トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。

65話

ーー場所は変わり、模擬戦会場。


選ばれた冒険者パーティーが次々に戦い勝敗を決める中、会場を走り回る【竜の爪ドラゴン・ネール】の姿があった。


「いたか？」


「いない・・・」


【竜の爪ドラゴン・ネール】メンバーは突然いなくなってしまった新加入のメンバー【魔法使いのクレア】を探していた。


一回戦目の試合である【パレード】対【虎の牙タイガー・ファング】の戦いが終わった後、「用事がある」と出ていってから戻ってきていないからだ。


「くそ、どこに行ったんだ・・・」


既に何試合も終わっていて、今日の最終試合である【竜の爪ドラゴン・ネール】対【幻影ファントム】の戦いが迫っていた。


今、【竜の爪ドラゴン・ネール】のリーダーである【大剣使いのロイ】が焦ってクレアを探しているのはそのせいでもある。


このままではクレア不在の中、出場することになるからだ。


「【竜の爪ドラゴン・ネール】の皆さん、準備をよろしくお願いします」


どこを探しても見つからず困っていると、いよいよ試合の時間が迫っているようにギルド職員からお知らせが届いた。


「もう探し回る時間はない。
自分から現れるのを待つしかない・・・」


「そうだな・・・」


もう時間がないということで、クレアを探すのを諦めて試合の準備をするしかなかった。


ーーそして、【竜の爪ドラゴン・ネール】の前試合に勝敗がつき、ステージ上に呼ばれることとなる。


「いよいよ今日行われる最後の試合となります。
最終試合は、現在トップ冒険者パーティーである【竜の爪ドラゴン・ネール】と全てが謎に包まれている冒険者パーティー【幻影ファントム】の戦いです」


審査員を務める【受付嬢のミリア】の声が響く中、【竜の爪ドラゴン・ネール】は4人でステージに向かった。


すると、既に【幻影ファントム】メンバーの5人が待っている。


黒いマントに身に包み、顔はわからない。


だけど体格は前衛職と思われる2人はたくましい体をしていた。


「あれが【幻影ファントム】・・・」


ロイ達が、初めて姿を見せた【幻影ファントム】の人物像を観察する。


「あの、メンバーが4人しかいませんが大丈夫ですか？」


すると、ロイ達【竜の爪ドラゴン・ネール】が4人しかいないことにミリアが心配してきた。


「問題ありません。
多分、後で現れます」


ロイにはクレアが突然いなくなった理由がわからないので、そう説明するしかなかった。


そんな時、いよいよ試合が始まるということで【幻影ファントム】メンバーの黒いマントが取り払われる。


「なっ！？
クレアさん！？」


なんと、ロイ達が探していたメンバーであるクレアが【幻影ファントム】のメンバーとして姿を見せていた。