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第1章

71.秒刻みの争い。

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念願の、街ーーーーーー!!!

お昼食べて、今は大通りに来て、歩いています(ガイさんが)。
「ユキ、しんどくなったら言うんだぞ?」
「あいっっっ!!!」
「ふふっ、元気だね~」

ガイさんに言われ、元気よく返事をすると、果物を売っているおばあさんが声をかけてきた。

「う?」
「あ、ごめんねぇ~あまりに可愛くお返事していたものだからつい」

ふふふと口元を手で隠しながら笑うおばあさん。

「「「どうも、こんにちは」」」
「ぉんにちゃぁ!」

3人が挨拶をするので、俺も精一杯挨拶をする。

「よかったらなにか買っていかないかい?おまけするよ」
「ありがとうございます。では…ユキ、なにがいい?」

何がいいかと問われ、商品を見る。
色や形に見覚えのあるりんごと思しきものから、形はドラゴンフルーツのように見覚えがあっても色が虹色という、変なものまで様々なものがあった。

「…う?わかんにゃい…」
「そうか、そう言えばそうだったな…なにか惹かれるようなものはないか?」
「んーこえ!」

なら見覚えのあるりんごにしようと、それを選ぶ。
しかし、もしかしたら味は違うかもしれない。正直食べるのが怖かったりする。

「これを1つ。」
「はいよ、おまけにもう一つ入れといてやるね~」
「「「ありがとうございます」」」
「ありあちょれしゅ!!」
「はいよ~銀貨1枚ね」
「はい。」

銀貨1枚。異世界感ある単語にワクワクする。
どんなものか少しでも見たくて、ガイさんの手をのぞき込むも見えなかった。

「む~っ」
「ん?どうした、ユキ」
「んーん!」

ちょっと残念で勝手にむくれていると、ガイさんが顔を覗き込んでくるので誤魔化す。

「そうか?」
「ん!」
「これ食うのは後だからな?」
「うん!わかっちぇりゅ~!」
「よし、いい子だ」

そう言って優しく撫でてくれるノアさんの手。しかしそれを直ぐにガイさんがはじき、撫でてくれる。
撫でるのまで取り合うのか…と、そんな目で俺とライさんは二人を見ていた。

「ユキ、私のところに来る?」
「「おいっ!」」
「…だって2人すぐに喧嘩するし」
「「っ。…分かったしないから順番を守れ」」
「はいはい」

そう、順番があるのだ。ガイさん→ノアさん→ライさん、この順番で俺を抱っこするらしい。
そこに関しては喧嘩ばかりの2人も声を合わせて抗議する。
ということは2人もちゃんと順番守るってことだよね?



街を散策し始めて約30分。そろそろノアさん抱っこにかわる頃。

「おい、そろそろかわれ」
「まだだ。」
「はぁ?!もう30分経つだろうが!」
「まだあと1分あるじゃねぇか!ちゃんと見ろ!」
「はぁ?!1分くらい大差ねぇだろうが!素直に代われ!」
「無理だ。あと1分は俺の時間だ。」
「~~~っ!もう経ったぞ!1分!」
「まだあと30秒あるじゃねぇかバカなのか?」
「っっっ!お前まじでウザイ」
「殴るなよ。ユキに被害が及ぶ」
「チッ!ちゃんと分かってる!それぐらい!!」

大荒れな2人。予想してたけどそんなに分刻みどころか、秒刻みで争うなんて……
ライさんが呆れたようにため息をついていた。
分かるよライさん、俺もつきたいから。

「ほら、もう終わりだ!!」
「まだあと15秒あるじゃねぇか!ボケ」

こんな細かくて、15秒後にきっちり交代できるのか?このテンションのまま渡すのだろうか?

「…………5、4、3、2、1っ!はいかわれ!終わりだはよ代われ!」
「チッッ!!!……ん」

最後に俺をきゅっ!と抱きしめ、寂しげな表情でノアさんに渡す。

「ふんっ!5秒オーバーだな!!次お前5秒短いからな!!」
「はぁ?!」
「ちょっといい加減にして!抱っこ代わろうか?」
「「…わるい」」

ライさんつよぉ。そして2人はチョロい‪なと思いくすくすと笑いがこぼれた。






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