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番外編
いちご達がA組三人にお礼をする話(41話と42話の間)
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『藍ちゃん、今日から夏休みだね! ということで明日暇? 山吹さんと酸漿さんも!』
そんなメールが届いたのは二年生四人で出掛けた日の夜、自室でゴロゴロしていた時のことだった。
結果から言って三人とも暇だった。ということで次の日の十四時頃、指定された場所に三人で向かう。そう、温室に。
温室へ近付くと、だんだんとなんか甘くていい香りが強くなってくる気がする……?
「お礼と言ってましたが……テストのあれですよね?」
「そうなんだろうね。この前お礼するからって言ってたし。」
「お礼……とはなんでしょうね。甘くて美味しそうな香りがするような……?」
そんな風にワクワクしながら話し歩き、温室に着いた。そこには……
「あ、来た来た!」
「やっほー!」
「準備はOKだよ!」
いちごちゃん、敦子ちゃん、静香ちゃんが既に大きなテーブルに着き、こっちこっちと手招きしていた。
あれ、前温室に来た時にこんなに大きなテーブルってあったっけ? 六人が座っても幾分か余裕があるくらいの大きさだった。
持ってきたとしたら相当な労力を使っただろうな……とつい考えてしまった。
「ほらほら三人とも早く!」
いちごちゃん達に勧められ、空いている三人分の椅子にそれぞれ座りふっと一息ついた。
「お礼って聞いたけど、期待してもいい感じ? このいい匂いはきっと……」
「はい! お菓子です!」
藤さんはそのいちごちゃんの言葉に『やったぁー!』と喜んだ。一方で山吹さんはいつも通りふうわり笑っていた。
「よし、持ってこよう!」
「ラジャー!」
「おいよ!」
いちごちゃん達三人はてててー、と近くにあるベンチに置いてある籠を持ってきた。それを一つずつテーブルに並べていくと、テーブル一杯に色々なお菓子が並ぶ。
「わあ……!」
「チョコ!」
「どれも美味しそうですね。」
「じゃんじゃん食べてください! お礼ですから!」
では遠慮なく、とまず私は目の前にあった一口サイズのチョコケーキを取る。とても美味しそうだ。見た目もとても可愛く、食べるのがもったいない気がしてきた。これ、高かったのでは……?
とか考えながらパクリと食べる。
「っ……! 美味しい!」
頬が緩むのが分かった。
「でしょ! それ特に自信作なの!」
……ん? じ・し・ん・さ・く、だと?
「あ、そうだ藍ちゃん、今度はマカロン作ったよ!」
あ、あれ……マカロンって作れるものだっけ? 頭が混乱してきた。
「三人で協力して作ったんだ~!」
「そうそう! 三人からのお礼だからねっ。」
「ありがとう!」
笑顔でいちごちゃん達三人から再びお礼をされ、その言葉に、気持ちに私も笑顔になる。ああ、心がほっこり暖かくなるなあ。
それは山吹さんや藤さんもそうらしかった。いつもより楽しそうに笑っていたのが見えたから。
「こちらこそ美味しいお菓子をありがとう!」
笑顔が絶えない一時だった。
そんなメールが届いたのは二年生四人で出掛けた日の夜、自室でゴロゴロしていた時のことだった。
結果から言って三人とも暇だった。ということで次の日の十四時頃、指定された場所に三人で向かう。そう、温室に。
温室へ近付くと、だんだんとなんか甘くていい香りが強くなってくる気がする……?
「お礼と言ってましたが……テストのあれですよね?」
「そうなんだろうね。この前お礼するからって言ってたし。」
「お礼……とはなんでしょうね。甘くて美味しそうな香りがするような……?」
そんな風にワクワクしながら話し歩き、温室に着いた。そこには……
「あ、来た来た!」
「やっほー!」
「準備はOKだよ!」
いちごちゃん、敦子ちゃん、静香ちゃんが既に大きなテーブルに着き、こっちこっちと手招きしていた。
あれ、前温室に来た時にこんなに大きなテーブルってあったっけ? 六人が座っても幾分か余裕があるくらいの大きさだった。
持ってきたとしたら相当な労力を使っただろうな……とつい考えてしまった。
「ほらほら三人とも早く!」
いちごちゃん達に勧められ、空いている三人分の椅子にそれぞれ座りふっと一息ついた。
「お礼って聞いたけど、期待してもいい感じ? このいい匂いはきっと……」
「はい! お菓子です!」
藤さんはそのいちごちゃんの言葉に『やったぁー!』と喜んだ。一方で山吹さんはいつも通りふうわり笑っていた。
「よし、持ってこよう!」
「ラジャー!」
「おいよ!」
いちごちゃん達三人はてててー、と近くにあるベンチに置いてある籠を持ってきた。それを一つずつテーブルに並べていくと、テーブル一杯に色々なお菓子が並ぶ。
「わあ……!」
「チョコ!」
「どれも美味しそうですね。」
「じゃんじゃん食べてください! お礼ですから!」
では遠慮なく、とまず私は目の前にあった一口サイズのチョコケーキを取る。とても美味しそうだ。見た目もとても可愛く、食べるのがもったいない気がしてきた。これ、高かったのでは……?
とか考えながらパクリと食べる。
「っ……! 美味しい!」
頬が緩むのが分かった。
「でしょ! それ特に自信作なの!」
……ん? じ・し・ん・さ・く、だと?
「あ、そうだ藍ちゃん、今度はマカロン作ったよ!」
あ、あれ……マカロンって作れるものだっけ? 頭が混乱してきた。
「三人で協力して作ったんだ~!」
「そうそう! 三人からのお礼だからねっ。」
「ありがとう!」
笑顔でいちごちゃん達三人から再びお礼をされ、その言葉に、気持ちに私も笑顔になる。ああ、心がほっこり暖かくなるなあ。
それは山吹さんや藤さんもそうらしかった。いつもより楽しそうに笑っていたのが見えたから。
「こちらこそ美味しいお菓子をありがとう!」
笑顔が絶えない一時だった。
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