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第1章

83.思い出した虚弱設定。

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その後もお店の中を見てまわり、不思議なものはドランさんに聞いたりと楽しんでいた。
しかし、段々としんどくなってくる。

「ユキ…?」

途中30分経ったからと、ライさん抱っこからノアさん抱っこへと変わった。
今回の順番決めは、ノアさんが残り10分を残していたことをものすごくアピールし、1番目を勝ち取っていた。その次はガイさんらしい。そしてやっぱり最後はライさんだ。

そんな俺の二周目抱っこ権トップバッターを勝ち取ったノアさんは、俺の様子の変化に気づき心配そうに声をかけてくれた。

「ん…」
「疲れたか?」

徐々にあった倦怠感から、今は頭がぼーっとしてきている。少しづつ現れていた身体の不調をガン無視して楽しんでいたツケだろう。
ぼんやりと頭の片隅程度で認識していたことを改めて認識すると、途端にしんどくなってくるものだ。何だか熱っぽくなってきたかも…。
………そういや俺、ケインに虚弱になるかもって言われてたっけ……絶対これだわ。外出て遊んでしんどくなるとか、“子供の体力が低いから”では説明できない。

「ふぅ……ん……」
「ユキ、顔赤い?……熱がある……」
「「え?!」」

息苦しくなってきて、小さく深呼吸をし、ノアさんに完全にもたれかかる。
そんな俺の様子や顔の赤さを不審に思い、額に手をやったノアさんが、みんなの方へ向き、不安げに呟いた。
それに驚きの声をあげる、ガイさんとライさん。

「え…だって今さっきまで楽しそうにしてたのに…ガイ、子供ってこんな直ぐに熱出すもの?」
「い、いや…孤児院の子達はそんなことないぞ?」

俺の急な発熱に驚いたライさんが、子供慣れしているガイさんに詰め寄った。しかし、ガイさんの接してきた子の中には虚弱な子はいなかったらしく、否定が返ってくる。

「ならなんで…」
「ユキは昨日まで吐いたりしてたし、まだ本調子じゃない状態で沢山遊んで体力を消費したから、かも、しれない……」

ガイさんの語尾が、自信なさげに切られていく。
そりゃそうだ。だってみんなは俺が虚弱だって知らない訳だし。それにガイさんと遊ぶような子は元気活発な子達だろう。そんな遊んだくらいで熱を出すような子は、ガイさんとは遊べないだろうし。

「ユキ…?大丈夫か?」
「はぁ…ん…ふぅ…」
「ユキ…?」
「ん…きもち、わりゅい……」

“怠くてしんどい”が“怠くて気持ち悪くてしんどい”に変わった。new気持ち悪い  だ。
でも吐く程じゃない。車に酔ってしまったばかりの頃…と言えばわかりやすいかな?

「早く帰してやれよ」
「あ、あぁ…ユキ、帰ろう」

えー俺まだ満足してない…確かに武器や見れて嬉しいけどさ、まだ色々見たいんだけど……
むりかぁ~無理だよな~第一俺がしんどいって言ってんだもん。もうテンション高く見て回れる自信が無い。テンションが低くとも無理そう…。はぁ……はぁ……もう本気でやんなるな…。
こんなことならガン無視せずに早めに体調不良に向き合っていればよかった…。はぁ……

『ユキ、元気だして…!またいつでも遊びにこればいいじゃん!その時は今日買ってもらった服でも着れば?』
『…!!そうだな!!よし!じゃいいや』

アミュートのナイスな提案に俺の気持ちは浮上した。
まぁ、しんどいから直ぐに引きずり下ろされるように大人しくなったけど。










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