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第五十七話 貴族家ご到着 することとしたいこと
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追記
前話のウルドのセリフを変更いたしました
確認の上、お読みいただけると幸いです
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そこで靴を脱いでね。先ずはその荷物を片付けますか」
ユーリたちを家にあげて、彼女たちの部屋を決めることにした。荷物を手元に抱えたままでは寛げないからね。
「ユーリさん、靴脱いだらこれを履いて……」
どこから出したのか、ユーリがシンプルな椅子に座りメイドのアンナにブーツの紐を解かせていた。
「あれ? 椅子なんて有ったっけ?」
思わず素が出て、固まった俺。
「こういう事態も有ろうかと、常に持ち歩いております」
との、セバンからの説明を受け、そう、と半ば呆れて返事を返す。
どんな事態だよ! と、本当は大声でツッコミたかった。
「まぁ、いいや。部屋用スリッパに履き替えたら二階の部屋に案内するね」
本来なら希望の部屋にしたいのだが、どの階を選んでも困る点がある。
一階はスズメの宿の名残からエリーとキャロの部屋が。二階は俺とラフィア、新たにルナの部屋が。三階はミーナとシンシアの部屋が有るのだ。ユーリの事だからあまり身分は気にはしないだろうが、俺とラフィアを除く彼女たちが困るのは目に見えている。一緒の家に住むのだから結局は同じかもしれないが、ストレスは少ないに限る。なので、被害が一番少ないだろう二階をユーリたちの部屋にしたわけだ。
「助かるわ。しかし、家の中で靴を脱ぐなんて変わっているのね」
ドレスにスリッパと言うちぐはぐな格好となったユーリ。余程珍しかったのだろう。
「故郷の習慣でね。雨が多かったせいだと思う」
「晴成君の居た西の森って、そんなに雨が多いの?」
「いえ、奥様、西の森はこの町とそれほど気候に差が無いはずですが」
あ、雨云々は日本の頃の話だ……
「三年前に西の森に移住したんだ。故郷の話はそれ以前の話だよ」
慌てて取り繕った話に納得いったようで、ユーリは、大変だったのね、と憐憫の情を寄せた。
どうも大げさに伝わったような気がする……
◇◆◇◆
全員が家に上がったところで、とっさに決めた部屋に案内する。ユーリ、ウルド、アンナそれぞれ一部屋ずつ割り当てた。
「建物も綺麗だし、太陽の光がこんなに差し込むなんてガラスなんてうちより確実に良質よね」
貴族であるユーリには狭すぎるかとは思ったのだが、意外にも高評価だった。一方、アンナは自分の部屋が有って恐縮してたよ。
「メイドの私にも部屋を貸していただき、ありがとうございます」
自分の荷物に加え、ユーリたちの荷物を持ちながら、深々と頭を下げていた。
ウルドに関しては色々悩んだのだが、貴族が十畳の部屋に二人というのは狭いだろう、と考え、結局一人部屋にした。ただ、礼は言われたのだが、淡々としている、と感じた。環境の変化についていけてないのかもしれない。折を見て、感想を聞くのが良いのかもしれない。
◇◆◇◆
「晴成さん、お茶を準備しておきました」
リビングではエリーがお茶を準備してくれていたみたいだ。茶菓子も地球産が添えてあった。ラフィアが気を利かせてくれたのかな?
俺は彼女たちに礼を言って、みんなを椅子に座るように促した。
「いえ、私は執事の身なので、主家の方と同座するのは勿体なく思います」
「私もメイドの身なので同じく同座は遠慮させてもらいます」
と、セバンとアンナは頑として座らない。主家の者と同座することは烏滸がましいと考えているようだ。
無理にこちらの流儀を押し付けるほどでもないので、彼らの好きにさせた。
好きにさせるはいいが、少し場が固い。とりあえず、お茶をどうぞ、と勧め、場を和らげたい。
「ありがとう。頂くわね」
ユーリにこやかに返事を返す。俺も無駄に緊張したのか、お茶を口にする。
「何これ? 今まで食べたどのお菓子よりも美味しいんだけど! それに、このお茶。少し渋いのだけど、お菓子によく合うわ!」
ブフッ
「けほっけほっ……ごめん」
ユーリがいきなり大声を出すので驚いて噴いてしまった。
「ごめんなさい、いきなり大きな声をあげて」
彼女が申し訳なさそうに謝る。俺はジェスチャーで、大丈夫、と伝えた。
まだ少し咽ていると、ラフィアが背中をさすってくれ、エリーは俺にハンカチを、ルナは布巾でテーブルを拭いてくれていた。キャロは、大丈夫? と心配そうにのぞき込んでいる。
「お見苦しい所をお見せいたしました。ともあれ、ユーリさんがお茶とお菓子を気に入ってくれてよかったです」
体裁を整えつつ、ラフィアと反対側に座るキャロの頭を撫でる。彼女は嬉しそうにしていた。
「大変に気に入ったわ。これはどこで売っているのかしら」
目を輝かせて聞くユーリ。
「今度紹介するダンジョンで手に入ると思いますよ」
彼女は、そうなのね、と期待を胸に膨らませていた。
「それで、全員が揃っているわけでは無いけど、いるメンバーでとりあえずの顔合わせ。その後はそれぞれの予定の確認と家の中の案内かな? あ、それとこの家のルールも教えておかないとね」
「そうね、順番にお願いできるかしら」
ユーリの言葉に、良いよ、と返す。
俺、ラフィア、エリー、キャロ、ルナと順番に自己紹介をして、全員俺の嫁だと説明をする。
「その年で複数の女性を娶るなんて貴族でも見たことないわ……それにエリーは若いとは思うけど子供連れ。貴女も良く決心したものね……」
と、ユーリにちょっと驚かれ、アンナは口を開けて呆けていた。ただ、セバンは当然です、といった顔で頷いていた。因みにウルドはよく分かっていない様子だった。
「で、こっちが俺の従魔、ハチとキュー。ピイもいるのだが、今は出払っているよ」
紹介に合わせて頭を下げるハチたち。傍から見たら賢い動物である。
「次いで、この家のルールなのだけど、基本的には仲良くしてもらえれば大丈夫。ただ、身分による命令はやめて欲しい。貴族でも奴隷でも、この家では身分に関係なくみな平等です」
ユーリたちには少し理解し難い考え方かもしれない。が、この家で過ごす以上はこのルールに従ってもらうつもりだ。というか、そうでないと困る。
「分かったわ。とてもいい考えだわ。常々疑問だったのよね、同じ行為をしていながら身分によって罰が違う事が」
ユーリが即答する。一番理解してもらえないかも、と思っていただけに彼女の反応にかなり驚いた。寧ろ、エリーやルナの方が狼狽えていたよ。
俺たちの自己紹介と、家の簡単なルールを説明したところで、ユーリ達の紹介となった。
「では、私からね。私はユーリ・ラートム。夫は此の領の領主である、エウラドル・ラートム。子供は娘と息子が一人ずついるわ。皆さん、仲良くしてくださいね」
ユーリは軽く頭を下げると、ウルドに順番を促した。
「僕はウルド・ラートムです。母共々お世話になります」
少し大人びた話し方をするウルド。貴族だからか、他人の家だからか、母親の前だからか、少し肩に力が入っている気がする。
「私はセバンと申します。ラートム家で執事を務めております。今後、侯爵家の使い等で顔を合わせることが有るかと思います」
「メイドのアンナです。普段は奥様方の身の回りの世話になりますが、何かあればお申しつけください。出来る限りのお手伝いをさせていただきます」
セバンとアンナが深々と頭を下げる。一通り、お互いの挨拶が終わったのだが、エリーとルナは最初から最後まで恐縮しっぱなしで、何度も頭を下げて兎に角気が休まらなかったようだ。
俺は、その気持ちはよく分かる。地球に居た頃はこんな風だったから、と少し追憶していた。
「それで、今日の予定なのだけど、俺は昼前には一度ギルドに行って、ミーナたちに弁当を届けないといけない。ギルマスや侯爵にもダンジョンの件で伝えたいことがあるしね」
実は、メーダスが昨日のうちにダンジョンまでのルートを確保してくれていた。
曰く、簡単ですよ。だって……
「晴成さん、外に行くのならお肉をお願いしても良いですか? 此処の新築祝いもルナやミーナたちの歓迎会もしてませんし、折角なのでユーリさん方の歓迎会を兼ねてしたいのですが、少し心許なく……」
「了解。適当に狩ってくるけど良い?」
「ええ、お願いします。後、夕食の仕込みに間に合うように昼過ぎまでに戻ってきてもらえると助かります」
俺は、分かった、と返事を返す。
《ねぇ、マスター、それなら豚も欲しいよね》
(りょ。索敵は任した)
「ユーリさんたちは何かしたいことある?」
「そうねぇ……折角、家出したのだから料理とかしてみたいわ」
「僕、魔法の練習がしたいです」
フムフム。料理はともかく魔法の練習ねぇ……
どこでしたものか、と頭を悩ませていると、ルナが申し訳なさそうに手をあげる。
「ダーリン、私、前の宿に行って荷物取ってきたい……」
あ、忘れてた。昨日、色々あったからそのままうちに泊まってもらったんだ。
「了解。ラフィア、荷物を運ぶのを手伝ってあげて。それと、エリーはユーリさんに料理を教えてあげて。アンナも出来るならお願いね。セバンは時間ある? 大丈夫ならウルドを冒険者ギルドで魔法の練習をさせたいから付き添って欲しいけど、問題ない?」
それぞれに確認すると問題ないとの答えが返ってきた。
「じゃぁ、家の中を簡単に説明したらそれぞれのすることをしようか」
「「「はい(ええ)」」」
みんなから了承の返事を受けて、俺は部屋を案内することにした。
前話のウルドのセリフを変更いたしました
確認の上、お読みいただけると幸いです
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「そこで靴を脱いでね。先ずはその荷物を片付けますか」
ユーリたちを家にあげて、彼女たちの部屋を決めることにした。荷物を手元に抱えたままでは寛げないからね。
「ユーリさん、靴脱いだらこれを履いて……」
どこから出したのか、ユーリがシンプルな椅子に座りメイドのアンナにブーツの紐を解かせていた。
「あれ? 椅子なんて有ったっけ?」
思わず素が出て、固まった俺。
「こういう事態も有ろうかと、常に持ち歩いております」
との、セバンからの説明を受け、そう、と半ば呆れて返事を返す。
どんな事態だよ! と、本当は大声でツッコミたかった。
「まぁ、いいや。部屋用スリッパに履き替えたら二階の部屋に案内するね」
本来なら希望の部屋にしたいのだが、どの階を選んでも困る点がある。
一階はスズメの宿の名残からエリーとキャロの部屋が。二階は俺とラフィア、新たにルナの部屋が。三階はミーナとシンシアの部屋が有るのだ。ユーリの事だからあまり身分は気にはしないだろうが、俺とラフィアを除く彼女たちが困るのは目に見えている。一緒の家に住むのだから結局は同じかもしれないが、ストレスは少ないに限る。なので、被害が一番少ないだろう二階をユーリたちの部屋にしたわけだ。
「助かるわ。しかし、家の中で靴を脱ぐなんて変わっているのね」
ドレスにスリッパと言うちぐはぐな格好となったユーリ。余程珍しかったのだろう。
「故郷の習慣でね。雨が多かったせいだと思う」
「晴成君の居た西の森って、そんなに雨が多いの?」
「いえ、奥様、西の森はこの町とそれほど気候に差が無いはずですが」
あ、雨云々は日本の頃の話だ……
「三年前に西の森に移住したんだ。故郷の話はそれ以前の話だよ」
慌てて取り繕った話に納得いったようで、ユーリは、大変だったのね、と憐憫の情を寄せた。
どうも大げさに伝わったような気がする……
◇◆◇◆
全員が家に上がったところで、とっさに決めた部屋に案内する。ユーリ、ウルド、アンナそれぞれ一部屋ずつ割り当てた。
「建物も綺麗だし、太陽の光がこんなに差し込むなんてガラスなんてうちより確実に良質よね」
貴族であるユーリには狭すぎるかとは思ったのだが、意外にも高評価だった。一方、アンナは自分の部屋が有って恐縮してたよ。
「メイドの私にも部屋を貸していただき、ありがとうございます」
自分の荷物に加え、ユーリたちの荷物を持ちながら、深々と頭を下げていた。
ウルドに関しては色々悩んだのだが、貴族が十畳の部屋に二人というのは狭いだろう、と考え、結局一人部屋にした。ただ、礼は言われたのだが、淡々としている、と感じた。環境の変化についていけてないのかもしれない。折を見て、感想を聞くのが良いのかもしれない。
◇◆◇◆
「晴成さん、お茶を準備しておきました」
リビングではエリーがお茶を準備してくれていたみたいだ。茶菓子も地球産が添えてあった。ラフィアが気を利かせてくれたのかな?
俺は彼女たちに礼を言って、みんなを椅子に座るように促した。
「いえ、私は執事の身なので、主家の方と同座するのは勿体なく思います」
「私もメイドの身なので同じく同座は遠慮させてもらいます」
と、セバンとアンナは頑として座らない。主家の者と同座することは烏滸がましいと考えているようだ。
無理にこちらの流儀を押し付けるほどでもないので、彼らの好きにさせた。
好きにさせるはいいが、少し場が固い。とりあえず、お茶をどうぞ、と勧め、場を和らげたい。
「ありがとう。頂くわね」
ユーリにこやかに返事を返す。俺も無駄に緊張したのか、お茶を口にする。
「何これ? 今まで食べたどのお菓子よりも美味しいんだけど! それに、このお茶。少し渋いのだけど、お菓子によく合うわ!」
ブフッ
「けほっけほっ……ごめん」
ユーリがいきなり大声を出すので驚いて噴いてしまった。
「ごめんなさい、いきなり大きな声をあげて」
彼女が申し訳なさそうに謝る。俺はジェスチャーで、大丈夫、と伝えた。
まだ少し咽ていると、ラフィアが背中をさすってくれ、エリーは俺にハンカチを、ルナは布巾でテーブルを拭いてくれていた。キャロは、大丈夫? と心配そうにのぞき込んでいる。
「お見苦しい所をお見せいたしました。ともあれ、ユーリさんがお茶とお菓子を気に入ってくれてよかったです」
体裁を整えつつ、ラフィアと反対側に座るキャロの頭を撫でる。彼女は嬉しそうにしていた。
「大変に気に入ったわ。これはどこで売っているのかしら」
目を輝かせて聞くユーリ。
「今度紹介するダンジョンで手に入ると思いますよ」
彼女は、そうなのね、と期待を胸に膨らませていた。
「それで、全員が揃っているわけでは無いけど、いるメンバーでとりあえずの顔合わせ。その後はそれぞれの予定の確認と家の中の案内かな? あ、それとこの家のルールも教えておかないとね」
「そうね、順番にお願いできるかしら」
ユーリの言葉に、良いよ、と返す。
俺、ラフィア、エリー、キャロ、ルナと順番に自己紹介をして、全員俺の嫁だと説明をする。
「その年で複数の女性を娶るなんて貴族でも見たことないわ……それにエリーは若いとは思うけど子供連れ。貴女も良く決心したものね……」
と、ユーリにちょっと驚かれ、アンナは口を開けて呆けていた。ただ、セバンは当然です、といった顔で頷いていた。因みにウルドはよく分かっていない様子だった。
「で、こっちが俺の従魔、ハチとキュー。ピイもいるのだが、今は出払っているよ」
紹介に合わせて頭を下げるハチたち。傍から見たら賢い動物である。
「次いで、この家のルールなのだけど、基本的には仲良くしてもらえれば大丈夫。ただ、身分による命令はやめて欲しい。貴族でも奴隷でも、この家では身分に関係なくみな平等です」
ユーリたちには少し理解し難い考え方かもしれない。が、この家で過ごす以上はこのルールに従ってもらうつもりだ。というか、そうでないと困る。
「分かったわ。とてもいい考えだわ。常々疑問だったのよね、同じ行為をしていながら身分によって罰が違う事が」
ユーリが即答する。一番理解してもらえないかも、と思っていただけに彼女の反応にかなり驚いた。寧ろ、エリーやルナの方が狼狽えていたよ。
俺たちの自己紹介と、家の簡単なルールを説明したところで、ユーリ達の紹介となった。
「では、私からね。私はユーリ・ラートム。夫は此の領の領主である、エウラドル・ラートム。子供は娘と息子が一人ずついるわ。皆さん、仲良くしてくださいね」
ユーリは軽く頭を下げると、ウルドに順番を促した。
「僕はウルド・ラートムです。母共々お世話になります」
少し大人びた話し方をするウルド。貴族だからか、他人の家だからか、母親の前だからか、少し肩に力が入っている気がする。
「私はセバンと申します。ラートム家で執事を務めております。今後、侯爵家の使い等で顔を合わせることが有るかと思います」
「メイドのアンナです。普段は奥様方の身の回りの世話になりますが、何かあればお申しつけください。出来る限りのお手伝いをさせていただきます」
セバンとアンナが深々と頭を下げる。一通り、お互いの挨拶が終わったのだが、エリーとルナは最初から最後まで恐縮しっぱなしで、何度も頭を下げて兎に角気が休まらなかったようだ。
俺は、その気持ちはよく分かる。地球に居た頃はこんな風だったから、と少し追憶していた。
「それで、今日の予定なのだけど、俺は昼前には一度ギルドに行って、ミーナたちに弁当を届けないといけない。ギルマスや侯爵にもダンジョンの件で伝えたいことがあるしね」
実は、メーダスが昨日のうちにダンジョンまでのルートを確保してくれていた。
曰く、簡単ですよ。だって……
「晴成さん、外に行くのならお肉をお願いしても良いですか? 此処の新築祝いもルナやミーナたちの歓迎会もしてませんし、折角なのでユーリさん方の歓迎会を兼ねてしたいのですが、少し心許なく……」
「了解。適当に狩ってくるけど良い?」
「ええ、お願いします。後、夕食の仕込みに間に合うように昼過ぎまでに戻ってきてもらえると助かります」
俺は、分かった、と返事を返す。
《ねぇ、マスター、それなら豚も欲しいよね》
(りょ。索敵は任した)
「ユーリさんたちは何かしたいことある?」
「そうねぇ……折角、家出したのだから料理とかしてみたいわ」
「僕、魔法の練習がしたいです」
フムフム。料理はともかく魔法の練習ねぇ……
どこでしたものか、と頭を悩ませていると、ルナが申し訳なさそうに手をあげる。
「ダーリン、私、前の宿に行って荷物取ってきたい……」
あ、忘れてた。昨日、色々あったからそのままうちに泊まってもらったんだ。
「了解。ラフィア、荷物を運ぶのを手伝ってあげて。それと、エリーはユーリさんに料理を教えてあげて。アンナも出来るならお願いね。セバンは時間ある? 大丈夫ならウルドを冒険者ギルドで魔法の練習をさせたいから付き添って欲しいけど、問題ない?」
それぞれに確認すると問題ないとの答えが返ってきた。
「じゃぁ、家の中を簡単に説明したらそれぞれのすることをしようか」
「「「はい(ええ)」」」
みんなから了承の返事を受けて、俺は部屋を案内することにした。
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