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60話

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「行きます!」


僕から攻撃の『付与ふよ』を受けた【大剣使いのクイナ】は、大きく大剣を構えて突進していく。


狙いは【虎の牙タイガー・ファング】リーダー【大剣使いのレン】だ。


「はぁーっ!」


助走の付いた勢いのまま、クイナは大剣を振る。


ガキンッッッッッ


レンが防御姿勢で構えた大剣とぶつかり合い、強烈な音を響かせた。


「ぐっ・・・」


力ではクイナの方が圧倒的にまさっているようだが、レンは苦しみつつもなんとか耐えている。


パキッ


だけど次の瞬間、大剣にひびが入る音が響く。


「なっ!?」


その音はレンの大剣のもので、クイナの大剣が接触している刀身部分にひびが入っていたのだ。


バギッッッッッ


そして、クイナの攻撃にレンの大剣が耐え切れず、砕けるようにへし折れた。


クイナの攻撃は大剣をもへし折る力だったのだ。


「っ!?」


いきなり障害物となる大剣がなくなったことで、クイナの大剣がレンの胴体に目掛けて切りかかろうとしていた。


命を奪うのはルール違反であり、咄嗟とっさに刀身を逸らすことはできたけど、勢いを無くすことはできなかった。


「ぐぇっ・・・」


大剣の重さに押し潰される形で、レンは頭部を強打し、気を失った。


気絶だけで命に別状がないのは、クイナの咄嗟の判断によるものだと思う。


ーーレンが倒されたことで、【虎の牙タイガー・ファング】は前衛職が全滅。


残るは後衛職の【魔法使いのアカリ】と【回復職ヒーラーのエリカ】だけになった。


「まだ続けますか?」


審査員をしている【受付嬢のミリア】が2人に聞く。


どう見ても戦闘ができるような2人ではないからだ。


「アカリもエリカも、もう戦わなくていいんです。
もう命令する人はいません」


クイナも2人の説得を試みる。


「降参します・・・」


すると2人は、降参を選んだ。


「決まりました。
第一回戦、【パレード】対【虎の牙タイガー・ファング】は、【パレード】の勝利です」


ミリアが降参の言葉を聞き、すぐに勝敗の発表を行なった。


倒れた3人の処置があるためだろう。


結果が出るとすぐに医療班が駆けつけていたから間違いない。


「アカリ、エリカ!
もし、今のパーティーを辞めたかったら辞めてもいいんですからね」


怪我を負った3人が医療班によって運ばれた後、無傷の2人はそのまま残ったのでクイナがその期間に話しかけていた。


今回の勝敗はアカリ達が【虎の牙タイガー・ファング】を抜けるためのきっかけにもなると思ったからだ。


「ありがとう、クイナ。
でも・・・」


だけど、2人は首を横に振っていた。

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