髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

第4章

196.少し…ね？。

マリエリ、アミュート、ルルと一緒に寮を出ると父さんたちが寮の前に馬車を停め佇んでいた。

「父さん！」
「ユキ～！」
「「……」」

今日は入学式なので父さんたちが来てくれている。俺が真っ先に父さんに抱きついたからか、ライさんとガイさんが凄く不服そうな顔をしていた。可哀想なので父さんから離れ、ライさん、ガイさんの順番で1週間ぶりの再会を喜ぶハグを交わす。
そんなことをしていると馬車の中からおじいちゃんとおばあちゃんが出てきて、またそれぞれハグを交わす。

入学式の日は学園の生徒以外の人も沢山来れるし、従者も学園の中に入ることが出来る。それは入学式に限らず参加可能のイベントが他にもあるようだった。

とりあえず1週間ぶりの再会を喜ぶハグは済ませ、馬車に乗り込み学園へ向かう。
本来馬車を使うほどの距離ではないが、俺の髪を出来るだて晒したくないと言う父さん達の過保護と、俺が色んな人達に会うことへの不安で少し落ち着きがないため、アミュートが耳としっぽを生やしておれに少しの癒しを与えてくれるためだった。

「ユキ、不安か？」
「……うん。少しね」
「やめるか？」
「いや、それはないよ。そういう事じゃなくて…多くの人似合うのは初めてだし、どうしても不安になっちゃうんだよ」
「そうか……ユキ、1週間の寮生活はどうだった？なにか不自由なこととかなかったか？必要なものは？」
「ないよ。大丈夫。」
「そうか…寂しく、ないか？」
「…うん。大丈夫」

本当は寂しい。生活していると案外大丈夫だけど、ふとした瞬間に寂しくなる。別にひとりってわけじゃないし、アミュートがいるしルルもマリエリもいる。寂しいことなんてないはずなのに、少し、父さんやガイさんライさんと離れることに慣れていないのか寂しい。おじいちゃんとおばあちゃんと離れてしまうのも寂しいけど、何よりあの3人は言わば“僕”が生まれた瞬間からそばにいたわけで、2人の存在は3人を上回らない。

「ユキ、嘘は良くないよ。ノア、ユキはねちゃんと寂しがってるよ。だからそんなに悲しそうな顔しなくていいと思うけど」
「え？」
「ちょ、アミュート！しーｯ！」
「ユキ、本当か？」
「……少し。」

アミュートの暴露を認めると、父さんはアミュートのしっぽをモフり中だった俺をぎゅっと抱きしめた。
おじいちゃんとおばあちゃんはそれに対して暖かい眼差しを向けていたけれど、ガイさん達は複雑そうな顔をしていた。

「もちろん、ガイさんやライさん達の事も離れて寂しいと思ってるよ。父さんと同じくらい」

そう言えば2人は父さんを押しのけて俺を抱きしめた。
それを見たおじいちゃんとおばあちゃんが少しソワソワとしていて面白かった。

「みんなと離れて暮らして、寂しかったよ。少し…ね？」

俺がおじいちゃんとおばあちゃんの方も見ながらみんなに言えば、2人は顔を綻ばせて嬉しそうにしていた。
俺が少し恥ずかしかった為、付け加えるように“少し”と誤魔化したが、みんなはそれに対してクスッと笑うだけだった。