トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。

68話

【竜の爪ドラゴン・ネール】メンバー【大剣使いのロイ】と【大槌ハンマー使いのラット】の先制攻撃は【幻影ファントム】のメンバーである【盾使い】によって完全に防がれた。


「はぁーっ！」


そして、動きの止まったロイ達に対して、【幻影ファントム】のメンバーである【大槌ハンマー使い】が【盾使い】の後ろから現れ、大きく飛び上がり大槌ハンマーを振り下ろしてくる。


「くっ・・・」


その攻撃を受けるのは危険だと判断したロイ達は【盾使い】の突破を諦め後退した。


ドゴンッッッッッ


その瞬間、【大槌ハンマー使い】の放った攻撃が地面へと当たり、大きな音と共に会場内を揺らすほどの振動を起こした。


ロイ達は【幻影ファントム】のパーティー編成を見て、4人で挑んでも戦闘できる人数は変わらないと言った。


だけどそれは違う。


【幻影ファントム】はこれまで、戦闘できる人数が少ないまま他の冒険者パーティーと同等の戦闘ーーダンジョン攻略を行なってきているのだ。


それはつまり、人数不利なのを感じさせないほど【幻影ファントム】メンバー1人1人の戦闘能力が高いということ。


【盾使い】が2人からの攻撃を受けても微動だにしなかったのも、【大槌ハンマー使い】の攻撃が会場を振動させるほどの強い攻撃なのもそういう理由だった。


ギルドマスターいわく、2人は最高の矛と盾であり、その強さは【付与師ふよし】が『ステータス上昇バフ』で強化した状態に匹敵すると・・・。


「この2人、強い・・・」


鉄壁の防御と強力な攻撃を見たロイ達は今になってその実力の違いに気付いた。


「次はこちらから行く」


すると、【盾使い】と【大槌ハンマー使い】による前衛職の攻防線をしている中、後衛職による攻撃の準備が整った。


【魔法使いのクレア】による魔法の攻撃。


ーー『炎の玉ファイア・ボール』


【回復職ヒーラー】の2人による魔力支援の元、クレアはまるで太陽のように燃え盛る巨大な炎の玉を生成していた。


「なっ！？」


ロイ達はクレアのその魔法を見たことがある。


だけど、その時の魔法と大きさも質も桁違いだった。


これが本来のクレアが使うべき魔法の強さであり、【回復職ヒーラー】を2人パーティーに加えることで魔力消費を抑え、実現している。


最高の矛と盾に加えて、最高の支援と魔法を兼ね備えたパーティー。


それが【幻影ファントム】だ。