トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。

7話

ーー『付与ふよ』も終わり、早速40階層の攻略へと移る。


「すごい！体が軽くなった」


「本当ですね」


「うんうん」


初めて『ステータス上昇バフ』の効果を受けた【パレード】メンバーは各自、体を動かして、その違いに驚いていた。


「ありがとうございます、ライドさん」


「いえ、これが僕の仕事ですから・・・」


まさか『付与』を使っただけでお礼を言われるとは思っておらず、僕もそれに驚かされた。


前のパーティーでは、それが当たり前のことだというようにお礼など言われたことがなかったからだ。


「ーー早速だけど、前方からモンスターがきました。
気を引き締めていきましょう」


「はい」


ダンジョン内を慎重に調べながら進んでいると前からオオカミ型のモンスター【ブラック・ウルフ】が3頭現れた。


みんなが武器を構えて迎え撃つ。


ガゥゥゥゥゥッ


まず仕掛けてきたのは【ブラック・ウルフ】達の方で、1頭が飛び掛かってくる。


「はぁーっ！」


それに対してパーティーリーダーである【大剣使いのクイナ】が大剣をぶん回して反撃。


ガゥッ・・・


クイナの大剣は【ブラック・ウルフ】の胴体を見事に捉え、地面へと叩きつけた。


その一撃だけで【ブラック・ウルフ】を倒してしまった。


「すごい一撃ですね」


「い、いえ、こんなにあっさり倒せるのは初めてです・・・」


僕はクイナの見事な反撃を見て感心していると、クイナ自身が自分で行なったことに驚いていた。


ガゥゥゥゥゥッ


あっという間に1頭の【ブラック・ウルフ】が倒されたことで、残りの2頭が恐れをなして逃げ出す。


「逃がさないよ！
いこう、ルア」


「うん、アル」


その逃亡する動きを見て、【双剣使いのアル】と【双剣使いのルア】の2人が追いかけ始めた。


「「はっ！」」


みるみるうちに追いつき、【ブラック・ウルフ】の背後から双剣で切りつけていく。


そんなに早く追いつかれるとは思っていなかった様子で、2頭の【ブラック・ウルフ】は抵抗する間もなく倒されてしまった。


「うそ、こんなに早く動けるなんて・・・」


「あっという間に追いついた・・・」


アルとルアもクイナ同様に自分が行なったことに驚いている。


「皆さん、本当に強いですね！
頼りになります」


僕は機動力重視のパーティーなだけに、あっという間にモンスターを処理したことに感心している。


「多分ですが、この力は私達だけの力ではないと思います・・・」


するとクイナが改まったように状況を説明する。


今の戦いで僕の知らない何かを理解したようだ。