48 / 122
一章
三十五 カプリコーン
しおりを挟む
「き、キャンサーとアリーズはととと取り敢えず武器を仕舞って……」
おどおどしながらもヴァーゴがアリーズとキャンサーを窘める。他の人が皆傍観に徹している様子を見たが故の行動らしい。誰も止めに入らなければ血祭りになっただろうから、と。
一番仲裁に適さなそうな印象だが……はてどうなることやら。
「ボクはアリーズが武器を仕舞ったら下げる。」
「我輩は十二星座の為を思ってこうしているんだけど?」
しかしヴァーゴの勇気虚しく、引く気は無い二人。それを見たヴァーゴは溜息を一つついた後スッと体勢を整える。先程までのおどおどはどこいった、と言われそうな程自信に満ち溢れた構えは……
「じ、じゃあ、拙が力づくで止める。」
あー、ヴァーゴは暴力で解決しようとする系の人だったのか。話し合いで解決するタイプの人だと思ってたのに。
そうなると俺が割って入らなければならなくなる……かもしれない。面倒だけど。途轍もなく面倒だけど。
ピリッと空気がひりつく。いつ喧嘩が始まるか分かったもんじゃない。あー、俺、三人相手で止められるかなー……
最初に仕掛けたのは誰だったか。同時だったかもしれない。三人が三人、お互いに武器を向けたその一瞬。
「ぐっ!」
「うっ!」
「っ!」
アリーズ、キャンサー、ヴァーゴがその場に崩れ落ちる。な、何があったんだ……?
その答えはすぐ出た。
「喧嘩両成敗っ!」
三人の間でポーズを決めたのはマロンだった。バンザーイと両手を広げてドヤ顔をしている。
そう、マロンが音もなく三人のお腹に一撃ずつ入れたらしいのだ。らしい、というのも、俺の位置からでもマロンの様子はずっと見えていたはずなのに、マロンが席を立ってからの気配を全く感じず、いつの間にか急にアリーズ達三人が倒れたように見えたから。……そんなことが現実的にあり得るのか?
それも倒したのが十二星座という最強集団に属する三人。特に素手で戦うヴァーゴまでもその餌食になっているというのだから、マロンの強さというか……そんなものが感じられた。
「ご馳走様デシタ! さ、全員揃ったんでしょ? ここに来た目的をさっさと果たして私は街で暮らす準備しないと!」
マロンはもう街で暮らす算段を立てているらしいが、一つでも属性魔法を扱えるなら学園に通わなければならないことをマロンは理解しているのだろうか。
……いや、この感じだと分かってないな。
ま、まあ、取り敢えず鑑定し終えてからこれからの話をすれば良いと思う。
「さ、さーて、皆も集まったし、マロンの鑑定に行かないかい? 話とか諸々はそれからってことで……」
「自分は異論はないな。」
「わ、我輩は……ぐっ、まだ、認めてはいないっ……!」
「はいはい、それも鑑定終わってからまた話し合おうよ。ね? ……ね?」
俺としてはまず鑑定をサッサと終わらせて、マロンがポラリス候補になり得るかどうかを知りたい。
一応サジタリアスの提案通り全員揃ったのだから、まあ、アリーズ達がずっと寝っ転がっているようなら置いていっても良いだろう。
おどおどしながらもヴァーゴがアリーズとキャンサーを窘める。他の人が皆傍観に徹している様子を見たが故の行動らしい。誰も止めに入らなければ血祭りになっただろうから、と。
一番仲裁に適さなそうな印象だが……はてどうなることやら。
「ボクはアリーズが武器を仕舞ったら下げる。」
「我輩は十二星座の為を思ってこうしているんだけど?」
しかしヴァーゴの勇気虚しく、引く気は無い二人。それを見たヴァーゴは溜息を一つついた後スッと体勢を整える。先程までのおどおどはどこいった、と言われそうな程自信に満ち溢れた構えは……
「じ、じゃあ、拙が力づくで止める。」
あー、ヴァーゴは暴力で解決しようとする系の人だったのか。話し合いで解決するタイプの人だと思ってたのに。
そうなると俺が割って入らなければならなくなる……かもしれない。面倒だけど。途轍もなく面倒だけど。
ピリッと空気がひりつく。いつ喧嘩が始まるか分かったもんじゃない。あー、俺、三人相手で止められるかなー……
最初に仕掛けたのは誰だったか。同時だったかもしれない。三人が三人、お互いに武器を向けたその一瞬。
「ぐっ!」
「うっ!」
「っ!」
アリーズ、キャンサー、ヴァーゴがその場に崩れ落ちる。な、何があったんだ……?
その答えはすぐ出た。
「喧嘩両成敗っ!」
三人の間でポーズを決めたのはマロンだった。バンザーイと両手を広げてドヤ顔をしている。
そう、マロンが音もなく三人のお腹に一撃ずつ入れたらしいのだ。らしい、というのも、俺の位置からでもマロンの様子はずっと見えていたはずなのに、マロンが席を立ってからの気配を全く感じず、いつの間にか急にアリーズ達三人が倒れたように見えたから。……そんなことが現実的にあり得るのか?
それも倒したのが十二星座という最強集団に属する三人。特に素手で戦うヴァーゴまでもその餌食になっているというのだから、マロンの強さというか……そんなものが感じられた。
「ご馳走様デシタ! さ、全員揃ったんでしょ? ここに来た目的をさっさと果たして私は街で暮らす準備しないと!」
マロンはもう街で暮らす算段を立てているらしいが、一つでも属性魔法を扱えるなら学園に通わなければならないことをマロンは理解しているのだろうか。
……いや、この感じだと分かってないな。
ま、まあ、取り敢えず鑑定し終えてからこれからの話をすれば良いと思う。
「さ、さーて、皆も集まったし、マロンの鑑定に行かないかい? 話とか諸々はそれからってことで……」
「自分は異論はないな。」
「わ、我輩は……ぐっ、まだ、認めてはいないっ……!」
「はいはい、それも鑑定終わってからまた話し合おうよ。ね? ……ね?」
俺としてはまず鑑定をサッサと終わらせて、マロンがポラリス候補になり得るかどうかを知りたい。
一応サジタリアスの提案通り全員揃ったのだから、まあ、アリーズ達がずっと寝っ転がっているようなら置いていっても良いだろう。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる