自由に、そして幸せに。

あめ

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しばらく全力ダッシュをしていたので、さっきの位置からは大分離れ“もう大丈夫だ”という辺りまで来た。

そうしてユウは身体に負担がかからないように、少しずつ速度を落としてからゆっくりと止まった。

「はぁはぁは…っはぁぁ~~~っここまで来れば大丈夫だろ((チラッ))……うん。大丈夫そうだ。
……よかった~~」
ユウはゆっくりと後ろを確認し、ホッとしたような声で小さく呟いた。

止まったユウを見て僕も止まった。ユウとは違いゆっくりではなく、ピタッと止まった。

ヘトヘトに疲れている為“速度を落としてからゆっくり止まる”なんて器用なことは出来なかった。

「はぁはぁはぁはぁ……はぁぁぁ~~~…はぁっ..はぁっ..はぁっ..」
僕は途中から同じ速度で走ることができず、ユウの少し後ろの辺りで止まった。

後ろにいた為、ユウが後ろを確認した時のホッとしたような表情が見えた。
その表情から何も着いて来ていないのだろうと思い、僕も安心した。
その事を喜びたいが、呼吸を整えるのに精一杯で何も話せなかった。

「はぁっ..はぁっ..はぁっ..はぁぁ~~っ…はぁっ..はぁっ..はぁっ..」
「大丈夫?…すごい汗だな。
俺も汗でぐしょぐしょだ…。さっき緊張した時に吹きでた汗と走って出た汗で…….
せっかくミカがキレイにしてくれたのにな((しゅん))」

ユウは僕を気遣い背中をさすってくれた。
そして、しれっと《創造》でふわふわのタオルを作り、僕の止まらない汗を優しく拭ってくれた。ありがとう!!
優しすぎる……さり気ない気遣い…流石だ……。

それにしゅんとした表情がはちゃめちゃに可愛い。5歳の可愛さ補整自覚して?!
と言うか……なに?
……汗かいたのが気持ち悪くてしゅんとするんじゃなくて、そんな理由でしゅんとするんだ?……ふーん……ほんとにもうむりなんですけど……
ユウさんや……頼むから自重してください…

子どもの見ためになったユウちゃんの可愛さレベルと攻撃力は格段に上がった。
そろそろ《可愛さ耐性スキル》なんてものが出来てしまってもおかしくないと思う。
ほんとに、ほんとによ。いつかできるよ、まじで。

僕は呼吸を整えている傍らに頭の端の方と、心のど真ん中を使ってそんなことを考えていた。



そうこうしていると呼吸も大分落ち着いてきた。

「はふぅぅ~~……ありがとう、だいぶ落ち着いた。」
「ん、よかった」
「……ふぅ~、それで?何がいたの?相当焦ってたけど」
後で教えてくれると言っていたのできいてみた。

「・・・・・・・・・・・・なんかよくわからん奴」
「???……え?…なに?何がいたの?」
「だから、だからなっ?なんかよくわからん奴がいたんだよ!なんかよくわからん奴が!」
「よくわからん奴ってなに?!さっぱりわからんのだけどっ?」
「そんな事言われても……」
「・・・・・・どんな見た目してたの?」
「………それもわからん」
「わからんって……何かいたんでしょ?」
「いた。ちゃんといた。が」

ユウは“なにか”を、強調し神妙な面持ちで答えた。

「えー………んー……一体何を見たのさ…。
どんな見た目かわからなくても、どんな感じだったかは分からない?
存在を認識しただけって感じ?
そこになにかいるのは分かるけど見えない、みたいな」
何を見たのか分からないって言われても、そういうことだとしたらまぁ納得出来る。
しかしユウのこたえはちがった。

「みた、みたんだ。ちゃんと。
みて、ヤバいとも思って、走った」

ユウの説明じゃ見えることは分かった。なんかやばいってのも分かった。けど何がどうやばいのか全く分からない。
僕の中で何もイメージできていない。

「…………さっぱりわからん。何か見たならもっと詳しく話せない?」
「詳しく……
なんかこう……もやもや~っとしてて…それで…なんかこう……四足歩行っぽい奴と………二足歩行っぽいやつ……が……いた、とおもう……?」

「…そう、そういうの。でもなんで疑問形なの?ユウが見たんでしょ?((クスクス))まぁいいや。
その、もやもや~ってのはなに?どんな感じ?」

やっとちょっと分かりやすいのがでてきた。
もやもや~ってのはちょっと分からないけど、四足歩行とか二足歩行とか…つまり2体いたんだよね。

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