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一章
五十
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私はその場で双剣をブンブン振り回してみる。ふむふむ、成る程。
「ええと……ダン、サン?」
「……あ?」
「これ、もう少し軽いと尚良いなー……って、これ、ワガママかな?」
流石にワガママだよね。そう自覚して私は頬を掻きながらハハ、と自嘲の笑みを浮かべる。
いやー、ちょっとこの剣、振り回すには重くてね。私が非力なだけなんだけれども。鍛錬すればいい話かなー。
「……あ、いや、うん。ええと、そうだな。分かった。もう少し軽量化してみよう。」
あ、良いんだ。
「ありがとうゴザマス。」
「いや、いい。自分の作りたい武器を作るだけではこの商売はなかなか成り立たないからな、使用者の希望もある程度までは聞くことにしているんだ。」
「そうなんだ。じゃあそれだけお願いするね。」
「分かった。」
はい、とダンサンに剣を渡し、手持ち無沙汰になった私はぐるりと辺りを見回すことにした。ああ、あっちにサジタリアスとアリーズがいるんだー。今気が付いたー。
「マロン、他にも希望はあるか?」
「ううん。ない。」
切れ味は問題なさそうなので、軽量化だけを希望する。さっき自分の指を切ってみたんだけど、思った以上にスッと切れたからね。これなら充分だよ。
「そうすると完成まで日にちを貰うことになるが、良いか?」
「あー……アリーズ!」
「良いよ。」
どうかな? と聞く間も無く返事が返ってくる。どうやら私達の話を聞いていたらしい。
「分かった。じゃあ完成したら城に届ける、で良いか?」
「うん。あ、それならさ……」
アリーズがダンサンを連れてどこかへ行った。何か内緒話でもするつもりなのだろうか。分からん。
「おい、マロン。」
「ん?」
サジタリアスがいつ近くに来たのか、この私が分からなかった。さすが十二星座ということか。少し驚いた私に反してサジタリアスはギュッと眉間に皺を寄せる。
「手、出せ。指切れてる。」
「うん? 知ってるけど?」
だって自分で切ったし。この話の終着点はどこだろうと首を捻ると、サジタリアスは呆れた表情を浮かべた。
「はぁ……早くその手を出せ。治してやる。」
「え、いいよ別に。舐めときゃ治るって。」
「阿保か。いいから出せ。」
「えー……でも~……」
「……」
私がモタモタうだうだしているとサジタリアスに睨まれた。先に折れたのはもちろん……
「ええと……ダン、サン?」
「……あ?」
「これ、もう少し軽いと尚良いなー……って、これ、ワガママかな?」
流石にワガママだよね。そう自覚して私は頬を掻きながらハハ、と自嘲の笑みを浮かべる。
いやー、ちょっとこの剣、振り回すには重くてね。私が非力なだけなんだけれども。鍛錬すればいい話かなー。
「……あ、いや、うん。ええと、そうだな。分かった。もう少し軽量化してみよう。」
あ、良いんだ。
「ありがとうゴザマス。」
「いや、いい。自分の作りたい武器を作るだけではこの商売はなかなか成り立たないからな、使用者の希望もある程度までは聞くことにしているんだ。」
「そうなんだ。じゃあそれだけお願いするね。」
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はい、とダンサンに剣を渡し、手持ち無沙汰になった私はぐるりと辺りを見回すことにした。ああ、あっちにサジタリアスとアリーズがいるんだー。今気が付いたー。
「マロン、他にも希望はあるか?」
「ううん。ない。」
切れ味は問題なさそうなので、軽量化だけを希望する。さっき自分の指を切ってみたんだけど、思った以上にスッと切れたからね。これなら充分だよ。
「そうすると完成まで日にちを貰うことになるが、良いか?」
「あー……アリーズ!」
「良いよ。」
どうかな? と聞く間も無く返事が返ってくる。どうやら私達の話を聞いていたらしい。
「分かった。じゃあ完成したら城に届ける、で良いか?」
「うん。あ、それならさ……」
アリーズがダンサンを連れてどこかへ行った。何か内緒話でもするつもりなのだろうか。分からん。
「おい、マロン。」
「ん?」
サジタリアスがいつ近くに来たのか、この私が分からなかった。さすが十二星座ということか。少し驚いた私に反してサジタリアスはギュッと眉間に皺を寄せる。
「手、出せ。指切れてる。」
「うん? 知ってるけど?」
だって自分で切ったし。この話の終着点はどこだろうと首を捻ると、サジタリアスは呆れた表情を浮かべた。
「はぁ……早くその手を出せ。治してやる。」
「え、いいよ別に。舐めときゃ治るって。」
「阿保か。いいから出せ。」
「えー……でも~……」
「……」
私がモタモタうだうだしているとサジタリアスに睨まれた。先に折れたのはもちろん……
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