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第二話 担当したのは女神様

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「初めまして、雨宮晴成様。わたくし、創造神ザーナ様の眷属にてラフィアと申します。不束者ですが末永くよろしくお願いいたします」

 声の方へと目を向けると、絶世の美女が立っていた。
 遮蔽物がないこの空間で、どこに隠れていたんだか。まったく、この空間に予備動作は存在しないのか?

「いかがいたしました? 雨宮様」

 首を傾げる彼女に、しどろもどろながらも俺は体裁を取り繕った。
 新卒者ほどの若々しさと、グラマラスな体形。おまけに誰もが認める(はずの)美少女とくれば、見惚れて返事が出来ないのも致し方ない。

「じゃぁ、僕はもう行くからね。ラフィア、後のことはよろしく」

「はい、ザーナ様」

 ラフィアが深々と頭を下げると、ザーナはすぅ、と姿を消した。

「おぉう、消えるんかい……」

 ちょっとビビったわ……

「そうですね『知らない方が面白いから任せるからよろしくね』と申されてましたし、力の譲渡も済みましたから」

 俺の変なツッコミに真面目に答えるラフィア。なんだか、面倒な仕事を押し付けられた部下みたいで可哀想な気がしてきた……

「えぇっと、ラフィアさん現状を確認したいけど良いかな?」

 若い子に話しかけるのは緊張するわぁ……しかもとびっきりの綺麗な子とくれば尚更だ。

「雨宮様、わたくしの事は呼び捨てで十分ですよ。ザーナ様が招いた賓客なのですから、わたくしにさん付けなど不要です」

 あれ? 神の世界ってかなりの封建社会? あぁ、でも四天王は帝釈天の部下だし……さっきのザーナも絶対感あったし、そうかも……

「そ、そうか……じゃぁ、ラフィアも俺の事を様付で呼ぶのはなしにしない? なんか堅苦しいっていうか、距離感あるっていうか……ついでに名前で呼んでくれると嬉しいかな……なんて……」

 女の子に名前で呼んでもらえる親密感……憧れなんだよね。それに、こんな綺麗な子と折角お知り合いになれたのに、営業対応だけでは侘しすぎるでしょ……

「そ、そうですか? えぇっと……では、晴成さん、なんて如何でしょう」

 余程無理難題だったのか、困り顔で尋ねてくる。
 少し首を傾げた仕草に、萌えるものを感じるよ!

「固いなぁ、ラフィア。もっとフレンドリーに話して欲しいな」

 ここは調子に乗ってみた。主人の客という立場なら、多少の無理は通ると踏んだよ。

「そんな杜撰な対応してザーナ様にお叱りを受けないかしら……」

 少しオロオロしている姿がまた可愛い。
 やばい、これって、好きな子にはいじめたくなる現象か?

「良いの良いの。俺からの無理難題に応えたことにしとけば十分だよ」

「そ、そうですか?」

 その可愛い仕草に、俺は大きく首を縦に振る。鼻の下伸びてないだろうか……

「じゃぁ、晴成さん……こんな感じでいいですか?」

「いいね!」

 人生最良の日かも……

「えぇっと、現状確認でしたよね。まず、晴成さんはザーナ様の業の再現と、力の譲渡の影響で、種族が“亜神” になります。なので此処より下層の天界へのアクセスが可能となります」

 あじん? ケモミミとか付くの?

「亜人って、ケモミミの事でしょ? それに天界のアクセスって……ケモ民たちスゲェ……」

 ほう、と感心していると、ラフィアから慌てて訂正が入った。

「あ、違います。亜神は神の方です。種族ランク的に神の下で竜族の上になります。なので、肉体はピーク時で成長が止まりほぼ不老となります」

 すでに人間やめてしまったのね……ま、神昇格ルートも悪くないし、いっかなぁ……

「それと戦闘系と生産系のチートスキル、魔法適正はこちらである程度用意しました。と言っても初期は弱いのであまり過信せずに、レベルアップを図ってください」

 ほうほう、フムフム……準備が良いことで、助かるね。

「ほか、要望があれば可能な限り対応します。例えば転生時に王族にするなどですね……」

 ラフィアって、かなり出来る女なんだね。それじゃぁ、要望を出すだけ出してみるかな。

「えっと、地球のものをグラドーンに運ぶことは出来る?できれば大量かつ定期的に」

 俺は内政チートもしたい。なので地球のものが運べるのならこの上なく生活レベルが向上するというものだ。未来の嫁たちのためにも……って、嫁来るかなぁ……

「うーん、それならダンジョンが適している可能性が高いかと。ダンジョンポイントはある意味不思議ポイントなので、地球からのものが手に入るとは思うのですが……」

 なんだか歯切れが悪いな。リスクが高いのか、デメリットが大きいのか?

「その……ダンジョンマスターは色々縛りがありまして、世界を冒険するには余り適してないのです」

 まぁ、そうか。あれ、究極の引きこもりだし……

「そこは新しく誰かを立てよう。できれば深層型以外にもフィールド型と塔型をなるべく広域に作りたいかな。生産チートのためにも」

「なるほど、それなら後で担当者を決めましょう。他にありますか?」

「えっとね、こんなスキルが欲しいんだけど……いける?」

 俺は昔書いていたラノベ用のスキルをラフィアに話した。

「面白いスキルですね。これらは新スキルに設定しましょう」

 設定って、ゲームかよ? と思ったが、そもそもスキルや魔法は神の加護の一部なんだと。だから神の力に包まれて生きる者たちは人であれ、魔物であれ、スキルや魔法が使えるというのだ。

「それと転生時は7歳位で、近くに人の良いなるべく身分が高い貴族がいる所が良いかな? あ、でも王族はパスで」

 ラフィアが中空とにらめっこしている。マップでも出して探してるのかな?

「それとラフィアは一緒に来れるの?」

「へ? わたくしですか?」

 ラフィアが驚いた顔している。やっぱり神様の眷属だと難しいのかな?

「やっぱり無理?」

「い、いえ。天上界でなく、天界でしたら地上からもアクセス出来ますし、条件が揃えば、創世神であるわたくしでも降臨できますが……」

「あれ? 創造神はザーナでしょ?」

「はい。創造神は世界そのもの、簡単に言うと星を創りあげた者の総称です。創世神はそこに住まう生き物たちに文明を開いた者の総称となります」

 ほぉ、そんな違いがあるのか……ってことは、グラドーンの世界を創りあげたのは実質ラフィアって事か……

「あ、分体なら条件次第で地上で活動できますね。そうしましょう、わたくしも人の世を生で見てみたかったし」

 おぉう、はしゃいでるなぁ……

「す、すみません、少しはしゃいでしまって……それと晴成さん、他に要望はありましたか?」

 要望は大概言った気がするが、何かあったかな……

「あ、ラフィアを嫁にしたいってくらいかな?」

「わたくしを嫁にですか?」

 し、しまった、ほぼ初対面の子に何言ったんだ、俺ぇ!!
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