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34 相談

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イオside

 まさかラルちゃんからそんな相談を受けるとは思っていなかったからアタシ驚いちゃったわ。

 もちろん内容にもね。あんなに人を避けてきたラルちゃんがねぇ……。成長したって事かしら?

 そうねぇ、頼り甲斐がある人間になるには、ねぇ……

「まずはその人嫌いを直す努力をしてみるのはどうかしら?」
「人嫌い、を……?」

 アタシのその言葉を聞いたラルちゃんは冷や汗をダラダラとかき始めた。まあ、そうよね。嫌いなことは避けたいわよね。でも……

「じゃあラルちゃん、あんたはなんでアタシに相談してきたのかしら?」
「それは……私の数少ない友人であり、人望も厚い……からだな。」

「でしょ? まあアタシは王太子って立場だからそうならざるを得なかっただけだけれども、人望の厚さってのも頼り甲斐の有無に関係してるんじゃないかしら?」
「ふむ……そうか……人望……」

 ああ、やりたくないって顔してるわ。ラルちゃんの人嫌いって筋金入りなのねー。

「分かった。……が、どうすればいいだろうか。」

 あら、やらない選択肢もあったはずなのに、わざわざ嫌いなことを始めてみようとしてるのね。ならアタシも頑張ってサポートするわよ!

「そうねぇ、まず最初は……ラルちゃんの纏う雰囲気作りが必要じゃない? 今までずっと近付くなオーラをバンバン出してきたんだから、それを緩和させるだけでも変わるんじゃないかしら?」
「雰囲気……?」

「そうよ。自分から話し掛けるのも人から話し掛けられるのもまずはその人の纏う空気を感じるものじゃなくて?」
「そうなのか……」

「だって思い出してみなさいよ。あんたの婚約者、いつもニコニコ笑っているから人も集まるんでしょ?」
「ああ、確かに。」
「だからラルちゃんも少しその仏頂面やめたらどう?」
「仏頂面……」

 そう小さく呟いたラルちゃんはこちらを向いて、変顔を始めた。仏頂面のまま口角だけが不自然に上がり、一言で言うならとても面白い。

「ぶふっ」
「……。」

 アタシが笑っちゃったからその変顔は一瞬で終わっちゃって、今度は少し怒ったような表情に。

「イオが笑えと言ったのに、何故笑う。」
「……はあ!? あれで笑顔のつもり!? ……ぶふっ、駄目だ面白いわ。」
「……。」

「あは、ごめんなさいね。うふ、まさか……ふふっ、あんなに笑顔が下手だなんて……ふふふっ、」
「……。」

 駄目だ、ツボに入ってしまった。

「……笑顔は諦める。他にどうすればいい。」
「ふふっ、そうねぇ、ふふふっ、じゃあ眉間の皺を伸ばせば? それだけでも変わるかもよ?」
「ふむ。」

 アタシのその言葉を聞いてラルちゃんは指で眉間の皺を伸ばし始めた。
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