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62話

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※【竜の爪ドラゴン・ネール】視点になります。


◇◇◇


ーー第一回戦の【パレード】対【虎の牙タイガー・ファング】の試合を控室から見ていた【竜の爪ドラゴン・ネール】メンバー。


「何だ、あの力・・・。
ありえない・・・。
あのライドが行なっているというのか・・・」


リーダーである【大剣使いのロイ】が、圧倒的な力で勝利した【パレード】に対して、そう呟いた。


審査員である【受付嬢のミリア】の話では、【付与師ふよしのライド】が力を使って強くなっていると言っていた。


だけど、ロイ達は元メンバーだけに、ライドの力を知っているがその力を自覚していなかった。


「彼を知っているの?」


すると、【竜の爪ドラゴン・ネール】に新しく加入したメンバー、【魔法使いのクレア】がロイにライドのことを聞く。


「はい、あそこにいるライドは元メンバーだったんです。
効果がないと思い、解雇したはずなのですが・・・」


ロイはクレアに経緯を話した。


ライドの力では60階層を突破することができなかったのは事実。


なのになぜライドの力が、今こうして注目を集めているのかわからない。


「そう・・・。
・・・」


すると、ロイの言葉でクレアは何かを納得した表情をする。


「何かわかるのですか?」


「今のあなた達ではわからないでしょうが、すぐにわかるはずです」


クレアがそういうと、おもむろに控室から出ていこうとする。


「どちらに?」


突然の行動にロイが声をかけた。


「用事を思い出したわ。
少し出てくる」


「わかりました」


この時、ロイがクレアの行動に疑問をもっていれば、未来は変わったかもしれない・・・。


出ていくクレアの表情が歪んでいるのを知っていれば、止められたかもしれない・・・。


この後、クレアが【竜の爪ドラゴン・ネール】に戻ってくることはなかった。


◇◇◇


ーー場所は変わり、模擬戦会場のギルド本部ギルド長室。


コンコンッ


ギルドマスターがいるその部屋に、訪問する者がいた。


「誰?」


「私・・・」


そこにいたのは、先程まで【竜の爪ドラゴン・ネール】の控室にいたクレアだった。


「どうぞ入って」


ギルドマスターは声でクレアだと判断したように中に招き入れた。


実は2人は知り合いだったのだ。


「久しぶりね、ライカ・・・。
いえ、【付与師のライカ】」


クレアは部屋に入って早々、ギルドマスターをそう呼んだ。


「あら、私の職業がわかったみたいね」


ギルドマスターことーーライカは特に気にした様子はなく、クレアにそう返していた。


2人の関係はただの知り合いだけでなく、もっと深い関係でもあるのだ。

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