トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。

66話

「これはどういうことでしょうか・・・？
【竜の爪ドラゴン・ネール】メンバーだった【魔法使いのクレア】が、【幻影ファントム】のメンバーとして姿を現しました」


審査員である【受付嬢のミリア】にも状況がわからないようで、そう実況を行なった。


「どういうことですか、クレアさん・・・」


【竜の爪ドラゴン・ネール】リーダー【大剣使いのロイ】が直接クレアに問う。


「私が説明しましょう」


そんな時、ステージ上にいるメンバーとは関係ない者から声が掛かる。


「ギルドマスター・・・」


それはミリアがよく知る人物であるギルドの長ーーギルドマスターだ。


ステージ上に歩いて現れると、ミリアから司会を行なうために使っていた声を大きくする拡声機を受け取った。


「この件について私が説明しますーー・・・」


説明はステージ上にいるメンバーだけでなく、ステージを観覧している冒険者達にも伝えられる。


まずは、【魔女】とも呼ばれているクレアの説明から・・・。


クレアの持つ唯一の力ーー攻撃できる魔法には使う代償として、パーティーメンバーの魔力を奪うこと。


これまでクレアが持つその魔法にパーティーメンバーが頼った故、魔力が尽き壊滅したこと。


【魔女】と呼ばれる由来の出来事だ。


そして、今まで謎に包まれていた【幻影ファントム】について説明される。


【幻影ファントム】はクレアの魔法を最大限に生かすために作られたパーティー。


今まで本人にも伝えず密かに活動していたために、謎に包まれた冒険者パーティーとして有名になっていた。


そして、受け入れ準備が整った今、クレアに伝え、ちゃんとした冒険者パーティーとしてお披露目となったのだ。


「ふざけるな！」


ギルドマスターが説明を終えると、真っ先に【竜の爪ドラゴン・ネール】リーダーであるロイが反応した。


「クレアさんはまだ俺達のパーティーメンバーだ。
魔法に代償があるのはわかったが、俺達トップ冒険者パーティーなら問題ない」


ロイは自信満々にそう話した。


クレアのおかげで60階層を突破した【竜の爪ドラゴン・ネール】にとって、それだけ必要だということだ。


「今のあなた達では、無理です。
彼がいた時なら可能だったかもしれませんが・・・」


だけど、ギルドマスターがそれを強く否定した。


ギルドマスターには今までの冒険者パーティー同じだと考えているから。


そして、ギルドマスターと同じ【付与師ふよし】がいるパーティーなら可能だったとも考えていた。


「うるさい。
それなら、今いる【幻影ファントム】を俺達が倒して、証明してやる」


ロイはクレアをメンバーに戻すために【幻影ファントム】に勝利すると宣言した。