63 / 218
第1章
63.優しいお医者さん。
しおりを挟む
どうやら俺は一日寝ていたらしい。
2日目の夕方から気絶し、今はこの世界へ来て3日目の夜。
目が覚めて、大丈夫だと伝えたが心配だからと言われ、この宿に泊まっていたお医者さんに診てもらっている所。
「どこか辛いところは?」
「にゃいれしゅ」
「…ふむ。大丈夫そうですね」
「あい!」
「…なんだったんでしょうか。もうさっぱり分かりません」
「「医者のくせになんだよ。頼りないな…」」
「……申し訳ありません」
「こら二人とも!わざわざ泊まってくれたり、心配してくれてたんだからそんな事言わない!」
「「……」」
まさか…!このお医者さん、わざわざ泊まってくれたの?え?!申し訳なっっ!!
「あ、あにょ……あ…」
「ん?あぁ、ユキ、気にしなくていいぞ。この人は普通に泊まってたんだ」
「イテッ…」
「え…あ…え?」
そうなの?でもライさんが、わざわざって言ってたよ?
「いい。気にするな」
俺の頭を撫でながら、微笑むガイさん。お医者さんもにこって笑ってるし、もういいや。
気にするなと言われたし面倒臭いし、気にしなくていいよね。
とりあえずありがとうだけ伝えとこう。
「あにょ、ありあちょれしゅっ!」
「…!!」
お医者さんは何も言わずに笑顔で頭を撫でてくれた。
「…ではもう大丈夫そうですし私は帰ります。また何かありましたら呼んでください」
「あぁ、ありがとう。」
荷物を持ち、もうでていくのかと思えば、何かを思い出したのか「あ、それから…」と立ち止まり振り返った。
「もう大丈夫そうですが念の為、お腹に優しい食べ物だけ食べさせてください。お肉などを食べさせるなら、明後日の朝からにしてくださいね。」
「あぁ、わかった。」
「ユキくん」
「あい」
「少しでも気持ち悪いと思ったら無理しないでくださいね」
「あい!」
言われなくてもそうします…学習したので。
「それから、お肉を食べる時はまず一口食べてみて、様子を見ながらゆっくり、少しずつ食べるんですよ?」
「あい!」
「みなさんも注意して見ててあげてくださいね」
「「「わかった」」」
「では今度こそ失礼します。ユキくん、バイバイ」
「ばぁ~ばい!」
そうしてお医者さんは、俺に手を振りながら部屋から出ていった。
ずっとニコニコしていて子供が好きなんだな~というのが伝わってくる、すごく感じのいい人だった。
それに、どうせ分からないだろうと大人だけに説明し子供を蔑ろにしないで、ちゃんと俺にも注意してくれるところに優しさを感じる。
また会うようなことは無いようにしたいが、何せ俺は虚弱になったかもしれない身。またお医者さんに診てもらうなら、あの人がいいなと思った。あの人に頭を撫でられるのはなんか、ちょっと好きだ。気持ちいい。大きく温かい手。ガイさんの手も好きだけど、ガイさんの手は冒険者らしくゴツゴツとしている。でもあの人はしていない。そのへんが違っていてちょっと気に入った。
「ユキ、良かったなもう大丈夫そうで。ほっとしたぜ」
「そうだな…昨日はゾッとしたから……マジで心臓止まるかと思った。いやあれは止まったな一瞬でも止まってた。」
「同感。苦しそうにした後急に体の力抜けて意識失うんだもん。生きてるってわかってもなかなか目が覚めなくて怖かった」
「「あぁ…もうあんなのは二度とごめんだ」」
「そうだね」
どうやらすごく心配させてしまっていたようだ。
確かにあれは俺も出来ればもう二度と味わいたくない。苦しくて仕方なかったし、死ぬんじゃないかという恐怖と絶望。もう二度とごめんだ。
2日目の夕方から気絶し、今はこの世界へ来て3日目の夜。
目が覚めて、大丈夫だと伝えたが心配だからと言われ、この宿に泊まっていたお医者さんに診てもらっている所。
「どこか辛いところは?」
「にゃいれしゅ」
「…ふむ。大丈夫そうですね」
「あい!」
「…なんだったんでしょうか。もうさっぱり分かりません」
「「医者のくせになんだよ。頼りないな…」」
「……申し訳ありません」
「こら二人とも!わざわざ泊まってくれたり、心配してくれてたんだからそんな事言わない!」
「「……」」
まさか…!このお医者さん、わざわざ泊まってくれたの?え?!申し訳なっっ!!
「あ、あにょ……あ…」
「ん?あぁ、ユキ、気にしなくていいぞ。この人は普通に泊まってたんだ」
「イテッ…」
「え…あ…え?」
そうなの?でもライさんが、わざわざって言ってたよ?
「いい。気にするな」
俺の頭を撫でながら、微笑むガイさん。お医者さんもにこって笑ってるし、もういいや。
気にするなと言われたし面倒臭いし、気にしなくていいよね。
とりあえずありがとうだけ伝えとこう。
「あにょ、ありあちょれしゅっ!」
「…!!」
お医者さんは何も言わずに笑顔で頭を撫でてくれた。
「…ではもう大丈夫そうですし私は帰ります。また何かありましたら呼んでください」
「あぁ、ありがとう。」
荷物を持ち、もうでていくのかと思えば、何かを思い出したのか「あ、それから…」と立ち止まり振り返った。
「もう大丈夫そうですが念の為、お腹に優しい食べ物だけ食べさせてください。お肉などを食べさせるなら、明後日の朝からにしてくださいね。」
「あぁ、わかった。」
「ユキくん」
「あい」
「少しでも気持ち悪いと思ったら無理しないでくださいね」
「あい!」
言われなくてもそうします…学習したので。
「それから、お肉を食べる時はまず一口食べてみて、様子を見ながらゆっくり、少しずつ食べるんですよ?」
「あい!」
「みなさんも注意して見ててあげてくださいね」
「「「わかった」」」
「では今度こそ失礼します。ユキくん、バイバイ」
「ばぁ~ばい!」
そうしてお医者さんは、俺に手を振りながら部屋から出ていった。
ずっとニコニコしていて子供が好きなんだな~というのが伝わってくる、すごく感じのいい人だった。
それに、どうせ分からないだろうと大人だけに説明し子供を蔑ろにしないで、ちゃんと俺にも注意してくれるところに優しさを感じる。
また会うようなことは無いようにしたいが、何せ俺は虚弱になったかもしれない身。またお医者さんに診てもらうなら、あの人がいいなと思った。あの人に頭を撫でられるのはなんか、ちょっと好きだ。気持ちいい。大きく温かい手。ガイさんの手も好きだけど、ガイさんの手は冒険者らしくゴツゴツとしている。でもあの人はしていない。そのへんが違っていてちょっと気に入った。
「ユキ、良かったなもう大丈夫そうで。ほっとしたぜ」
「そうだな…昨日はゾッとしたから……マジで心臓止まるかと思った。いやあれは止まったな一瞬でも止まってた。」
「同感。苦しそうにした後急に体の力抜けて意識失うんだもん。生きてるってわかってもなかなか目が覚めなくて怖かった」
「「あぁ…もうあんなのは二度とごめんだ」」
「そうだね」
どうやらすごく心配させてしまっていたようだ。
確かにあれは俺も出来ればもう二度と味わいたくない。苦しくて仕方なかったし、死ぬんじゃないかという恐怖と絶望。もう二度とごめんだ。
31
お気に入りに追加
791
あなたにおすすめの小説
新人神様のまったり天界生活
源 玄輝
ファンタジー
死後、異世界の神に召喚された主人公、長田 壮一郎。
「異世界で勇者をやってほしい」
「お断りします」
「じゃあ代わりに神様やって。これ決定事項」
「・・・え?」
神に頼まれ異世界の勇者として生まれ変わるはずが、どういうわけか異世界の神になることに!?
新人神様ソウとして右も左もわからない神様生活が今始まる!
ソウより前に異世界転生した人達のおかげで大きな戦争が無い比較的平和な下界にはなったものの信仰が薄れてしまい、実はピンチな状態。
果たしてソウは新人神様として消滅せずに済むのでしょうか。
一方で異世界の人なので人らしい生活を望み、天使達の住む空間で住民達と交流しながら料理をしたり風呂に入ったり、時にはイチャイチャしたりそんなまったりとした天界生活を満喫します。
まったりゆるい、異世界天界スローライフ神様生活開始です!
都市伝説と呼ばれて
松虫大
ファンタジー
アルテミラ王国の辺境カモフの地方都市サザン。
この街では十年程前からある人物の噂が囁かれていた。
曰く『領主様に隠し子がいるらしい』
曰く『領主様が密かに匿い、人知れず塩坑の奥で育てている子供がいるそうだ』
曰く『かつて暗殺された子供が、夜な夜な復習するため街を徘徊しているらしい』
曰く『路地裏や屋根裏から覗く目が、言うことを聞かない子供をさらっていく』
曰く『領主様の隠し子が、フォレスの姫様を救ったそうだ』等々・・・・
眉唾な噂が大半であったが、娯楽の少ない土地柄だけにその噂は尾鰭を付けて広く広まっていた。
しかし、その子供の姿を実際に見た者は誰もおらず、その存在を信じる者はほとんどいなかった。
いつしかその少年はこの街の都市伝説のひとつとなっていた。
ある年、サザンの春の市に現れた金髪の少年は、街の暴れん坊ユーリに目を付けられる。
この二人の出会いをきっかけに都市伝説と呼ばれた少年が、本当の伝説へと駆け上っていく異世界戦記。
小説家になろう、カクヨムでも公開してましたが、この度アルファポリスでも公開することにしました。
異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)
勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
主人公は、勇者パーティーを追放されて辺境の地へと追放される。
そこで出会った魔族の少女と仲良くなり、彼女と共にスローライフを送ることになる。
しかし、ある日突然現れた魔王によって、俺は後継者として育てられることになる。
そして、俺の元には次々と美少女達が集まってくるのだった……。
アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。
その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。
世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。
そして何故かハンターになって、王様に即位!?
この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。
注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。
R指定は念の為です。
登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。
「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。
一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
そんなにホイホイ転生させんじゃねえ!転生者達のチートスキルを奪う旅〜好き勝手する転生者に四苦八苦する私〜
Open
ファンタジー
就活浪人生に片足を突っ込みかけている大学生、本田望結のもとに怪しげなスカウトメールが届く。やけになっていた望結は指定された教会に行ってみると・・・
神様の世界でも異世界転生が流行っていて沢山問題が発生しているから解決するために異世界に行って転生者の体の一部を回収してこい?しかも給料も発生する?
月給30万円、昇給あり。衣食住、必要経費は全負担、残業代は別途支給。etc...etc...
新卒の私にとって魅力的な待遇に即決したけど・・・
とにかくやりたい放題の転生者。
何度も聞いた「俺なんかやっちゃいました?」
「俺は静かに暮らしたいのに・・・」
「まさか・・・手加減でもしているのか・・・?」
「これぐらい出来て普通じゃないのか・・・」
そんな転生者を担ぎ上げる異世界の住民達。
そして転生者に秒で惚れていく異世界の女性達によって形成されるハーレムの数々。
もういい加減にしてくれ!!!
小説家になろうでも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる