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第2章

120.ケインとアミュート。

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𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒
ひたすら会話です。読みにくいかもしれませんが、お許しください。では、どうぞ。






ケインとユキがいつも会う時に使われる空間に、ケインとアミュートの姿があった。そこにはユキの姿がなく、一柱と一匹が真剣な表情で話す姿だけがそこにはあった。

『のぉ、アミュート』
『はい、なんでしょうか創造主様』
『ちと、ユキの心が不安定すぎやせぬか?』
『……そうですね。前世では、ここまでではなかったのですか?』
『そうじゃな……調べてみた限りじゃと、彼奴が前世であんな風にパニックになったことなど一度としてないようじゃ』
『…え、それは、本当ですか?』
『あぁ、おそらく前世では諦めて無になるしかなかったのじゃろうが、今世ではそうもいかんし、そういう環境ですらない。じゃから今まで抑圧されていた感情が乱れやすいのじゃろうな……』
『……なるほど、トラウマと言うやつですね』
『仕方がないのじゃが、何とかしてやりたいものじゃ』

『守り人と親子関係になってから、ユキの心は乱れやすくなっているようですが……』
『そうなのじゃよ。前世とは違うことに対する戸惑いや不安が大きいのじゃろうが……』
『前世では余り家族関係が良くなかったと以前お聞きしましたが、詳しいことはわからず、どう対応すべきか迷っています』
『ふむ……。おぬしにならユキも嫌がることは無いじゃろうが、わしが勝手に話すのもどうかと思いちゃんと話しておらなんだが、そうも言ってられそうにないようじゃな……』

『とりあえずわしの思う彼奴のトラウマポイントらしいところを教えておくことに留めておこうか』
『わかりました』
『詳しくは彼奴もおる時にしよう』
『はい。わかりました』
『うむ。でのぉ、わしが思うに、彼奴は一人でおる事と、火は確実に怖がるじゃろうな』
『一人を嫌がっているのは何となくわかっていましたが、火、ですか?』
『あぁ。それは前世でも酷く嫌がっていたようじゃ。火があることを予め理解していればそこまで怖がることは無いようなのじゃが、不意に火を見ると怖いようじゃ』
『……それは、なぜでしょうか?』

『前世の彼奴の兄に、火で手を炙られたことがあるからのようじゃ』
『……火で、手を…炙る…ですか…?』
『あぁ。私も調べた時に見た時は、彼奴の兄の人格にびっくりしてしもぅたわ』
『…それは、ビックリで片付けるものですか?』
『わし、立場柄そういう思考のものは割と見る。というか、よく見るのじゃ。じゃから、普段はいちいち気にせん。しかし、ユキが相手となればビックリもする。そんな酷い環境にいたのか…とな。』
『…なるほど。……その、なぜ、炙られたのでしょうか?』
『前世の彼奴の兄が未成年なのにタバコを吸おうとしていたようでの、流石に感化出来なかったようで、注意をしたのじゃ。すると、彼奴の兄は、タバコに手を伸ばした彼奴の手を掴み、ライターで炙ったのじゃ。次また自分のすることに何か言ってきたらもっと長い時間炙ってやると言って約10秒程暴れる彼奴を組み敷いて炙り続けていたようじゃ。それから前世のユキは、兄に対して何も言えなくなってしまったようじゃな……まったく、恐ろしいことをするもんじゃ』

『……………それで、手は、大丈夫、だったのですか?』
『いや、酷い火傷がずっと残っておった。服の袖や手袋で常に隠しておったようじゃがな…』
『そ、それは、火が怖いわけですね……』
『じゃな。しかし彼奴は料理をしなければならず、その時は、心の準備ができるからそこまで怖がることはなかったようじゃが……』
『なるほど……というか、私にはユキのいる時に話すと言っておられたのに、このことを話して大丈夫なのですか?』
『いや、これは彼奴のパニックを未然に防ぐのに必要な情報じゃ。仕方があるまい。……こんなことを言っておったら全部話してしまいそうじゃが、今この場にユキを呼ぶのは流石に不味いじゃろ。この場でもパニックを起こしかねん』
『そうですね……』

『彼奴は“家族”という関係そのものが怖くて不安の塊のようなもののようじゃから、慣れるまでは不安定じゃろうが、サポート頼んだぞ?』
『はい!任せてください』
『うむ。向こうで落ち着いておる時にユキに軽く何が不安なのか聞いてみるのも良いじゃろうが、こっちで聞いても構わん。いつかはきちんと聞いてやってくれ。それが彼奴自身何が怖いのか把握するきっかけにもなるかもしれぬからな』
『わかりました!』
『色々任せてしまってすまんな…よろしく頼んだそ』
『はい!』



そうしてその空間にいたふたつの存在は消えていった。






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