暖をとる。

山の端さっど

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-08℃ パーラー旬の苺パフェ

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 促成栽培抑制栽培ハウス栽培。旬などというものは大概流動的だしそもそも苺の旬は12月から5月と長い。旬の長い農作物など枚挙に暇がないが問題は今僕の前にそびえたる「旬の」苺パフェだ。ここから本気で半年旬を引きずるのか興味はある。

「考えてないでさっさと食えよ、お客様。いつも勤勉な脳細胞には糖分が必要だーだの言ってんだろ。それから、箸よりカメラを先に手に取る奴は愚かだとかもな」
「僕は写真を撮っていない。層構造や盛り付け方の妙を立体芸術として鑑賞するのは馬鹿ではない。いただきます」
「有り難く食えよ」

 この恩着せがましい台詞で分かる通り探偵の奢りだ。僕の手持ち現金は少なくないが大した借りにもならない場で他人の財布の紐を締めることもないだろう。せいぜい年齢的先輩として若者への義務とやらを果たせばいい。

「この間の資料、この店の店主の伝手で手に入ったんだよ。礼はするとして客も紹介しとかないとな」
程度の財力にたかるほど繁盛していないわけでもなかろうに」
「お小学生様が中高になった後のことを視野に入れてんだよ」

 それまで店は潰れない予定らしい。
 何だよ。小学生が大人を超える能力を持っていることが気に食わないか? それだから大人というやつは愚かなままなんだ。

「伝手とは何だ?」
「言えるわけねーだろ、いち市民に警察資料取り寄せてくれる情報源の詳細なんて」

 まあそうだろう。情報が漏れたのがバレずこちらの情報も抜き返されないのなら構わないさ。

「なあ、何が知りたかったんだ? こんな危ない橋渡らせまでして」
「現場のごく詳細な状況と捜査方針と刑事の名前だ」
「詳細ってのはいいとして、捜査方針と刑事?」
「簡単に分かることの捜査は警察に任せておけばいいからね。僕らはその道以外を行く予定だったが今回警察は何も掴んでいない無能らしい」
「OBとしちゃ耳が痛いな」
「何を今更。組織が有能なら探偵も警察を辞める醜態にはならなかっただろう? ただその無能組織の中でもやっと面白い奴を見つけた」
「はは。俺の知ってる奴かな」
「それを聞きたい」

 僕は中年の冴えない雰囲気の刑事の名前を挙げる。

「ああ、知ってるよ」

 探偵は少し小物っぽい表情をした。

「行く先々で事件を引き寄せる、『死神』って呼ばれてる男だろ」

 やはり当たりだ。信仰などクソ喰らえだが死神刑事とやらが引き起こす結果だけには興味がある。僕は足を組み直した。
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