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第4章

193.寮案内。

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何棟もある大きな寮を通り過ぎ、入口から3つ目の棟の前で立ち止まる。

「君たちがこれから暮らす寮はここ、第3寮だ。俺はここの寮長をしてるから、なにか分からないことがあったらなんでも言ってくれな?」
「え、寮長さんなんですか?」
「あぁ。だからなんでも相談してくれていいぞ。ここはまぁ、貴族が多い…かな。」
「あ、そうなんですか?」
「まぁ特別料金を払う場所だからな」
「なるほど…」

説明を聞けばこの寮は、俺の選んだ防音部屋など、特別な部屋が沢山入っているらしく、こんなに大きな建物なのに各階には2部屋しかないようだ。そんな特別大きくて特別料金のかかる寮は貴族が集まるのも仕方がない。いたとしてもどの道裕福な家庭の子だろう。 

「ま、とりあえず中入ろうか。着いてこい」
「はーい!」
「はい」

それから先輩の案内に着いていき、食堂の場所や階の説明を受けた。階の説明とは1階から2階は共有スペースで3階から上が個人の部屋になっている事などだ。ちなみに俺たちの部屋がある階は8階で、最上階だ。防音を選ぶならまだしも、他の部屋と隣接していないという項目を選択する者はほとんど居ないらしい。そのためこの寮唯一の1部屋階が俺たちに割りあてられたということだ。ちなみに先輩は3階だそうだ。共有スペースに近い方が都合がいい為、3階は寮長・副寮長の部屋となっており、寮長となった今年から移動したという。

それらの説明を聞き終え、共有スペースを全て見て回ったところで、先輩は俺たちにエレベーターの使い方を説明した。

エレベーターは前世であったものと名前は一緒だが仕組みは少し違い、カードキーが必要となる警備体制バッチリのものだった。
エレベーターに乗る時、前世では上下ボタンを押して呼ぶが、こちらではそのボタンの代わりにカードキーを翳す。そして到着したエレベーターにのりこむと、またカードキーを翳すところがあるのでそこにカードを翳し自分の部屋の階まで乗せてもらうと言った感じだそうだ。
3階まではボタンがあり、ボタンを押した状態でカードをかざす必要があるそうだ。
何をするにもカードキーが必要になるようで、逆に言えば、その階のカードキーが無ければ行くことは出来ないという。

では、友達の部屋へ遊びに行くことは出来ないのか、カードキーを忘れてしまうと乗れないのか…そういった疑問が浮かんでしまうが、それは問題ないようだ。
きちんと寮の入口にある警備室兼フロントに行き、申請を出せば予備のカードキーを手配してくれるらしい。別の階へ行く時も同様に申請をだすが、それだけではトラブルの危険性があるので、フロントの者が一緒に着いていくそうだ。
そして、その申請を出すのは少々面倒だそうだ。
申請を出す時には名前、学年、クラス、学籍番号は勿論、なぜ必要になったかも記入しなくてはならない。そして、水晶に手を触れ、入学時に登録されている手と一致しているか確認を取られるそうだ。警備上、変装しているなどあってはならないから必要なようだ。

先輩がその説明をしてくれている時に、思い出した!と叫び、まだ登録されていない俺たちの手を水晶にかざし登録する。そして、アミュートやマリエリの分も登録し、カードキーを受け取る。

「さぁ、これで一通りの説明は終わりかな。なにか気になるところはなかったか?」
「はい!今の所は大丈夫です。丁寧な説明と案内、ありがとうございました」
「ありがとうございました。」
「そっかそっか!また何かわからないことがあったらその都度俺に聞いてくれていいからな!」
「はい!よろしくお願いします」
「あ!そうだ、まだ副寮長の紹介が終わってないがそれはまぁまた今度でいいだろう。」
「はい」
「と、言うことで…ようこそ我が第3寮へ!これからよろしく!」
「はい!よろしくお願いします!!」
「よろしくお願いします!」

先輩…寮長が俺たちに手を差し出し、歓迎してくれ、俺たちも手を差し出し握手を交わす。

来る途中の不安な気持ちはもう消えていた。













𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒
投稿するの遅くなり申し訳ありません🙇‍♀️





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