××の十二星座

君影 ルナ

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一章

四十九 ダン

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 アリーズはこいつをポラリス候補だと断言はしなかった。そのことに疑問を抱きつつも、まず俺に出来ることを全うすることにした。

「お前、名は。」
「私、は……マロン。」
「そうか。で、まずお前、何か得意なことはあるか?」
「得意なこと……体が柔らかい、とか?」
「ふむ。使ってみたい武器はあるか?」
「うーん……そうだなぁ……」

 武器、武器……どんなものがマロンに合う、か……

「あ、両手で持ちたいかも。」
「というと……両手剣か?」

 俺がスッと指差したのは一つの大きな剣。大柄な俺向きの武器であるので、まあ、マロンのこの細っこい腕で持ち上げられるとは到底思えないがな。一応言ってみただけだ。

「違う違う。あの、ええと、両手それぞれで刃物持ちたい。」
「ふむ、なら双剣か?」

 双剣は扱いが難しいのだが……それでも良いのか? 分からないまま、取り敢えずそれの在処を教える。

「お、良いかも。ちょっと持ってみても?」
「もちろんだ。」

 飾ってある双剣を取り外し、マロンに手渡す。するとマロンは『ふぅん』と声を漏らしながら剣を見定め始めた。剣を鞘から抜き、じっくりと刃を観察する。


 三十秒程見定めたマロンはまた『ふぅん』と、今度は口角を上げて納得したような声を出した。

「あとは持ちやすさと振るいやすさを確認したいけど……ねぇ、広い場所ない?」
「あ、ああ……それならこの店の裏がちょっとした訓練場となっているからな。そこを使えば良い。」
「ありがとう。じゃあ案内をお願いシマス。」
「ああ。」

 俺はマロンを連れて裏の訓練場に向かう。多分アリーズサマとサジタリアスサマもそこにいるだろう。自分達の順番が来るまでの暇つぶしとして。

 多分あの二人はマロンの武器を探すついでに、それぞれの装備を補充したりメンテしたりしたいのだろうからな。まあ、これは武器屋の勘なのだが。






 案の定、二人は訓練場でそれぞれ思い思いの過ごし方をしているらしい。さて、それは良いとして。

「ほー、想像以上に広いね。」
「だろう? ここなら周りを気にせず剣を振るうことが出来るからな。」
「ども。」

 そう言ってマロンはペコリと会釈し、その後早速双剣を構えることにしたらしい。

 マロンは両手に剣を構え、こちらに目を向けた。

「っ……!」

 その深い青目から、殺気ではないが何か強い圧をマロンから感じた。俺はその圧に足を踏ん張ってなんとか耐えた。

 なんだ、これ……

 十二星座候補生としてそこにいるアリーズと共に鍛錬してきたこの俺が、どこの誰とも知らないマロンの発する圧に押されるなど……


 こいつは何者だ……?
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