お飾り聖女

三話 事の経緯 二

ゾーイは本大会でも優勝した。
そこで初めて自分が聖女に選ばれた事を知ったのだ。

それまでは単なる美人コンテストだと思っていた。
特技の披露を要求され、応えたあたりでおかしいとは思ったのだ。

歌や詩、舞や楽器の演奏を披露するものが殆どの中で、彼女の唯一特技は華があるとは言えなかった。
それなのに喝采を浴び、一番人気を得るとはどういうことなのか。

金ピカのメダルと白い杖を授与され、フラワーシャワーの降り注ぐ中を流されるまま神殿に連行。部屋を与えられ、問答無用の全身の手入れを受けたが、これは中々楽しめるものだった。

一晩休んで「今日から聖女について学んでいただきますね～」と女神官に軽く言われ、朝食直後に別室にて紹介されたフェイに一芸を披露。
大いに気に入られ、調子に乗って更にいくつか披露した後、雑談をしながら神殿内を案内される。

長く続く回廊に差し込む光に、ほへ～と感心しながら歩いていると、あっという間にお昼。

フェイと共にサンドイッチとスープの軽食をとり、始まった歴史の授業。
あっという間に終わったが。

彼女は思う。

もう帰っていいよね。