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第3章

165.恐ろしい7:3。

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誤魔化そうと空気になっていたアミュートをもふもふしていたが、ケインから視線を感じぎこちなくなってしまう。

『ユキ』
「ごめん……加護与えてくれてたんだね」
『…もちろんじゃ。与えぬはずが無かろう』
「そ、そっか……ケインの加護ってそんなに凄いんだね?」
『もちろんよ!ケイン様はあなたの今住む世界の神なの。神なの。わかる?』
「…えっでとフグリシュターナさんもそうでしょ?」
『私はケイン様の世界の神なの。つまり世界が仕事のケイン様は私たちのような細々した神の上に立つものだから私達じゃかなわないわ。』

細々した神って……。
でも、ケインの凄さが少しわかった気がする。

『神にもね、序列の様なものがあるのよ。人間社会に例えるとね──』

フグリシュターナさんの説明をまとめるとこんな感じだ。

今の世界で言うところの平民は子供が天使と大人が見習い神、貴族がフグリシュターナさんのようなそれぞれの世界のひとつの役割を得た基本的な位置にいる神で、そして王子が世界をまとめる神である世界神、王が母神、だそうだ。

見習いはどの世界のどの役割が自分に適しているかを模索する期間の神のことで、天使は、神になる前の子供のようなもの。いろいろなことを学ぶ時期のことだという。

だから俺の中では、前世で言うところの高校生くらいまでが天使で、大学や専門学校などに通う実習生が見習い神といったイメージだ。模索過程がそうかなとも思ったが、アルバイト…というのも近いかもしれない…。

そして学問や武術、そういった役割を決められている神はその中でも序列があるらしいし会社員的なイメージで、ケインのような世界を束ねる神が社長。その上の母神という存在は会長と言ったところか……。

『母神様はね、ケイン様のような世界神様が母神様を交えて行う会議でのみ名前を口にすることが許されるの。だから私のような普通の神は基本的に名前すら知らないわ』
『…あとは母神と対面して個人的に話す時じゃな。じゃが母神と対面しておっても特に何も言われていない状況で名を呼べば、右神と左神が騒ぎよる。じゃからみな会議でも個人的に話す時でも基本的には名を口にはせんな。』
「そうなんだね…」
『母神の名を許されておらぬ時に口にすれば罰があるのじゃ。普通の神じゃと消されておったな…天使としてやり直しさせられておったわ。記憶もなくなっておるから転生であって転生でないわな…』
「え、こわ…」
『しかも自動的にじゃ。母神を前にしておらんでも、口にした時点で執行されるのじゃ』
「まじか…」
『世界神の場合は見習いに戻され、世界神にはなれぬ。普通の神に降格じゃ』
「……」

母神の名前どんだけなの……やばすぎでしょ……

『ま、母神様の話はここまでにして、本題に入りましょうか。君に危害を加えたあの人間ね、私からの加護はもちろん消させてもらうわね』
『それから、わしが母神に頼んですこし干渉できる許可を得たから、あやつの幸不幸の割合をいじってやったぞ』
「え?」

幸不幸の割合をいじるって何?神様は下界に干渉できないんじゃなかったっけ?頼み込んでOKされることのなの?秩序的に大丈夫なの?それ。

『わしの大切な子に神から加護を与えられておる立場でありながら、危害を加えたのじゃ。説得などするに決まっておるじゃろ!』
「え、あ、そなの?」
『う~ん…あはは…えっと、まぁ基本ダメなんだけど、ケイン様は世界神の中でも力のある方だし、母神様にも許可を得ることが出来たんだと思うわ。今回は加護を与えられている人間のやらかしたことで、相手がユキくんだからっていうのもあるんだろうけどね…』
「な、なるほど…」

やっぱりケインはすごい様だ。

「それで、幸不幸をいじるってなに?」
『それはね、人間の幸不幸の割合って基本的には5:5なの。四捨五入されての5:5の人も中にはいるんだけど、まぁ基本的には大体5:5なのね?』
「…はい」

ケインに尋ねたつもりだが、フグリシュターナさんが応えてくれる。

『それで、ケイン様はその割合を─』
『不幸7:幸3にしたのじゃ!』

え、地球の割合じゃん。

『割合の多い方が大きなものになるから、幸せはちっぽけなもの、とかになりやすくなっちゃうのよ』
「………じゃああの人は幸せより不幸の方が目立つ人生になるってことですか?」
『そうね…5:5の割合でも順番によって捉え方も変わってしまうのだけれど、この場合は捉え方とか以前の問題で幸せが減るわ』
『これがわしに出来た最大の罰じゃ。本当なら魂を消滅させたいくらいじゃったというのに……』

ケインはわなわなと拳を握りしめながら震え、物凄いことを口にした。もはや親バカとか孫バカとか、そういう次元じゃない。神様のすることスケールデカすぎ……。幸不幸の割合を変えるとか人生左右しすぎでしょ………。

「えぐいね……」
『当然じゃ!』
『当然よね』
『当然だよ!!』
「………そっか」

もう何も言うまい……。

強いて言うなら……ミンナキメガオステキダネ。









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