナ】は、明らかに回復量が違っていた。


回復ヒール』は緑色の光として認識できて、その光の強さで回復量がわかる。


エレナの『回復ヒール』から発せられる強い光に対して、エマのは微弱。


竜の爪ドラゴン・ネール】メンバーは、どの部分をとっても未熟だったのだ。

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