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結婚二日目
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気怠い体をおして、遅めの朝食をとるため食堂に向かったリサは、着いてから部屋に運んでもらえば良かった「主よ、感謝します」ことに気付いた。
反射で感謝しながら椅子を引いてもらう。
席についたリサに出されたのは、パンとスープとサラダにハムエッグだった。
「………………………………」
微妙だ。
それぞれの家の朝のスタイルと言えなくも無いが、侯爵家としては貧相だ。
しかしリサは昨日までは見習いシスター。粗食には慣れている。
お祈りを済ませて有り難くいただいた。
(悪くはないけど、パンは修道院の方が美味しかったわ)
やたらパンに拘るシスターがいたのだ。適性がパン職人だったのかもしれない。
昨夜の運動もあったので物足りないかと思ったが、意外に丁度良かった。労働で体力も付いていたし、急に胃が大きくなる訳でもない。感謝の祈りを捧げて食堂を後にした。
次にしたのは使用人との顔合わせだ。ダナが何も言って来ないので、こちらから家令に催促した。
集めて貰っても良いが、どうせ屋敷の中も一通り見なければいけないので、自分から出向く事にする。
通りすがりに「よろしくね」と言えば、ポカンと口を開けてから慌てて頭を下げるメイド達。厨房でも庭でも厩でも。皆何故驚くのか。
分からない事は聞くに限る。自ら案内を買ってでてくれた家令に声を掛けた。
「ジョーン」
「はい、奥様」
ピクリと眉を動かし、直ぐに応じる。
「何故みんな私が喋ると驚くのかしら」
「それは奥様の美しさと気さくさではないでしょうか」
「まあ! ありがとう」
リサは謙遜などしない。自分の美しさを知っているから。『気さく』が褒め言葉かは分からないが、そこは自分に不利にならなければどうでも良い。
しかし驚く理由がそれとは思えない。
(オリフィエルに何か吹き込まれていたのかしらね)
一通り屋敷を見て歩き、一旦部屋に戻る。
「それでは私はこれで」
「ちょっと待って」
家令が去ろうとしたので呼び止めた。
「服を買いたいのだけれど、旦那様に頼むべきかしら」
自分の服は昨日着ていたワンピースにブラウスとスカートが一枚ずつ。今着ているデイドレスは借り物だ。
「衣裳部屋にある物は全てお好きに使ってくださって構いません」
先程ザッと案内された際に見た衣裳部屋はどうみても来客用で、サイズも雰囲気もまちまちだった。
リサはにっこり微笑んだ。
「ドレスメーカーを呼びなさい」
「――――かしこまりました」
しかしリサは服を手に入れる前に脱ぐ事になった。
陽のあるうちに早退してきた夫が、リサに纏わりついて離れない。帰って来てから体の一部が常にくっ付いている。今も一糸纏わぬ姿で後ろから抱きしめられていた。なんなら一部は深く繋がっている。
(何と言うか、糸屑のようね。中々離れないわ)
明日自分が着る服は有るのか。まさか夫を纏って移動する事になるのか。気にはなるが目を瞑れば墜落するように眠りに落ちていった。
反射で感謝しながら椅子を引いてもらう。
席についたリサに出されたのは、パンとスープとサラダにハムエッグだった。
「………………………………」
微妙だ。
それぞれの家の朝のスタイルと言えなくも無いが、侯爵家としては貧相だ。
しかしリサは昨日までは見習いシスター。粗食には慣れている。
お祈りを済ませて有り難くいただいた。
(悪くはないけど、パンは修道院の方が美味しかったわ)
やたらパンに拘るシスターがいたのだ。適性がパン職人だったのかもしれない。
昨夜の運動もあったので物足りないかと思ったが、意外に丁度良かった。労働で体力も付いていたし、急に胃が大きくなる訳でもない。感謝の祈りを捧げて食堂を後にした。
次にしたのは使用人との顔合わせだ。ダナが何も言って来ないので、こちらから家令に催促した。
集めて貰っても良いが、どうせ屋敷の中も一通り見なければいけないので、自分から出向く事にする。
通りすがりに「よろしくね」と言えば、ポカンと口を開けてから慌てて頭を下げるメイド達。厨房でも庭でも厩でも。皆何故驚くのか。
分からない事は聞くに限る。自ら案内を買ってでてくれた家令に声を掛けた。
「ジョーン」
「はい、奥様」
ピクリと眉を動かし、直ぐに応じる。
「何故みんな私が喋ると驚くのかしら」
「それは奥様の美しさと気さくさではないでしょうか」
「まあ! ありがとう」
リサは謙遜などしない。自分の美しさを知っているから。『気さく』が褒め言葉かは分からないが、そこは自分に不利にならなければどうでも良い。
しかし驚く理由がそれとは思えない。
(オリフィエルに何か吹き込まれていたのかしらね)
一通り屋敷を見て歩き、一旦部屋に戻る。
「それでは私はこれで」
「ちょっと待って」
家令が去ろうとしたので呼び止めた。
「服を買いたいのだけれど、旦那様に頼むべきかしら」
自分の服は昨日着ていたワンピースにブラウスとスカートが一枚ずつ。今着ているデイドレスは借り物だ。
「衣裳部屋にある物は全てお好きに使ってくださって構いません」
先程ザッと案内された際に見た衣裳部屋はどうみても来客用で、サイズも雰囲気もまちまちだった。
リサはにっこり微笑んだ。
「ドレスメーカーを呼びなさい」
「――――かしこまりました」
しかしリサは服を手に入れる前に脱ぐ事になった。
陽のあるうちに早退してきた夫が、リサに纏わりついて離れない。帰って来てから体の一部が常にくっ付いている。今も一糸纏わぬ姿で後ろから抱きしめられていた。なんなら一部は深く繋がっている。
(何と言うか、糸屑のようね。中々離れないわ)
明日自分が着る服は有るのか。まさか夫を纏って移動する事になるのか。気にはなるが目を瞑れば墜落するように眠りに落ちていった。
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