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みんなが食べている間、僕はすることがもうなくなってしまうから、ちまちまご飯を頑張って食べようと思っていたのに、ユウちゃんが直ぐに自分の所へ持って行ってしまった。しかし、みんながお話してくれたので全然暇にならなかった。
多分、みんな僕に気を使ってくれていたんだと思う。
だって、1人だけもう何も食べないとすることなくなってしまうし…
でもご飯食べれなかったんだから、片付けくらいは手伝いたい。
僕に気を使わせてしまったお詫びもしたい……。
ダリアさん、ヘレンさん、ユウちゃんの順番でご飯を食べ終え、ヘレンさんはユウちゃんが食べ終わるのを確認すると、片付けするために立ち上がった。
「……っ!!」
あ、だめだ…やっぱり声が出ない……。
僕は勢いよく立ち上がるだけで、何も言えずに立ち尽くす。喉が急激に乾燥し、何かが喉に張り付いたような感じになって、声が出なくなってしまったのだ。
みんなはそんな僕に、訝しげな目を向ける。
「…どうしたの?」
ヘレンさんはすぐに優しい笑顔になって、僕に質問してくれる。
だけど、僕は……まだ声が出ない。
自分でもビックリするぐらい声が出ない。
もう……やだ。
自分が情けなくて、少し涙目になる。
すると、ユウちゃんが───
「あ、ヘレンさん。ミカも俺も、片付け位は手伝います!」
「…!
((コクコクコクコクッ!))」
ユウちゃんが察してヘレンさんに代弁してくれた。
僕が不甲斐ないばっかりに、ユウちゃんまで巻き込んでしまったけれど……。
「そう?でもお客さんだし、悪いわ~」
「いえ、美味しいご飯までご馳走いただいたので、お手伝いくらいさせて下さい!
ミカもそれが言いたかったみたいですし!」
「((コクコクコクコクッ!))」
ユウちゃんってエスパーかなにかなのだろうか?本当に。
僕の心を読めるとしか思えない。絶対そういう系のスキル持ってるでしょ!作ったでしょ!
「んーじゃあお言葉に甘えちゃおうかしら!
一緒にやりましょう!助かるわ!!」
「はい!頑張ります!」
「っ!!」
────片付けの手伝いを一通り終え、みんなで昨日の広場へと、片付けをしに向かうこととなった。
「皆さん、昨日は大変でしたね、ゆっくり休めましたか?
家が無事だった人、そうでない人。それぞれだと思います。ですが、こんな時です、力を合わせて修復作業、頑張りましょーう!」
「「「おーーー!」」」
村長と思しき人が広場の真ん中で声を張り、みんなに声をかける。
すると、広場に集まっていたたくさんの村人達が、一斉に声を上げる。
僕はそんな突然の大声に一瞬びくついてしまう。
そんな僕の一瞬を見逃さなかったユウちゃんが、僕の手を握って微笑みかけてくれる。
やっぱりユウちゃんは流石だな。僕なんてビビリで気も利かない。
勝手に不安になって、勝手におびえて。勝手に焦って。そうやって自分の都合で、人に迷惑をかけることしか出来ない。そして、それを怖くて声が出ないという情けない理由で、自分で謝罪することも出来ない。
もうほんと何やってんだろう。新しい人生、楽しく幸せに暮らそうと思ってたのに、結局過去に囚われて、何も出来ない。
ユウちゃんに迷惑をかけて、頼って、なんでもフォローしてもらって、また迷惑をかける。
ユウちゃんが僕に依存してるかもしれないなんて思ったけど、本当は全然違う。きっと僕の方がユウちゃんに依存してる。いや、寄生してるのかもしれない。
……ユウちゃんとは前に“とにかく悩みがあったら相談する”ってのと、“マイナスなふうに考えないでポジティブに、楽観的に考えよう”ってのを約束したのに、ここに来てから全然守れてない。
相談もできてないし、情けなくてしたくない。
マイナスに考えなくてポジティブに、楽観的に考えるのも、森の間はできてたかもしれないけど、森を出るとできてない。
ずっと漠然と来る不安感に押しつぶされそうで、マイナスに考えてしまう。
何が不安かもわかんない。
きっとこんなこと相談する価値もない。だって何が不安なのかを先ずわかっていないから。
ずっとある謎の不安感から、考えがマイナスになっていく。泊めてもらっているというのが申し訳なくて、迷惑をかけているんじゃないかと不安になる。でもそれは、謎の不安感とはまた別で。
もう頭の中がぐちゃぐちゃで。どうすればいいのか分からない。同じことがずっとぐるぐるぐるぐると駆け巡る。
小さな、なんでもない様な一つ一つが、僕の中ではとても大きな不安や恐怖にに変換される。
知らない人の気配が常に沢山あるのが怖い。
この村そのものがもう怖い。
ヘレンさんとダリアさんが怖い。
親切にしてくる人の裏の顔を想像して、勝手に怖くなる。想像であって欲しいのに、現実だったら、と不安になる。
親切にしてくる人の事をそんなふうに考えてしまう自分が嫌で、ユウちゃんに嫌われないか不安になる。
もうずっと同じことを考えては、気分が悪くなっている。頭が痛くなっている。
でも、思考を止めることが出来ない。
ずっとずっと考えて、ぐるぐるぐるぐるし続けて……
「──カ!……ミカ!」
……ハッ!
肩を掴まれて我に返る。
「…ユウ、ちゃん?」
ユウちゃんが心配そうに僕の顔を覗き込んでいた。
「しばらく揺すってやっとかよ…」
「え?」
「ミカ、何度呼んでも反応しなかった」
「あ……」
全然気づかなかった。
僕は揺すられてたんだ。急に肩を掴まれたと思ったのに、掴まれていることに急に気が付いたからそんなふうに思ったのか…。
また、ぼーっとして、ユウちゃんに迷惑をかけてしまったのか。
「ユウちゃん、ごめんなさい…」
「いや、いいよ。
………いや、やっぱり後でじゃなくて今話そう。な?」
「え?」
「何を悩んでるのか聞かせてもらう」
「で、でも、僕達お手伝い要因で連れてこられたんだよね?」
「昨日散々火を消して、鎮火させたのは俺達だ。
今日1日ぐらい休ませてもらったってきっと怒られないよ。
怒られたとしても問題ない。ミカの体調の方が大事!」
「…体調は、問題ないよ?」
「…こっちも含まれてるよ」
「あ……」
ユウちゃんは僕の胸に指を指してきた。
きっと、悩みの方。心の体調ってことだと思う。
でも、こんなこと話したって何にもならない。
きっと嫌われるだけ。面倒くさがられる。
嫌われたくないよぉ……
多分、みんな僕に気を使ってくれていたんだと思う。
だって、1人だけもう何も食べないとすることなくなってしまうし…
でもご飯食べれなかったんだから、片付けくらいは手伝いたい。
僕に気を使わせてしまったお詫びもしたい……。
ダリアさん、ヘレンさん、ユウちゃんの順番でご飯を食べ終え、ヘレンさんはユウちゃんが食べ終わるのを確認すると、片付けするために立ち上がった。
「……っ!!」
あ、だめだ…やっぱり声が出ない……。
僕は勢いよく立ち上がるだけで、何も言えずに立ち尽くす。喉が急激に乾燥し、何かが喉に張り付いたような感じになって、声が出なくなってしまったのだ。
みんなはそんな僕に、訝しげな目を向ける。
「…どうしたの?」
ヘレンさんはすぐに優しい笑顔になって、僕に質問してくれる。
だけど、僕は……まだ声が出ない。
自分でもビックリするぐらい声が出ない。
もう……やだ。
自分が情けなくて、少し涙目になる。
すると、ユウちゃんが───
「あ、ヘレンさん。ミカも俺も、片付け位は手伝います!」
「…!
((コクコクコクコクッ!))」
ユウちゃんが察してヘレンさんに代弁してくれた。
僕が不甲斐ないばっかりに、ユウちゃんまで巻き込んでしまったけれど……。
「そう?でもお客さんだし、悪いわ~」
「いえ、美味しいご飯までご馳走いただいたので、お手伝いくらいさせて下さい!
ミカもそれが言いたかったみたいですし!」
「((コクコクコクコクッ!))」
ユウちゃんってエスパーかなにかなのだろうか?本当に。
僕の心を読めるとしか思えない。絶対そういう系のスキル持ってるでしょ!作ったでしょ!
「んーじゃあお言葉に甘えちゃおうかしら!
一緒にやりましょう!助かるわ!!」
「はい!頑張ります!」
「っ!!」
────片付けの手伝いを一通り終え、みんなで昨日の広場へと、片付けをしに向かうこととなった。
「皆さん、昨日は大変でしたね、ゆっくり休めましたか?
家が無事だった人、そうでない人。それぞれだと思います。ですが、こんな時です、力を合わせて修復作業、頑張りましょーう!」
「「「おーーー!」」」
村長と思しき人が広場の真ん中で声を張り、みんなに声をかける。
すると、広場に集まっていたたくさんの村人達が、一斉に声を上げる。
僕はそんな突然の大声に一瞬びくついてしまう。
そんな僕の一瞬を見逃さなかったユウちゃんが、僕の手を握って微笑みかけてくれる。
やっぱりユウちゃんは流石だな。僕なんてビビリで気も利かない。
勝手に不安になって、勝手におびえて。勝手に焦って。そうやって自分の都合で、人に迷惑をかけることしか出来ない。そして、それを怖くて声が出ないという情けない理由で、自分で謝罪することも出来ない。
もうほんと何やってんだろう。新しい人生、楽しく幸せに暮らそうと思ってたのに、結局過去に囚われて、何も出来ない。
ユウちゃんに迷惑をかけて、頼って、なんでもフォローしてもらって、また迷惑をかける。
ユウちゃんが僕に依存してるかもしれないなんて思ったけど、本当は全然違う。きっと僕の方がユウちゃんに依存してる。いや、寄生してるのかもしれない。
……ユウちゃんとは前に“とにかく悩みがあったら相談する”ってのと、“マイナスなふうに考えないでポジティブに、楽観的に考えよう”ってのを約束したのに、ここに来てから全然守れてない。
相談もできてないし、情けなくてしたくない。
マイナスに考えなくてポジティブに、楽観的に考えるのも、森の間はできてたかもしれないけど、森を出るとできてない。
ずっと漠然と来る不安感に押しつぶされそうで、マイナスに考えてしまう。
何が不安かもわかんない。
きっとこんなこと相談する価値もない。だって何が不安なのかを先ずわかっていないから。
ずっとある謎の不安感から、考えがマイナスになっていく。泊めてもらっているというのが申し訳なくて、迷惑をかけているんじゃないかと不安になる。でもそれは、謎の不安感とはまた別で。
もう頭の中がぐちゃぐちゃで。どうすればいいのか分からない。同じことがずっとぐるぐるぐるぐると駆け巡る。
小さな、なんでもない様な一つ一つが、僕の中ではとても大きな不安や恐怖にに変換される。
知らない人の気配が常に沢山あるのが怖い。
この村そのものがもう怖い。
ヘレンさんとダリアさんが怖い。
親切にしてくる人の裏の顔を想像して、勝手に怖くなる。想像であって欲しいのに、現実だったら、と不安になる。
親切にしてくる人の事をそんなふうに考えてしまう自分が嫌で、ユウちゃんに嫌われないか不安になる。
もうずっと同じことを考えては、気分が悪くなっている。頭が痛くなっている。
でも、思考を止めることが出来ない。
ずっとずっと考えて、ぐるぐるぐるぐるし続けて……
「──カ!……ミカ!」
……ハッ!
肩を掴まれて我に返る。
「…ユウ、ちゃん?」
ユウちゃんが心配そうに僕の顔を覗き込んでいた。
「しばらく揺すってやっとかよ…」
「え?」
「ミカ、何度呼んでも反応しなかった」
「あ……」
全然気づかなかった。
僕は揺すられてたんだ。急に肩を掴まれたと思ったのに、掴まれていることに急に気が付いたからそんなふうに思ったのか…。
また、ぼーっとして、ユウちゃんに迷惑をかけてしまったのか。
「ユウちゃん、ごめんなさい…」
「いや、いいよ。
………いや、やっぱり後でじゃなくて今話そう。な?」
「え?」
「何を悩んでるのか聞かせてもらう」
「で、でも、僕達お手伝い要因で連れてこられたんだよね?」
「昨日散々火を消して、鎮火させたのは俺達だ。
今日1日ぐらい休ませてもらったってきっと怒られないよ。
怒られたとしても問題ない。ミカの体調の方が大事!」
「…体調は、問題ないよ?」
「…こっちも含まれてるよ」
「あ……」
ユウちゃんは僕の胸に指を指してきた。
きっと、悩みの方。心の体調ってことだと思う。
でも、こんなこと話したって何にもならない。
きっと嫌われるだけ。面倒くさがられる。
嫌われたくないよぉ……
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