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76話

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「ーーあっちの戦いは終わったみたいですね」


【パレード】のリーダーである【大剣使いのクイナ】は、パーティーメンバーの【双剣使いのアル】と【双剣使いのルア】が負けるということなど微塵も考えていなかった。


「あいつらは何をやっているんだ!!」


「え?・・・カイとラットが負けた・・・」


それに比べて、【竜の爪ドラゴン・ネール】のリーダーである【大剣使いのロイ】とそのメンバー【回復職ヒーラーのエマ】は、2人が負けたことに動揺していた。


アルとルア、【大槌ハンマー使いのラット】と【双剣使いのカイ】では実力差があるとクイナは思っていたが、ロイ達にはそれがわからなかったのだろう。


「こちらも決着をつけましょうか」


クイナもアル達に負けてられないという気持ちで大剣を構える。


「2人倒したからって調子に乗るなよ!
お前を倒して、すぐにあっちの2人も同じ目に合わせてやる」


ロイもまたラット達が敗れたことに激怒し、大剣を振り上げ襲い掛かってきた。


ガキンッッッッッ


ロイの大剣とクイナの大剣が交差し、動きが止まる。


ロイの攻撃をクイナが防いだのだ。


お互いに押し合い全く微動だにしないことから、2人の力量差はほぼ互角。


ガキンッガキンッガキンッ


何度も剣を交えて攻防を繰り返すも決着がつかない。


全力でぶつかり合う姿勢は白熱した戦いに思えるが実際は違う。


今のクイナには『付与ふよ』の効果はなく、攻守ともに不安を抱えていた時の状態なのだ。


本来ならクイナが苦戦してもおかしくなかった。


だけど、そうならなかったのはロイの実力がクイナの実力と変わらないということ。


防御面だけでの実力では致命的ともいえる。


「はぁ・・・はぁ・・・」


お互い何度も全力でぶつかり合ったことで疲労していく。


「大丈夫ですか、クイナ!
すぐに回復します」


クイナが一度態勢を立て直すために距離を取ると後ろに控えていた【回復職ヒーラーのエレナ】が『回復ヒール』を使い、体調を万全にする。


ロイもエマの元の行き、回復を受けていた。


「ありがとうございます、エレナ」


「いえ」


すぐに回復を終えて、クイナがもう一度臨戦態勢に入る。


だけど、ロイ達は回復が追い付かず、まだ万全ではなかった。


「早くしろ、エマ!」


「少し待ってよ・・・」


エマは一生懸命『回復ヒール』を使っているようだけど、その回復速度はエレナの力に比べて、あからさまに遅く感じた。


「くそっ、もう行くぞ!」


「ちょっと、まだ終わってない・・・」


クイナが戦闘態勢に入ったことでロイは焦り、回復の途中にも関わらず、回復を中断させ戦場に立った。


「次はこちらから行きます!」


先程までは防御に徹底していたクイナが今度は攻めると宣言した。

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